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1.ああ、聖女様っ!召喚が成功したようだっ!


「我がラスティーノ王国は瘴気に覆われ、このままでは滅亡してしまう。聖女様を召喚し、瘴気を浄化してもらうしか手立てはない」


「聖女様──我がラスティーノ王国へ安寧を……」



国の偉い方達が聖女召喚の儀とやらで、怪しい儀式をしている中、ただのメイドである私──ノルン・ミーティルは隣室で万が一聖女様が召喚された時に備えて、お迎えする準備を任されていた。


先輩メイド達は、


「聖女召喚はここ何百年も成功したことなんてないし……聖女様が召喚されるより、お偉い様方を迎え入れる準備の方が手が足りないのよ。だから、ノルン、あなたにここを任せてもいいかしら」


「一人で心細いかもしれないけど、万が一聖女様が召喚されたらすぐに人員を派遣できるような態勢にしておくから、それまでのつなぎ役としてね、お願いできる?」


と、下っ端メイドの私に全てを任せて自分の仕事へと行ってしまった。先輩メイド達の言う事はもっともだ。いくら瘴気が濃くなってきているからといって、そう都合よく聖女召喚が成功するはずがない。


第二王子殿下が立太子するための手柄として、優秀な召喚士を招き聖女召喚に臨むという、使用人にとっては迷惑な話。そんな他人事のように思っていたのだが……。




「えっ……、何っ!?」



急に私の足元が光り輝き、そのまま床が抜けてしまったような浮遊感に襲われる。



「っ………!?!?!?」



あまりの眩さに目を閉じ、次に瞼を開けた瞬間──、



「ああ、聖女様っ!召喚が成功したようだっ!!」


「陛下にお知らせしろっ!皆の者も聖女様をお迎えする準備をすぐさま整えるのだっ!」


「はいっ!かしこまりましたっ」



大勢に囲まれて、煌びやかな部屋のど真ん中に座り込んでいた。



──待って、この部屋って……まさか……。



私を取り囲む偉い人達には勿論見覚えがあるし、この部屋だって既視感がある。現実逃避してしまいたいけど、行きつく結論はひとつだ。



「ようこそ、聖女様。我がラスティーノ王国をお救いください」



──わ、私、隣の部屋に召喚されてしまったみたいだわっ!!


「聖女様?如何なさいました?」


キラキラとした笑顔を向けてくるのは、アレクシス第二王子殿下に間違いなかった。笑顔を崩さない殿下に反して私の背中には嫌な汗が大量に流れ落ちる。まずい、この状況は非常にまずい。


むしろ何故気が付かないのか。


どう見ても仕着せを着た王宮メイドの格好をしているのに。私なんか、栗色の髪を三つ編みにして、栗色の瞳という凡庸な容姿にさらに眼鏡をかけた地味な風貌だから、聖女ではないと一発でわかりそうなものなのに。


「あの……殿下……」


「なんでしょうか。聖女様」


周囲の目を気にしながら、アレクシス殿下の耳元で、殿下にだけ聞こえるようにこっそりと囁いた。




「申し上げにくいのですが……私、ただのメイドでございます」



お読みいただきましてありがとうございます!

久々の連載開始です^^

どうぞ宜しくお願いいたします♪♪

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