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第24話 人工魔石大量生産プロジェクト 2018.8

◆次なるプロジェクト始動

ニューヨーク研究所。リリィたちは次なるプロジェクトに取りかかっていた。それは、人工魔石を大量生産するためのプラント構築。つまり、戦略資源を得るための重要な一歩だった。


現在、彼女たちは日本政府から依頼を受け、福島第一原発跡地の無毒化事業に携わっていた。使用済み核燃料を魔法で無毒化し、錬成魔法でミスリルに変換するという取り組みが、着実に成果を上げていた。


◆作戦会議:惑星崩壊跡地へ

「使用済み核燃料の無毒化でミスリルが手に入った今、この資源を活かして人工魔石の生産を拡大しましょう。異世界にある、惑星崩壊跡地の魔素だまりを利用すれば、大量生産が可能になるはずよ。」


リリィの言葉に、ジャックが即座に頷く。


「確かに。それに、人工魔石の供給が安定すれば、ゴーレムや防衛システムの稼働も格段に強化できる。」


「転移の手間はあるが、一度転移陣を設置してしまえば問題ない。早速準備しよう。」


ガルドが落ち着いた声で言った。


ギルスが手元の設計図を広げながら補足する。


「大きなコンテナをゴーレム化して、結界で包み込めば、宇宙船として使えるよ。それらをつなげて、宇宙空間に魔石生産用のプラントを構築する。作業はゴーレムに任せて、魔素の収集に集中できる。」


◆ミスリル銀の製造とコンテナゴーレムの転送

港に運び込まれた使用済み核燃料は、リリィたちの錬金魔法により、次々とミスリルへと変換された。さらに、ミスリルと銀を融合させてミスリル銀を生成。それが、人工魔石の核となる素材だ。


積み上げられたコンテナを前に、マーガレットが嬉しそうに指を差した。


「リーダー、このコンテナたち、ゴーレムにするんニャ? ニャフフ、動くコンテナって、なんだか面白そうニャ!」


ジャックが鉄骨とコンテナに魔法陣を配置し、魔力を注ぐ。すると、コンテナがガタガタと揺れ始め、巨大な人型に変化し、自らの意思を持つかのようにゆっくりと動き出した。


「魔法陣、起動!」

ガルドが準備した転移陣の上に、コンテナゴーレムが次々と乗り、転送光に包まれていく。異世界の宇宙空間、座標は“惑星崩壊跡地”。


「まるでSF映画みたいだ。巨大なコンテナが自分で動くなんて。」

マモルが息を呑んで呟く。


リリィ、ジャック、ガルド、マーガレット、ギルスの五人は、最後のコンテナゴーレムに乗り込み、転移の光に包まれて姿を消した。


◆魔素だまりへ

コンテナが全て転移を終えると、港に残っていたのはマモルとコモンだけだった。


「これで、魔素の収集作業が格段に効率化される。」

コモンが満足げに呟き、マモルと共にニューヨーク研究所へと転移していった。


一方、リリィたちは転移を経て、異世界の宇宙空間に到達していた。そこは、かつて文明が栄え、今は破壊され尽くした惑星の残骸が浮遊する宇宙空間だった。


中央に位置するのは、魔素が渦を巻く“魔素だまり”。リリィたちが指示を出すと、コンテナゴーレムたちが次々と整列し、手をつなぐように魔素の周囲を囲んでいく。


「魔素だまりで、空気がピリピリしてやがる。」

ガルドが眉をひそめながら呟く。


「魔素がこの密度で溜まっているのは、極めて稀だ。ここなら、人工魔石の大量生産が可能になる。」

ギルスの声には興奮が混じっていた。


◆人工魔石生産システムの稼働

リリィは両手を広げ、魔素空間の外縁に向けて魔力を注ぎ始めた。やがて、光のドームが形成され、魔素だまり全体を覆い込む。


「結界、展開完了。これで魔素が漏れ出すことはないわ。さあ、魔法陣を配置して、作業を始めましょう。」


人工魔石の大量生産がいよいよ本格的に始動した。異世界の宇宙空間に浮かぶプラントには、ゴーレム化されたコンテナが工場建屋として並び、その内部には人型ゴーレムたちが配備されていた。


