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1.なんの踊りですか?



「王都へ帰ってきましたねっ!!」


「ゴンザレス、バシャ、タノシカッタ!!」



ゴンちゃんと一緒に馬車を降り、聖女宮へと帰ってきた。攫われて以来だから、1ヶ月ぶりくらいになるのだろうか。


久々の王都だ。聖女宮の周りには兵士が沢山いて、警備が強化されているようだった。


外の警備とは逆に、出迎えてくれた使用人の人達の数は少なくなっていた。


「聖女宮の使用人達も信頼の置ける者しか残していない。不便だろうが、間者を忍び込ませられるよりはマシだろう」


アレクシス殿下が私の思考を読んだかのように言う。なるほど、だからこんなにも少ないのか。まあ、私は長年メイドとして働いてきたから身の回りの世話はいらないし、逆に自由に動けていいかもしれない。



今度こそ、食べ物に釣られて知らない人について行かないようにするんだから!


そう決意しながら、聖女宮へと足を踏み入れたのだった。




◆◆◆



「エド様。今までこの眼鏡をお借りして、ありがとうございました。眼鏡のおかげで私は救われました。今の私は黒目黒髪を隠さなくても大丈夫なので、お返しします」



王都へ帰ってきたら。

この容姿を変える聖女の遺物の眼鏡をエド様に返そうと、そう心に決めていた。


私を救ってくれた眼鏡。メイドのときには一瞬でも外さずに私のお守りとなっていた。『聖女・ポティ』のお陰で黒目黒髪でも大丈夫だと、そう思えたのだ。



「そうか。ノルンにはもう眼鏡がなくても大丈夫なんだね。良かった」


目を細め、優しい視線を向けられ、泣きそうになる。

私がどんなにこの黒い色を恐れていたのか、エド様は知っている。だから、貴重なこの眼鏡をくれたんだ。



「じゃあ、今度は『聖女・ポティ』を護るために、俺が使わせて貰おうかな」



頭巾と色眼鏡を外し、エド様が眼鏡をかける。

金色の髪と、緑色の宝石のような瞳は、茶色く変化し、エド様の王族オーラが平凡な青年オーラへ変わった気がした。



「今は第一王子という正体を隠しながら護衛として傍に居た方がいい気がしてね。この姿なら誰も気づかないだろう。どう?」


「知的な冒険者感が出てますっ!」


「よし。じゃあ、俺はこの聖女宮の部屋の配置などを把握しにちょっと席を外すよ。ノルンは疲れているだろうから、ゴンザレスくんと一緒に休んでてくれ」


「はい。ありがとうございます」



爽やかに去って行くエド様を見送り、ゴンちゃん達がいる広間へと向かう。



そこにはゴンちゃんとリドディア様が居て、一生懸命なにかを踊っていた。



「……なんの踊りですか?」


「ノルン様っ!よくぞ訊いてくださいました!これは初代聖女様が舞っていたといわれる、ミーコの舞です!」



ミーコの舞!?

初代聖女様のお友達が考えた踊りだろうか。


なぜ、剣を振り回しながら踊っているの!?


ゴンちゃんは高速回転で剣を振り回し、リドディア様は弓を振り回して踊っていた。カオスである。ミーコは戦士だったに違いない。


「ノルン様は、葉っぱですね」


「ええ!?なんで私だけ葉っぱなの!?」



緑色の葉っぱが沢山ついた枝を渡される。何だか私だけ趣向が違うような気がして少しだけ残念な気持ちになった。



「初代聖女様はこのミーコの舞で瘴気から生まれた魔物を追い払ったと書物に記してありました。さあ!練習して損はありませんよ!」


「ノルン!タノシイヨ!!」


「わ、わかりました!!」



三人でよくわからないミーコの舞を再現していると、いつの間にか来たらしい広間のドアの前でアレクシス殿下が無表情で立ち尽くしていた。


「なにやってんだ……?お前ら、旅の疲れか?」


「いいえ、ミーコの舞です!」


「……一旦やめて、ノルン。こっちに来い。お前の魔力を測定する」



アレクシス殿下は若干呆れたような口調になっている。私だってちょっとカオスかなって思いましたけど!でも、覚えて損はないらしいから、一生懸命葉っぱを振り回していたのに。


拗ねたい気持ちを抑えつつ、言われたとおりに殿下の方へトボトボ歩いた。


そうだ、オテダマン大爆発事件の時に、私の魔力について測定しようって言っていたっけ。


魔力は測定用の水晶に手をかざして判定する。

本来は神殿にしかないものだけど、王族特権で持ち出してきたのかも知れない。


アレクシス殿下の持つ水晶に手をかざすと──パァァァと光が溢れ出す。


水晶には──




「─00」と表示されていた。



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