2 2人の魔法
西の国からの訪問団に、シルビアは言葉が判らなくマリエールに通訳して貰った。同じ転生者なのにこの差は不可解だ。
2 2人の魔法
2人の生活が始まる。シルビアには週6日家庭教師が付く。マリエールも誘ったが断わられた。時々行事がある。昨日は西の国の訪問団だ。西の国の言語は習っているし転生者である私には万能言語の力がある筈だが判らない。訪問団に同じ年頃の少女が居て真っ直ぐシルビアのところに来て喋り出す。マリエールが通訳してくれる。兄も通訳付きだ。でも判る範囲で話そうとしている。自分だけ置いてきぼりのようだ。
今日は丸々休みだ。朝食が終わったところでマリエールを呼んだ。後片付けを仕掛けたマリエールは何でしょう。言って対面に座った。
「あなたも転生者何でしょう。まず私から話すわ。私転生前の記憶が殆ど無いの。ただ日本と言う国に居て飛行機や新幹線や自動車に乗った記憶や海や山に行った記憶やこの世界にはない便利な物がいろいろあった記憶はあるの。転生前の名前も家族も知らないわ。ただ別な記憶が有って魔法が使えるから、転生者なのは間違いないと思うけど、昨日のあなたとの差を考えると私は転生者というだけで能力何かないのではないかと思えるの。」
シルビアは深刻な顔だ。マリエールも真剣に応える。
「確かに転生する側と転生される側と違和感がないくらい幼少期であればスムーズに生活出来るでしょう。私にははっきり前世の記憶が有ります。久保田真理子28歳ドクターコースを経て大学の助手になって博士論文をアメリカで発表するため飛行機で向かう途中事故で4歳児転生したので上手くいかず家族に化物言われ使用人の部屋で生活しました。メイドや調理人、下働きや修繕の仕事をしながら、本を読んで学びました。西の国の言葉も万能言語の力もあるでしょうが本で学びました。東の国、北の国の言葉も判ります。」
シルビアは転生者の年齢が関わる事にショックを受けると同時に安堵感もあった。28歳の博士に4歳児の真似は難しいだろう。シルビアは
「魔法の事が知りたいの。解析鑑定を見せてくださる。」
マリエールは解析鑑定を見せた。ずらっと並ぶ魔法名の全てが10オーバーである。一表では収まり切らない。転移、フライ、アイテムボックスの他に表を下にずらすと創成魔法や如何にも破壊力の強そうな魔法が並ぶ。最後のところに魔法らしくないものが並ぶ。テレパス、念話、サイコキネシス、タイムトラベル、異世界転移、上位意思(受ける)最後の上位意思だけは1だ。一つの魔法でも5あれば魔法使いを名乗れるのに10オーバーとは有り得ない数値だ。ドラゴン並みという事か。
「マリエール、私にも解析鑑定して。」
マリエールは頷いてシルビア王女の解析鑑定をした。シルビア王女の魔法は一表に収まる。レベルは5か6だ。万能言語は1だ。上位意思(授ける)5がある。シルビア王女はがっかりだ。
「マリエール、あなたの魔法を頂戴。」
マリエールは少し驚いた様にシルビア王女を見た。
「付与魔法という事なら出来ます。固有魔法は付与出来ません。付与者から離れて使用出来ません。レベルは落ちますがいいですか。」
シルビア王女は頷く。マリエールは一括で付与魔法した。解析鑑定したところ以前からあった魔法は7程度に上がった。万能言語も7
になった。新た取得した魔法は3か4だ。転移やフライ、アイテムボックス、テレパスや念話も使える。
2人は解析鑑定を見せあった。あまりの差にシルビアは唖然とする。シルビアはマリエールから付与魔法を受ける。