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6.お前を護らせて欲しい




「母上と対立した今、想いを告げない方が護りにくい。それに変に誤魔化すと拗れそうだしな。おい、ノルン、聞いているのか?」


「は、はい……」



アレクシス殿下が……私を……好き?


え、好きって、あの好き……?



だって私は黒き子で災いを起こす存在で。

エド様に救われて、この国に来て、ミーティル家に入ったけれども、身分はメイドだし。


『聖女・ポティ』を演じているとはいえ、偽物だし。

本物の聖女はゴンちゃんでわたしはただの張りぼてだ。


一国の王子様から好かれる要素なんて一個もない。



信じられない。

いや、これは現実ではないのかも。

そうに違いない。


うんうんと頭を振って目を開くが、アレクシス殿下は真剣な表情で私を見つめていた。



「お前が兄上に好意を持っていることは知っているし、お前の気持ちを阻止するつもりはない。母上は聖女を正妃にと言っているが、お前やゴンザレスの同意なく婚姻を結ぶこともない。でも、俺の気持ちを伝えた上で、お前を護らせて欲しい」



「え……?」


私が……エド様に好意を……?

待って、色々追いつかない。



「ノルン、お前に渡した指輪は王太后である祖母から譲り受けた護りの指輪だ。いつか、想う人が現れたら渡すようにと」


「そ、そんな大切な指輪をっ」


「最初はお前の身が守れればと軽い気持ちで渡したが、もうお前以外にその指輪をつけてほしいとは思わない。お前は危険なことばかりするから、いつも気が気じゃない」



小指にはめられた指輪にずっと護られていた。

何かあったときには、指輪を握りしめる癖がつくほどに。



「ずっと……つけていてほしい」


「は……い……」



なぜ、こんなに熱い瞳で見つめられているのだろう。

どうして私の心臓は鼓動を早めているのだろう。



「好きだ。ノルン」



切なげに言われ、今度こそ心臓が止まりそうになった。


私の中に今返せる返事はない。

だから、何も言えなかった。


そんな私を気遣うようにアレクシス殿下は何もなかったかのように歩き出した。



「帰るぞ」


「は、はい……」



聖女宮まで無言が続く。

小指の指輪を握りしめながら、私は必死にアレクシス殿下の後ろを歩いたのだった。



◆◆◆



「ノルン!アレクシス!オカエリッ、シンパイシタヨ!!」



聖女宮にやっとのことで辿り着き、ゴンちゃんに出迎えられたときは安堵で涙が出そうになった。


誘拐されてどれだけ時間が経ったのかわからないけれども、色々ありすぎて一気に年老いた気がする。


「心配掛けてごめんね、ゴンちゃん」


「ブジデ、ヨカッタ!!」


ああ。

ゴンちゃんは私の心のオアシスのようだ。


混乱した心が癒やされていく。



「エドモ、ドコカイッタ、カエッテコナイ」


「え、エド様もっ!?」



話を聞くと、私とアレクシス殿下が消えた朝、エド様も居なくなったらしい。


アルステディール公爵家の聖物は消えてしまった。


もしかしたら、コーディネリア公爵家の聖物にも何かあって、エド様は帰ってこない……?


何故か嫌な予感がしたのだった。




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