6.お前は、どうなんだ?
「……ほう、面白い。初代聖女の魂と魔女の魔力が上手く融合しているな。魔力値が異常に高いのはその所為か」
「え!?魔力測定では-00って出ましたけどっ」
「人間の鑑定では測りきれぬほどの魔力を有している。生命維持には問題ないな。恐らく、魔女が長年溜め込んだ魔力を全て注がれたのだろう。あと数年は問題なく人の姿を保てる」
母の魔力……?
まさか、母が早くに逝ってしまったのは、私に魔力を注いだから……?
「魔力と寿命は関係ない。魔女は長命だが寿命はある。弟子へとその魔力を与え、自然に還るのが魔女だ。寿命を悟った魔女が弟子ではなく我が子にした人形に魔力を継がせただけだ」
私の思考を読んだのか、エルフ様が淡々と告げた。
母はもう長くは無いとわかったときに、私を手にしたのだろうか。
記憶の中の母に弟子は居なかったから。
魔力を継がせる器として……私を選んだ──?
「エルフの長殿……。あと数年とは一体どういうことなのですか?」
母に思いを巡らせていると、アレクシス殿下が表情を曇らせエルフ様に訊ねた。
「言葉通りだ。ノルンには自分で魔力を生み出すことはできない。定期的に魔力を取り込まないと、いずれは時を止め、人形のように眠りにつく」
「魔力を、定期的に補充させれば良いのですか!?」
「ああ。でも、魔女が複雑な術をかけているな。魔女以外から魔力を補充する時には、ノルンだけを生涯愛すると誓いを立てた者で、ノルンも生涯相手を愛すると想う相手で無いと魔力を受け入れることは出来ない」
え……。
魔力をくれるだけでも有り難いのに、そんな誓約を受け入れてくれる人なんて居るのだろうか!?
まあ、あと数年猶予があるなら、瘴気問題を無事に片付けて、好きなことをしながら母の魔力を使い果たして眠りにつくのもいいのかもしれない。
「まあ、ノルンの相手を見極めたい魔女からの試練ってところだな。魔女は余程お前を大切に思っていたようだ」
「……お母さん……」
器として見ていただけなら、そんな面倒な術はかけないだろうか。
さっきまで、心の中を騒がせた疑惑は一気に吹き飛んだ気がした。
血を分けた親子ではないけれども。
母は、私のことを愛してくれていた。
沢山の愛情を受けて育ったから。
胸を張ってそう言える。
「…………」
アレクシス殿下は、何かを考え込むように黙ってしまった。
すると、ゴンちゃんが勢いよく手を挙げる。
「ゴンザレス、ノルンニ、マリョクアゲル!!タークサン、アゲル!!」
「ゴンちゃんっ……!」
きっと意味は分かってないだろうけど、ゴンちゃんの気持ちが嬉しかった。
「いいのか?アレク」
「兄上こそ……いいのですか……」
「俺は兄貴分のような気持ちだから、魔女の魔法に弾かれるだろうな。お前は、どうなんだ?」
「っ…………」
エド様とアレクシス殿下が何か言い合っていて、アレクシス殿下が意を決したように私の方へ歩を進め、
「ノルン、俺と婚姻してくれっ!!」
何故か、求婚されてしまった──。




