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2.これからは俺も力になる。



「えぇ!?エド様……!?」


「ノルン、君が巻き込まれたのは俺が渡した聖女の遺物である眼鏡をつけていた所為だ。そして、聖女召喚を弟にさせてしまった責任も兄として取る必要がある。ならば、俺は『聖女・ポティ』の護衛として君たちを危険から護る。冒険者としての腕も立つつもりだし、なんだかんだ権力もあるしな」



もう決めたとばかりに私たちを優しいまなざしで見つめるエド様に、少し泣きそうになった。いつだって、エド様は困っている人を放っておけないし、手を差し伸べることに躊躇なんてしない正義感の強い人だ。



「アレクも、やり方は強引だったが……。今まで一人でよく抱えていたな。これからは俺も力になる。こうなったら共犯として、一緒にいさせてくれ」


「あ……兄上……」



いつも俺様なアレクシス殿下が一瞬だけ幼い表情になり、すぐにキリッとした表情に戻る。やはりエド様は凄い人なんだ。



「ということで、今日から『聖女・ポティ』の護衛に仲間入りさせてもらうね。宜しく!」


「ヨロシクー!ゴンザレスハ、サンセイヨ!!」


有無も言わせないオーラで押し切ったエド様は、私たちの仲間になったのだった。




◆◆◆




「それで今回のノルンの誘拐についてだ。ノルンは聖女宮でメイドに声を掛けられたところまでは記憶しているようだが、目が覚めたらコンティ家のヨシアという者に囚われていた」


「はい!新作の苺ケーキがあると、あまり見かけないメイドに言われついて行ったら、ヨシアさんの家でした!」



今回の誘拐事件について話題が移り、誘拐された経緯について話すが、苺ケーキにつられたことを聞いたアレクシス殿下はジロッと私を睨み付ける。


だって、新作の苺ケーキは気になるじゃないですか!!という視線を返しておく。



「ヨシアは何者かに母親を治せるのは聖女しかいないと吹き込まれていたようだ。実際母親は白骨化しており、彼はそれを受け入れられず精神的に追い詰められていた。そこからノルンが逃げだそうと窓から飛び降りたところで、俺と出会ったんだ」


「はい!偶然で吃驚したのですが、エド様と再会できて助けていただきました!」



窓から飛び降りたというところで、またアレクシス殿下に睨まれた。無事だったんだからいいじゃないですか!!という表情を返しておく。


それからエド様から、ヨシアさんを説得したこと。彼と母親の約束を果たそうとオテダマンを使ったことが説明された。



「あのオテダマンとかいう武器の危険性はもっとノルンに教えておくべきだったな。危うく辺り一面が吹き飛ぶところだった」


「え!?おかしいですね、そこまでの威力はないはずですが」



オテダマン開発者のリドディア様が首をひねった。いや、練習したときよりも数段上の威力でしたよ!!


オテダマンについてエド様にリドディア様が詳しく説明している。実際のオテダマンを手に取り、エド様は何かを考え込んでいるようだった。



「魔力に反応して爆発……か。恐らくノルンの魔力は他の者より多い可能性がある。瘴気を浄化する『聖なる力』は測定していても、魔力の測定はしていないのだろう?ヨシアを救いたいという気持ちがノルンの魔力を最大限まで引き出したとも考えられる」


「ま、魔力……!?」


「王都に帰ったら、一度測定しよう。安全にオテダマンを使用するためにも」


「は、はい」



微量の魔力は全員が持っているが、強い魔力は血筋によって受け継がれるため、貴族や王族しか魔力の測定は受けないのが常識だ。オテダマンの練習中は爆発しないように魔力を流していなかったのだけど。私の持つ魔力が人より多いのだとしたら──。


母は普通の村人だったはず。ならば最初から居ない存在だった父は……?


得体の知れない恐怖感が体を包み込む。考えてはいけない。自然と思考が拒んでいた。



「平民にも時々魔力の多い者が生まれるからな。その、悪かった。調べもせずに……お前を危険な目に遭わせてしまった」


「い、いえ……」


そうだ。偶々そう生まれたのかもしれない。父親のことは考えないようにして、私は話に集中した。



「聖女宮に忍び込みノルンを誘拐した者、ヨシアに聖女の噂を吹き込んだ者、今回の誘拐事件に首謀者が居ることは間違いない。『聖女・ポティ』を危険に晒して得をする者が裏で糸を引いているのだろうな」



『聖女・ポティ』が居ない方が得をする人なんているのだろうか?瘴気を浄化できるのはポティだけなのに。瘴気があった方が良い……国力が落ちるのが狙いなら他国?


国内だとしたら、第二王子であるアレクシス殿下の手柄でもある聖女召喚を快く思っていない人?あれ……それって……。



「俺なりに調査をした。第一王子派は関わっていない」


脳裏をよぎった疑念をエド様はキッパリと否定してくれ、ホッとする。


アレクシス殿下と敵対しているといえば、エド様を王位につかせた第一王子派が思い浮かんだから。良かった、エド様の派閥の人が関わっていなくって。



「それよりも怪しい動きをしていたのが……」



エド様はアレクシス殿下を見て少し言いにくそうに口を開いた。



「マネンディール公爵家だ」





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