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13.だって素敵じゃ無いですかっ!




「まあ!アレク殿下っ。大きくなって……、立派になられましたねぇ。さあ、こちらへ来てお顔をよく見せてくださいませっ」



豪華なベッドで休まれていた側妃様は、アレクシス殿下を目に入れるなりガバッと起き上がり満面の笑みで殿下を呼び寄せた。


本当にエド様そっくりだ。

端正な顔立ちに、お姫様のような儚さも加わり、醸し出す温かな空気は見る者を惹きつける。十数年も眠っていたなんて思えないほど元気な姿に吃驚してしまう。


アレクシス殿下は遠慮がちに側妃様に近寄ると、思いっきり抱きしめられていた。



「ア、アンリエッタ妃……っ!?」


「もう、昔のようにアンリとお呼びください。長い間、あなたを苦しめてしまいましたね。早く目覚めれば良かったのに、私ったらつい寝坊してしまって。もう自分を責めないでくださいね、アレク殿下」


「ア……ンリ……様。ごめ……んなさ……」


「謝らないでください。何も悪いことはしていないのだから。今まで、エドワルドを支えてくれてありがとう。あなたが王妃様からエドワルドを守ってくれていたのでしょう?」


いつもは偉そうなアレクシス殿下は、子どもに戻ったように側妃様に抱きしめられ、肩を震わせていた。


良かった。

何故だか、私も涙ぐんでしまい、ゴンちゃんが頭をヨシヨシしてくれた。



「聖女様……いえ、ノルンちゃん、ゴンザレスくんね。エドからこっそり話を聞いてるわ。この度は本当にありがとうございました。ノルンちゃんにはお母様の形見のお薬まで頂いてしまって」


「い、いいえ!お役に立てて光栄ですっ!!」


エド様は側妃様に『聖女・ポティ』について話しているみたい。

本当の名前でお礼を言われ、なぜか嬉しくなって顔がにやけてしまう。


「……本当に、いい仲間に恵まれたわね、エドは」


「……はい。母上」


「みんないい色のオーラをしているわ。優しくて、誠実で。嘘のない、澄み切った色ね」


……え?

オーラ……って。


キョトンとすると、側妃様がしまったという表情をして慌てて口を押さえた。


「つい口にでちゃった。ごめんなさいね、実は私の生家の血筋では、人のオーラが見えるのよ。感情やその人の性質とかがオーラには現れるから……黙って見られたら嫌な気持ちになるわよね」


「えぇっ!?」


す、凄い。

そんな特殊な能力を持っているなんて!


そう言えば、以前エド様に『聖女・ポティ』の正体がバレたときに、能力がどうのこうのってアレクシス殿下に言っていたような。


エド様も見えるのだろうか、オーラがっ!!


期待を込めた視線をつい向けてしまうと、エド様はふっと笑いを零した。


「……嫌がるでも、恐れるのでも無く……ノルンは好奇心を向けてくるのだね。そうだよ、俺も視えるんだ」


「そうなんですねっ!素敵ですっ!!」


「……ああ。ありがとう、ノルン」



そう言ってエド様は私の頭を撫でてくれた。

なんでもできて、優しくて、頼りになるエド様は凄い能力を秘めていたらしい。



「ヨクワカラナイケド、ヨカッタネ!!」



ゴンちゃんがニッコリ笑って、エド様も目を細めた。その光景を、側妃様は嬉しそうに眺めていたのだった。



「アレクシス殿下も、良かったですね」


「……ああ。お前のお陰だな」



何かから解放されたかのように、アレクシス殿下も微笑む。


本当に良かった。

無意識に小指の指輪を握りしめた。



その後、側妃様が目覚めたことは、ごく一部の信頼できる人達のみに伝えられ、コーディネリア公爵家と国王陛下率いる鉄壁の護りの中、療養されることとなった。



「アンリエッタは私が護る!!」



と国王陛下は傍を離れたがらないらしい。早く後継者を決め、隠居して側妃様と片時も離れずに過ごしたいみたいだと、エド様は呆れたように言っていた。


そんな中、王妃様は不気味なほど静かだった。

きっと、側妃様が目覚めたことには気が付いているだろうに。



「……俺は、兄上が王太子になるべきだと思っている。瘴気のことが片付いたら、俺は王位継承権を放棄するつもりだ。母上とも決別する」



国王陛下の隠居発言があり、後継者争いが過熱しそうなある日突然。そんなことをアレクシス殿下が言い始め、大騒動へと繋がるのだった──。





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