エピローグ
『聖女・ポティ』は、瘴気の元になった竜を治癒させ、瘴気を浄化した。役目を果たし、元の異世界へと戻ることになった。
異世界へと旅立つ前に、『聖女・ポティ』の力は、旅に同行したノルン・ミーティルと、ゴンザレスに分け与えられた。
ノルン・ミーティルには黒い髪と黒い瞳。竜と思いを通わせる力を。
ゴンザレスには瘴気を浄化する聖なる力を。
ノルン・ミーティルは、旅の仲間であるアレクシス第二王子の婚約者に。ゴンザレスは勇者としてこの世界を守る役割を。
そんな筋書きに落ち着いた。
「ゴンザレス、ユウシャニナレルノ!?ウレシイ!!!」
ゴンちゃんは勇者と呼ばれることに大喜びで、やっと、ゴンちゃんが認められて嬉しかった。
国王陛下は、側妃様が療養から明けられ、御子を宿していることを公表された。そして、王太子には第一王子のエド様を据えることを正式に発表した。
色々あり、王妃様は療養のために王妃の座を辞して、王弟殿下へ降嫁される、という結末になった。
それに至るまでに、国王陛下と王弟殿下のバトルもあり。
二人はなんとか和解した。
王弟殿下は、アンリエッタ妃への償いも含め、今後も国の繁栄のために尽力することと引き換えに、前国王陛下や王族派に今後、王族の婚姻には一切口出しさせないことも約束させたらしい。
王妃様は最後まで、罪を償うことを主張されたが、アンリエッタ妃はそれを望まなかった。王弟殿下と幸せに生きることが償いだと言いくるめられ、納得したようだ。
王国の平和は、今や王妃様が王弟殿下と幸せに過ごすことにかかっているのかもしれない。
王妃様が降嫁されたことで、アンリエッタ妃が王妃の座につくことになった。
血筋云々とか、色々反発があったが、三大公爵家が揃って賛成したことも追い風となり、良い形に纏まった。
ここまでの物語を、リドディア様は後世に残さなければと、必死に纏めているみたい。きっと、『聖女・ポティ伝』がムース家の著書の中に加わるのではないだろうか。
「ノルン様っ、是非とも神殿へおいでくださいますようお願いいたしますっ」
私といえば、神殿の偉い人達に追い回されている。
『聖女・ポティ』の代わりが欲しいらしい。
「我が婚約者は、聖女ではない。神殿には行かず、王宮で私と共に暮らすと周知したはずだ」
アレクシス殿下が私の手を引き、神殿の偉い人達から遠ざけてくれた。
二人で視線を交わし、フッと笑いを零した。
「ノルン。不思議とお前が日に日に可愛らしくてたまらなくなる。父上が母上を溺愛する気持ちがわかってしまう」
「えぇ!?」
「早く、婚姻してお前を俺だけのものにできればいいのにな。俺だけの聖女に──」
アレクシス殿下が両想いになってから、甘々になってしまい、私の手に負えるだろうかと不安は増すばかりだ。
愛の証とばかりに、毎日魔力を注いでは、お互いが唯一であることを確認したがる。
アレクシス殿下が魔法と愛を注いでくれるかぎり、私は人形に戻ることはない。
これからずっと、殿下を笑い合って生きて行ければと思う。
「あの殿下、申し上げにくいのですが、私はもう聖女ではありませんよ」
「ああ」
「隣の部屋から同世界召喚されたただのメイドです」
「はは、そうだったな。そして今は俺の愛おしい婚約者だ」
そう言って唇が重なり合った。
END
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