その素材は、アーロンの企業から提供を受けたロボットたち。AIの搭載は不要な単純作業用として、機械の身体のみを利用し、ギルスが魔法でゴーレム化を施していた。


「この子たちには地球で事前に訓練させたから、動きは順調だよ。」

ギルスがうなずきながら、目の前で動くゴーレムたちの作業を確認する。


ゴーレムたちは、魔法陣の上にミスリル銀を配置し、魔素だまりから流れてくるエネルギーを効率よく受け止めるように配置されていた。


魔素を集めたミスリル銀は、やがて青く美しい光を放ち、小指の爪ほどの人工魔石となって姿を現す。


完成した魔石は、まとめて箱詰めされ、地球・ニューヨークの研究所に通じる魔法陣の上に並べられた。


「成功だ。このペースなら、一日で数千個は作れる。」

ギルスが誇らしげに宣言する。


「これなら、いくらでも作れるニャ! 工場をもっと広げれば、もっとたくさん生産できるニャ!」

マーガレットが拍手しながら笑う。


ジャックも頷きながら、整然と働くゴーレムたちを見つめて言う。

「作業精度も高い。供給ラインは完全に安定するな。」


◆次なる目標と防衛の懸念

生産が順調に進む中、リリィたちは次の課題について意見を交わした。

「人工魔石の供給が安定すれば、防衛システムの強化にも応用できるわ。」


リリィが人工魔石を手に取りながら言う。


ジャックが周囲の構造を見回す。


「ここにも防衛用の魔法陣を展開しておく必要がある。いずれ、ここが敵に狙われるかもしれない。」


リリィは仲間たちに目を向け、力強く言った。

「この魔石は、私たちの未来の力。しっかり守らないとね。」


ギルスとジャックはプラントに残り、調整と監視を続けることになった。


◆勇者ギルド星への転移

その後、リリィ、ガルド、マーガレットの三人は転移陣を通じて、勇者ギルド星へと向かった。ギルド本部に到着すると、慣れ親しんだ事務所の受付に笑顔が広がる。


「リリィさん、ようこそお戻りくださいました! 地球でのクエストは順調ですか?」

受付嬢が明るく出迎える。


「ただいま戻りました。少し問題が発生していて、ギルド長に直接報告をしたいわ。途中経過と、いくつか緊急案件についても伝えたいわ。」

リリィが落ち着いた声で伝えると、受付嬢の表情が引き締まる。


「かしこまりました。ギルド長は現在、会議室にいらっしゃいます。すぐにご案内いたします。」


◆ギルド長への報告


勇者ギルドの会議室。リリィ、ガルド、マーガレットの三人が通された。奥の席には、ギルド長が穏やかな眼差しで彼らを迎える。


「リリィ、お疲れ様。報告とは何かな?」


リリィが一歩前に出て、丁寧に一礼した。


「ギルド長。まずご報告したいのは、私たちのクエストを妨害しようとする“異世界からの干渉”が確認された件です。私たちは神器である細胞活性装置を地球で用い、現地資金を得る活動を行っていますが、その装置が異世界の勢力に狙われています。」


ギルド長の眉がぴくりと動く。


「異世界の者とは? その正体や目的は?」


「詳細は掴めていませんが、私の結界魔法を中和する力を持つネックレスが使用されていました。それを装着した地球の傭兵たちが、私たちの拠点を襲撃してきました。」


ガルドが表情を引き締めて補足する。

「熱海の拠点が、ドローンや毒ガス、それに火炎放射器まで使われて襲撃されました。かなり大がかりな攻撃でしたが、俺たちは何とか撃退しました。けど、あいつらは、きっとまた来ると思います。」


