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敵はいつでもここにいる

作者: 川里隼生

 子供にとって大人は敵だ。


 大人は子供の自由を奪う。週に五日は学校と家を往復するだけ。学校では刑務所のような分刻みのスケジュールを強制される。大人にはあると噂の有給休暇なるものは子供には採用されていない。海外では無理やり銃を持たされて戦場まで連れて行かれる子もいると聞いた。


 大人は子供に義務ばかり課して、権利を与えようとしない。酒も煙草も二十歳から。運転免許は十八歳から。全部、二十歳以上の大人だけで決められたルールだ。子供には今夜の夕飯を決める権利も与えられていない。


 大人は嘘つきだ。嘘の笑顔で人と話す。内容も大体嘘だ。よくその口で嘘つきは泥棒の始まりなどと言えたものだ。


 大人は怖がりだ。社長とか先輩とか、結婚相手の親とか、とにかく恐れる対象は増えていく一方らしい。子供が恐れる人間なんて近所のいじめっ子だけだ。大人は怖くない。怖がりな大人なんて、子供はちっとも怖くない。


 大人は子供に偉そうにする。大人になる試験に受かったわけでもないのに。ただ年を重ねただけなのに。きっとあの大人たちも、子供の頃は大人に偉そうにされて不満だっただろうに。年が経つだけで、誰でも大人になってしまう。


 大人は嫌いだ。その大人に一日ごとに近づいている、自分が嫌いだ。

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