霞な衝動
何処かの、何時かの休日に。
遠くを見る程此処に居る。
広がる草々撓ませて、雪を待ちつつ陽気な鼻歌滲ませる。どうせ直ぐに思い出すのだから、今は忘却の夢に落ち込もう。
陰りの遠退く白の暮れ。
気付けばのたうち回る隣り、涙は笑わずとも笑えるからそれもいい。
過ぎては帰る矛盾の愉楽。
逃れようと進むのだから、矛盾を道具と笑ってしまおう。
何時かに望んだ通り。永遠を彷徨に寛いでる。
今日があっという間に過ぎた。今迄の全てあっという間だった。きっと明日もあっという間だ。何時迄もあっという間に過ぎる。永遠を永遠に感じる事なんて出来やしないんだ。殆どを忘れるし、殆どをただ過ごす。
切り取って引き伸ばしたら一生になる。もう終わりだね。彷徨に生まれてしまったから。
だけどそんな生まれを寛いでいるから、また何時迄も寛げる。今はそれでいいから、きっとこれからもそれでいい。
やっぱり何か、滲ませるものは欲しい。
悔しさだけが苦痛を生む。悔しみを手放せば苦しまずに済む。痛みにも委ねれば痛いだけ。だけどそれも今は悔しいから、残しつつも自覚せずにいたい。
枯れてたけど。
揺れる。――揺れる――揺れる。
空を隠す雲の空であるように、世界を見る我も世界である。
その向こうには何があるのだろう。この自伏胸の遠くの心、そんな場所に他我にも見える君の気配が蹲る。だけど雲は漂うだけで、眺めていたらやっぱり君は君の儘。
種に雪が絡まって、花に戻った様。
鏡も凍てついて、もう出口は何処にも無いけれど、知れれば今に安らぎもする。
雪は不思議。孤独も苛立ちも忘れて、ただ笑みに浸らせてくれる。まるでフルートの調でも聴こえたかの様に。