7.返事は、全て終わった時にきかせてくれるか?
「えええええええ!?な、なに言って……!!!!」
「ゴンザレスにも兄上にもその役目を譲りたくない。お前に告げた想いは、生涯変わらない。ずっと、傍に居て笑っていて欲しいんだ。……一生、俺と生きてくれ」
な、なんてことだろう。
アレクシス殿下は真剣な表情で、冗談を言っているようには思えなかった。
私は、只のメイドで。
なんだったら初代聖女様が作って、母が魔法で人間にしてくれた、訳あり商品のような状態なのに。
一国の王子の相手には相応しくない。
相応しくないのに──。
「好きだ。ノルン」
強い波に攫われるように。
アレクシス殿下の強い力に吸い寄せられる。
真剣な瞳から目が離せなくなる。
偉そうで、傲慢で、俺様な王子殿下だと思っていた。
でも、弱さもあって、脆さもさらけ出して。
優しくて繊細な本心に触れて。
惹かれてしまった。
「えっと……」
どうすればいい?
だって、私は、誰かの手を取っていい存在ではない。
いつかは壊れてしまうかもしれないのに。
「ノルン、アレクシス、キライ?」
「う、ううん、嫌いじゃないよ、ゴンちゃん」
「スキダッテ!アレクシス、ヨカッタネ!!」
ゴンちゃんが満面の笑みでアレクシス殿下にそう言った。
ええええええ!?
ゴンちゃん、違うっ!!………違う……?
「ありがとう、ノルン」
「えっ!?待って、アレクシス殿下、今のは──」
「……わかってる。でも嫌いじゃ無いんだろ?」
嫌いではない。嫌いなわけがない。
それなら、
好き──?
ボッと顔に熱を持つのが分かった。
その反応の見て、アレクシス殿下は目を丸くして、嬉しそうに私の頬に触れる。
「返事は、全て終わった時にきかせてくれるか?」
「アアア、アレク……──」
「俺の気持ちは、生涯変わらない。何があってもな。……返事は?」
「………………………はい」
こうして、アレクシス殿下の公開プロポーズへの返事は強制的に保留とされてしまったのだった。
そんな私たちを見て、エルフ様は、
「話がまとまったところで、本題に移るぞ」
と冷静に言ったのだった。
◆◆◆
「瘴気を浄化する力はそこのマッチョが受け継いでいるようだな。ノルンには、魔力以外は力は感じられない」
「え……?聖女様の力は……」
「…………」
え!?
もしや、魂だけ聖女様だけど、何の力も受け継いでいない……なんて残念なことは……ない……よね?
エルフ様はかわいそうな者を見るような視線を向けてきた。
「ノルン、お前は未知数だ」
「未知数……」
「初代聖女も予想外なことばかりしたから、なんらかの突飛的な力を秘めているのかもしれないな」
突飛的な……力?
それは、喜んでいい物なのだろうか。
複雑である。
「目覚めた竜達の気配を辿ると、聖物が消え、その場に留まる理由がなくなった今、どうやら一カ所に集まろうとしている。聖女を求めているのだろう。その規模の瘴気が集まり拡大すれば、世界は破滅するかもしれないな」
「えぇ!?せ、世界が……」
「竜達は聖女の居るこちらを目指している。私の結界がありまだ見つけられていないようだが。どうする、対峙するか?」
試されるような視線を向けられ、私はゴンちゃんやアレクシス殿下、エド様、リドディア様と視線を交わす。
「──はい」
私たちは覚悟を決め頷いた。




