1 新しいメイド
王女シルビアは7歳で子ども部屋から出て王女の仕事をする。積極的に行動するつもりはないから側近は一人だ。
1 新しいメイド
私はこの国の王女シルビア、7歳に成り王女としての活動が始まる。魔法の才能はあるがあまり目立って兄を押し退け王位が回って来ても嫌なので静かに暮らしたい。何でもそこそこ出来るので目立たないように生きていきたい。
今日は新しい部屋に移動して新しいメイドと対面する。これまでの子ども部屋のメイドと共に新しい部屋に移動する。新しい部屋に着くと私と同じ年格好の少女が迎える。
「始めまして、伯爵の次女マリエールです。メイドの仕事は何年かやって来ましたので多分お役に立てると思います。宜しくお願い致します。」
本当に大丈夫なのだろうか。
彼女に誘導されて部屋に入る。子ども部屋のメイドとはここでお別れだ。弟妹の世話がある。ソファに腰掛けた私にマリエールはお茶とお菓子を出してくれた。マリエールは、
「シルビア王女とお会い出来るのを楽しみにしていました。私は自分を上手く使って頂ける人の元でしか力が出せません。シルビア王女は魔法の力が豊富です。私の事を理解して頂き使って頂ければ、お役に立てると思います。」
不思議に思った。私の指示が無いと動け無い。メイドは気働きが必要なのだろう。心を読んだようにマリエールは話出す。
「メイドの仕事には支障はありません。問題は大きな魔法を使う覚悟が自分ではつきません。幾ら悪い人間でも死ぬ可能性のある攻撃魔法を自主的には使えません。私は使ってもいいのか迷う魔法を多数持っています。そういった判断をシルビア王女にして頂ければありがたいです。」
何言っているのだろう。私が殺せと言えば人を殺すと言う事か。そんな恐ろしい命令は私は出せない。私には護衛はいないからそういった能力を持ったメイドを付けたのか。
「危険なところに行くつもりはないからあなたにそんな能力使って欲しくないけど。いざという時のためには必要かも知れないわね。そういう魔法を持っている事を頭に入れておくわ。」
マリエールは昼食の準備すると言って席を立った。私も私物の整理に向かった。程なくマリエールに呼ばれた。いろとりどりのサラダとサンドウィッチだ。
「こんな野菜厨房にあったの。」
見た事もない野菜が並んでいる。しかし毒ではないだろう。不思議な野菜を食べた。野菜というよりフルーツだ。丁度食べたい味だった。サンドウィッチは玉子と肉と野菜がバランス良く並んだ。美味しい。昼食や朝食はメイドが作る事が多く、手の込んだ食事は取れない。マリエールの料理は絶品だ。
「自分で作った野菜です。」
言っている意味が理解出来ない。庭で作ったという事か。
「野菜と果物を魔法で掛け合わせて成功したものだけ持っています。」
どれほどの魔法なのか。下手をしたら化物扱いを受け兼ねない。
「家族から化物扱いされてきました。今回の話は私を家から追い出す恰好の理由になったようです。」
マリエールは家族に愛されなかった事への諦めを噛みしめる様な表情をした。
マリエールは良く働く。一日中働き放しだ。2歳上の兄は成人済みの護衛や側近を控えさしているのに私の側近はマリエールだけ。王位継承権2位とはいえいささか少なすぎるのは感じる。
マリエールには凄い魔法があるようだ。お陰で家族に化物扱いをされたらしい。