表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/75

5.まぁ、色々吹っ切れました



「ノルン、カオイロ、ヨクナッタ!アンシン!」


「うん!心配かけてごめんね。ゴンちゃん、私もっと頑張る!」



庭園から戻った私を、心配そうにゴンちゃんとリドディア様が出迎えてくれた。


心なしか胃の痛みも良くなってきた気がする。


私も、もう一度オテダマンに挑戦しようと意気込んでいると、リドディア様がホッとしたように息を吐いた。



「殿下に連れられて行ってしまったから、心配していました」


「喝を入れられました。まぁ、色々吹っ切れました」


「あの方はお厳しいですからね。私も気を抜けば首が飛びそうで恐ろしいです」


疲れたような笑いを零すリドディア様に少し同情してしまう。本来ならば天才召喚士として、華々しい待遇を受けていただろうに。


「殿下が王太子の座を手に入れる為には、失敗は許されませんからねぇ……」


「え?王太子の座は安泰なのでは……」


「アレクシス殿下は正妃の子ですが第二王子です。側妃の子とはいえ、第一王子殿下が居る限り、絶対王太子になれるわけではありません。第一王子殿下は後ろ盾は弱いですが、民には好かれていると聞きますしね」


そうか、確かメイドの先輩たちも似たような噂をしていた。第一王子殿下の母君は、位が低く正妃にはなれず側妃になったが、陛下は側妃様だけを愛されていると。その子どもである第一王子殿下を可愛がり、正妃との間にできたアレクシス殿下には厳しく接しているとか。


でも、第一王子殿下は、王位を争う気が無くて、早々に王位継承権を放棄したいと願い出て、城から出て行ってしまったらしいとも聞いた。市井で民を知り、自分にできる方法で国民を救いたいという第一王子殿下の考え方は、国民に支持され、人気も高い。


第一王子派と第二王子派で派閥も別れてはいるが、この度の聖女召喚によって第二王子派の力が強まっている。正当に行けば、アレクシス殿下が立太子されるだろう。


それでも、第一王子殿下の存在は、アレクシス殿下にとっては脅威になるのか。



「まあ、私の所へ聖女召喚の依頼に来た殿下は……王位継承権とかどうでも良さそうでしたけど……」


「えっ!?」


「瘴気に苦しめられる民を心から心配していたように見えました。まあ、本性を知った今はあれが本音かは……」


「……ですね」


リドディア様と乾いた笑いを零した。


正直、下っ端メイドだった私にとって、アレクシス殿下が王太子になろうが、第一王子が王太子になろうが関係ないし興味は薄い。


ただ、父親が母親の他に愛する人がいて、その子どもばかりに愛情を注いていたと想像したら、寂しい気持ちになった。だからアレクシス殿下はあんなにひねくれてしまったのだろうか。


公の場ではキラキラ王子なのに。地の顔は口が悪くて、短気で、横暴。それが寂しい気持ちの裏返しでそうなってしまったのだとしたら……。



「案外可愛らしいのかもしれませんね、殿下は……」


「なんだって……?お前、喧嘩売ってんのか?」


「ひえぇぇぇ!!殿下、いつからそこにっ……!!!」



地を這うような不機嫌な声に振り返ると、仁王立ちしているアレクシス殿下がいた。


「ったく、人が居ないところで勝手いいやがって。二度目は無いからな」


「はい、申し訳ありませんっ……」


「それよりも、神殿から依頼だ。聖女ポティにな──」




誤字報告をいただきありがとうございます!感謝の気持ちでいっぱいです!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