リリィは静かに人工魔石を手に取り、ギルド長に差し出す。


「この事態に備え、私たちは“惑星崩壊跡地”にある魔素だまりを利用し、人工魔石の量産プラントを構築しました。これはその成果の一つです。」


ギルド長は魔石を手に取って見つめた。淡い青の光が、静かに彼の手元を照らす。


「これが人工魔石か。見事だな。実物を見るのは初めてだ。これほどのものを作れるメンバーがいるとは、頼もしい。」


彼は腕を組み、表情を引き締めて続ける。


「魔石の供給が安定すれば、各地のクエストも効率化できる。だが同時に、プラントが狙われる可能性は高くなるな。」


「その点は大丈夫ニャ!」


マーガレットが自信満々に胸を張る。


「プラント全体を結界で包んでるし、ゴーレムが常時監視してるニャ。迎撃の仕掛けもあるニャ!」


リリィが続けて言う。


「人工魔石プラントの構築手順は、マニュアルにまとめて勇者ギルドに提出する予定です。他のパーティの強化にも役立つと思います。」


ギルド長は静かに頷いた。


「それはありがたい。魔石を求めているパーティは多いからな。」


リリィは一度深呼吸し、表情を引き締めて話を戻した。


「異世界の介入は、もはや私たちだけでは対応できない規模に達しています。地球の人々の魂が標的にされている可能性もあります。これは、勇者ギルドとしても見過ごせない問題ではないでしょうか。」


ギルド長は数秒間考え、そして厳粛な声で応じた。


「確かに、魂を狙うような連中を野放しにはできないな。リリィさん、勇者ギルドとしても、この件への対応を強化することにしよう。」


リリィは深く頭を下げた。


「ありがとうございます、ギルド長。ご理解に感謝します。」


 


◆地球への帰還


会議を終えたリリィたちは、ギルドからの支援を得て、再び地球へ戻ることとなった。


「さあ、地球に戻りましょう。次の動きに備えて。」


リリィの声に応じ、ガルド、マーガレットとともに、三人は勇者ギルドの転移陣に乗り込んだ。


転移光が収まり、三人の姿はニューヨークの研究所ホールに現れた。


「リリィさん、ガルドさん、マーガレットさん! お帰りなさい!」

マモルが嬉しそうに手を振って迎える。


コモンが腕を組んで言う。

「無事に戻れて何よりだ。プラント建設とギルドでの報告はうまくいったか?」


リリィはほっとした笑みを浮かべながら頷いた。

「ええ、プラントの建設は順調よ。人工魔石は今も生産が続いてる。ギルスとジャックが残って調整を続けてくれてるの。」


「勇者ギルドへの報告も無事に終えたわ。異世界の敵については、勇者ギルドとしても、対応を強化することになったわ。連絡を待ちましょう。」


ガルドが頷く。

「プラントの防衛体制も強化済みだ。もしものときは、ギルドの応援も期待できる。」


◆熱海拠点の復旧へ


「でも、結構大変だったんじゃないですか?」

マモルがテーブルに飲み物を並べながら言った。


「ええ。ギルド長の理解が早かったから助かったわ。それより、地球側の状況は? 何か新しい動きは?」


「敵の動きはないな。インドのラゥージ氏にも危険は及んでいないようだ。ただ熱海の拠点は?」


コモンが尋ねると、リリィが考え込みながら答えた。

「うん、あのまま壊れた状態というのはありえないわ。日本の重要拠点だし、元に戻す必要があるわね。」


「「「賛成!」」」


ガルドが拳を握る。

「やっぱり、壊されたままじゃ、悔しすぎるからな。」


「熱海の拠点は、癒しの場所でしたからね。捨てがたいですよ。」

マモルがしみじみと言う。


リリィが考え込みながら言う。

「あの建物の地下に、核シェルターを作るのはどうかしら?」


「いや、核シェルターはコストがかかりすぎるかもしれん。」

コモンが冷静に提案する。


リリィは頷いた。

「そうね、核シェルターは保留にしましょう。代わりに、防御力を強化した拠点の再建をしましょう。」

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