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5.王宮で待っているんじゃ無かったっけ?



キラキラとしたオーラを振りまき、愛想笑いを浮かべ、キャスリーン嬢と向き合っているのは……



「アアアアアアアアレクシス殿下っ、ななななな、なぜ我が家にっ。ああ、殿下がいらしたのにお出迎えもしませんで、申し訳ございませんでしたっ」



爽やか王子の皮を被ったアレクシス殿下だった。突然現れたアレクシス殿下に、キャスリーン嬢は驚きを隠せず動揺している。そんな彼女を気にした様子もなく、殿下は王子スマイルを浮かべる。


「いやいや、急に来たのはこちらだからね。気にしないでおくれ。私が異世界よりお招きした聖女様を君が招待してくれたと聞いてね。彼女はまだこちらの世界に疎いから、君に迷惑をかけてはいないかと心配で顔を出したんだ」


「そっ、そうなのですね。聖女様とは仲良くお茶をいただいていましたのよ」


誰だ、このキラキラ王子は……。と目を疑う程の甘い雰囲気でキャスリーン嬢を虜にしている。キャスリーン嬢は先ほどまで私へ向けていた怒りは忘れたようにうっとりとした表情になっていた。


それにしてもなぜアレクシス殿下がお茶会に突入してきたのだろうか。キャスリーン嬢と会えば面倒くさい事態になる可能性があるからと、接触を避けてきたと言っていたのに。


まるで盾のように私の目の前に立ち、キャスリーン嬢を引きつけてくれている。



「三大公爵家の令嬢である君と聖女様が仲良くしてくれれば、私としてもとても喜ばしいよ」


「はいっ、王国を支える臣下として当然ですわ。ねぇ、聖女様?」


すごい眼力で圧をかけられる。典型的ないじめを連発しておいて、何もなかったように振る舞う彼女に内心呆れてため息を吐きそうになった。



「はい。特別な歓迎をお受けしました」


「そうなのかい。マレンディール公爵令嬢、聖女様のもてなし感謝するよ。しかし他の令嬢も帰ったようだし会はお開きなのかな。では、聖女様と私は帰らせていただこう。では、マレンディール公爵令嬢、失礼するよ」


「はっ、はいっ!またいつでもいらしてくださいませっ、お待ちしておりますわっ!!」



アレクシス殿下に促され、マレンディール公爵家を後にする。ああ、手をつけられていないお茶会のお菓子、どうか捨てられずに誰かの口へ入りますように。未練がましくお菓子に視線を向ける私に、アレクシス殿下は無言の視線を送ってきた。




「ノルンっ!!!ダイジョーブ!?」


「ゴンちゃんっ、馬車で待っていてくれてありがとう。大丈夫だよ」


馬車の中にはゴンちゃんとエド様が待っていてくれた。アレクシス殿下も一緒に馬車に乗り込んできたのを見て、エド様は一瞬目を丸くしていた。


「ノルン、よく頑張ったね。お帰り。やあ、アレクも。王宮で待っているんじゃ無かったっけ?」


「……その、こいつに渡した指輪が……反応したので何かあったのではと──」


「あの指輪、渡したんだねぇ。ふーん、わざわざ転移魔法まで使って駆けつけたんだね……」



エド様は揶揄うような視線をアレクシス殿下へ向け、アレクシス殿下は決まりが悪そうに視線を逸らした。


えっと……。

アレクシス殿下はキャスリーン嬢に紅茶をかけられそうになった時に指輪の魔法が発動したのを知って、心配して駆けつけてくれたってことだろうか……。



「アレクシス殿下……っ、ありがとうございました」


「いや、お、お前が何か下手なことをしたのではないかと、心配しただけだっ!色々やらかしそうだからなっ」


「う……。多分、大丈夫……なはずです……」



でも、凄い勢いで睨まれたし、キャスリーン嬢と敵対してしまったかもしれない。アレクシス殿下が来てくれなかったら、もっと修羅場になっていたかも。



「とにかく、聖女宮に戻ろうか。お茶会の話も詳しく聞かせて貰いたいしね」


「は、はいっ!」



エド様がなぜか笑いを堪えるように言い、私たちは聖女宮へと帰ったのだった──。



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