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17.意識する方がおかしいのかもしれない。



「おお、よくぞご無事でっ。良かったです、聖女様っ」


「良かったですわぁぁっ、心配いたしましたぁぁぁ!!!」



転移魔法を使って祭壇へ戻ると、手を包帯でぐるぐる巻きにした公爵と、号泣するキャスリーン嬢に出迎えられた。


そんな熱烈な歓迎を受けているのに、私は頭が沸騰しそうなほどぽーっとしていて、全く耳に入ってこなかった。



だって、だって……。

アレクシス殿下の態度が、距離感が、おかしいから。

頭の中は大混乱中だ。


落ち着け。

きっと仲間思いの殿下が、仲間の一人が異空間へ飛ばされちゃって、心配しすぎて、過剰な反応になってしまったのだろう。


意識する方がおかしいのかもしれない。


うん。その方がしっくりする。


自分を納得させて、やっと思考回路が戻ってきた。



祭壇の石碑はゴンちゃんがミーコの舞を舞って浄化したらしい。

見たかった!ゴンちゃんのミーコの舞っ!!出来れば一緒に舞いたかった。私の葉っぱの舞……。あんなに極めたのに、いつか披露する場はあるのだろうか。



浄化された石碑に埋められた鱗のような石は……。

魔魚の妖精さんに生えていた鱗と同じ光を放っていた。


きれい……。

やっぱりこの鱗は魔魚の妖精さんのものか、その親のものなのか。



「マレンディール公爵家では魚……魔魚とか飼育していたりしますか……?」


「いいえ。我が家では魔魚の扱いはありませんわ。聖女様、お腹が空かれたのですね。すぐに魚料理を用意させますからお待ちになって!」


「あっ……そーいう意味ではっ……」



キャスリーン嬢は公爵を引き連れて足早に去って行ってしまった。

ああ、できればお肉料理が良かった……じゃなくて、マレンディール公爵家では魔魚は祀ったり飼育したりしていない。


むしろ魔魚ってどこにいるものなんだろう。

いきなり人の姿になったりするのかな。


謎が増えていく。



「私の調べた記録では、初代聖女様と魔魚についての記載は、料理したくらいだったかと……。いや、もう一度調べてみましょう。それよりも、マレンディール公爵家の聖物が石碑ということは、残りの二家も同様に石碑を祀っている可能性がありますね」


「なるほど。そこも闇に呑まれているっていうことも……」


「あり得るでしょう。エドワルド殿下、アレクシス殿下、早急に二家へのコンタクトを取って頂ければ……」



リドディア様の言葉に、エド様とアレクシス殿下は気まずそうに視線を下げた。


そうか、確か……。

三大公爵家である、マレンディール公爵家以外の二家。


アルステディール公爵家はアレクシス殿下のお母様の生家。

コーディネリア公爵家は第一王子派の筆頭。

因縁深い二家なのだ。


リドディア様曰く、初代聖女様が王子と婚姻しマレンディール公爵家の始祖となった。二人には子どもが三人産まれ、一人はマレンディール公爵家を継ぎ、あとの二人はそれぞれ新たな公爵位をもらいアルステディール公爵家とコーディネリア公爵家になったらしい。


そう考えると……それぞれ初代聖女様の血を受け継いだ歴史ある公爵家で、この国を支える三大公爵家の内の二家なのだ。それだけ扱いが難しく……。



「母上に……協力を仰ぐのか……」


「俺も第一王子としてコーディネリア公爵家に行かねばな……」



二人の口調は重かった。



「ゴンザレスニ、マカセテ!」


「いやっ、大丈夫だっ」


「そうだね、自分の問題は……自分で……だよね」



ゴンちゃんは首をかしげ、二人は項垂れていた。

二人にとって二家へ連絡を取りお願い事をするのはそれ相応の覚悟がいるのだろうか。


心配な思いで見ていると、エド様とアレクシス殿下は気合いを入れたように顔を上げた。



「やるしかない。コーディネリア公爵家は俺に任せてくれ。アレク、お前は大丈夫……か?」


「……はい。……お任せください」



こうして──私たちは三大公爵家の二家と対峙することとなった。



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