表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/151

第11話 定例会議で、今後の方針 2018.4

2018年4月。熱海の拠点、リビングルーム。リリィが一同を見渡して口を開いた。


「株式会社って、たまに会議をして進捗を確認しないといけないらしいの。それと年に一回は“総会”っていうのを開く必要があるみたい。詳しくは知らないけど。じゃあ、ジャック、あとはお願い」


「了解」

 ジャックが頷き、司会の立場で話し始めた。


「まず、いろいろなことが日々起こっているから、改めて“我々の目的”を確認しておこう。


科学と魔法を融合させた力は、“星の破局”や“崩壊”を止められる可能性がある。そのために、この星が“人災”によって滅びるのを食い止めなければならない。地球の科学力を高める方向に導いていく必要がある。


そのための順序としては——

・まず資金を集める。できるだけ多く。

・その資金で、平和の組織を作る。警察組織が適任だ。

・戦争や紛争を止める。

・人を増やす。教育する。科学者を育てる。

・研究施設を増やし、科学と魔法の融合を研究する。

・そして最終的には、星の破局を防ぐための技術を開発する。


今はその初期段階で、資金を集め、平和の組織を作っているところだ。次のステップは“人を増やす”ことだが、順序が前後しても問題ない。


勇者ギルド長から与えられたクエストの期間は、たったの五年。すでに一ヶ月が経過している。


何か、“破局を防ぐ知見”につながる成果が求められている。もちろん、星の破局を本当に止められるようになるには、おそらく千年はかかるだろう。しかし、まずは何か“見える成果”を手に入れる必要がある」


 ここでコモンが話を引き継ぎ、資料を手にして説明を始めた。


「では、現在の進捗について報告する。途中で意見があれば、どんどん言ってくれ。


まず、当面の資金源は金塊の販売だ。菱紅商社を通じて、月間で約5億円を目標にしている。


さらに、有望な収益事業として“原子力発電所の廃炉事業”がある。プルトニウムを“錬成魔法”でミスリルに変換できるからな。原発の廃棄物が文字通り“宝の山”になる、有望なビジネスだ。


それともうひとつ、“細胞活性装置”をネットオークションに出品して販売する計画がある。これは貢献ポイントを使って入手する予定だ。これらによって、当面の活動資金は確保できる見通しだ」


 そこへ、マーガレットが小さく手を挙げた。


「リーダー、先日テレビで見たんだけど、“ホー博士”っていう人がいるニャ。この人、難病だけどすごい科学者ニャんだ。未来の私からのメッセージで、仲間になる人って分かったニャ」


「えっ、そうなの?」

 リリィが驚いたように反応する。

「それは絶対に会いに行かなきゃ。どこにいるの?」


「その番組、俺も観てた」

 ジャックが頷く。

「ホー博士は“イギリス”って国にいる。難病で、医者も驚くレベルの状態だった」


「そうなのね。急いで会いに行きましょう。“細胞活性装置”も持っていってあげて。仲間になるなら、まず健康になってもらわないと」


 一同はうなずき、異論はなかった。


「じゃあ、そういうことで、本日の定例会議はこれで終了とする」

 ジャックがまとめた。


「簡単ね」

 リリィが軽く微笑む。


「冒険者ギルド株式会社は、まだ始まったばかりだからな。これからが本番だ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