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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

心の間

心の間

作者: ゆき

《ここは心の間皆様の心の奥を覗かせていただく部屋です》


そう、思えばあの日、あの時、始まってしまったのだ…


私たちが必死に積み上げてきた絆という脆い木を切り倒す作業は。



第一幕:一葉


それは突然始まった。


急に視界に板が見えるようになったのだ。それは何かの映像を写しているようだった。


「…っつ!?」


それに写されているのは、1人の女性と白い空間だった。


すると、急に1人?の謎の生物が出てきた。なんというか、ウサギの着ぐるみを着たおじさんという感じがする。


《こんにちは、はじめまして…ではないですね!》


「あ、あなた!昨日夢に出てきた…!」


《はい!覚えていてくださいましたか!

画面の前の皆さんは何が起こっているのか全くと言ってわからないでしょうから、お教えしましょう♪ここは『心の間』、皆様の心の奥を覗かせていただく部屋です!

今宵の犠牲者は三重県からお越しの『一葉さん』です!そしてこのゲームのゲームマスターが私でございます。

…呼び方は『マスター』とでも呼んでください。

このゲームは毎週月曜、朝8時に全国から人を選び、その人が心の奥で何を思っているのかを見ていく、というものです。つまり画面の前の皆さんも、もしかするとこの場に立つ人がいるやもしれませんね♪

その日を心待ちにしています。

ちなみに、選ばれた人は前日の夜に夢の中でお話しいたします。

あぁ、そうそう。

犠牲者さんは世界中の人々の声の一部を聞くことができます。

他人の評価をどうぞ楽しみながらお聞きください。

…まあ、簡単な説明はこんなものでしょう。

では、一葉さん、準備はよろしいですかね?》


「知らないわよ!そんなこと…何をやるかもわからないし…」


《では、心の間、開幕です!》


その瞬間、一葉さんの周り…いや、部屋全体に言葉、いや文が散らばってきた。



(もう、なにこれは!ほんと、私をここに連れてくるなんて…家の警備はどうなっているの!?帰ったらお父様に言いつけて全員クビにしてやるわ)


(いや…もう泣きそう…なんで私がこんな目に…はぁ、私ほど不幸な人間はいないんでなくて?あぁ、本当に可哀想な私…)


(怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い)



…などなど、いろいろだ。


「…んなっ!?」


一葉さんもしどろもどろになりながらも周りの文を見渡している。


「な、なんですの!?これは…こんなこと私思っていなくてよ!出鱈目だわ!」


《おや?私はまだあなたの心の中を示しているとは一言も言っていませんよ?》


(あ…引っかかってしまった…)


「…っつ!ぶ、無礼者!恥を知りなさい!この、国1番の会社の社長令嬢である私を侮辱するなんて…!お父様に言いつけてやるわ!」


(どうしようどうしよう…お父様ならきっと…お父様なら…)


《おやおや、なんと傲慢なお嬢ちゃまなんでしょうね〜》


(お嬢…ちゃま!?)


「馬鹿にしないで!あんまり私を馬鹿にするとお父様が…」


《そんなに父に愛されてもないのに…よくもそんなにお父様お父様と連発できますねぇ?大した根性です》


「…へ?何を言っているのか理解できないわ…。あんたたちもなに?さっきから!傲慢だとか好き勝手言って!」


(いいえ、本当はわかってる。この人たちの評価も正しい)


「お父様に愛されていないですって…?」


(もうやめて…それ以上何も言わないで…)



《ええ!もしかしてご自覚でない?申し訳ないですね〜♪》



(やめて…知らない、知らないわよ…そんなこと…)



《では、もう一度言ってあげますよ!》



(やめて)



《あなたは、》



(やめろ)(こわい)



《お父様に、》



(聞こえない!なにも、聞いてない!)(こわい)



《愛されていません!》



「…ぁ…ぅえ?そんな…わけ…」



《いつまで経っても傲慢で、我儘で、煩くて、成長しないあなたに飽き飽きしています》



(「違う!」)



《もう適当な場所にさっさと嫁がせて出て行かせようと思うほど》



(「うるさい!」)



《なぜ子供を作ってしまったのかと後悔する毎日を送っています》



(「知らない!」)



《お前なんか、生まれてこなければよかったと!》



(「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!うるさい、うるさい!うるさいうるさいうるさいいいいいいいい!!!」)



思わず顔を顰めた。


自業自得?確かにそうだけど、あんまりだと思った。


そもそも、ほんとにお父さんはそう思っているのだろうか?嘘の可能性は?いずれにしても、もう手遅れだ。


今まで彼女が築いてきた全てが終わったような気がした。



《おやおや、壊れてしまいました。では今日はこれでおしまいです。ありがとうございました♪》


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