女公爵リリアと魔王リリアの違い
上空ではバルト達が必死で魔王の足止めに徹している。リリアの『病み』は凄まじく、倒すことは難しいと判断したのだ。
「よっと!」
『ちょこまかと……!』
「ほいな!」
『ちぃ!』
レオンとレオールが陽動しメイベル、フィアン、バルトが魔法で攻撃する。倒せなくてもリリアが来るまでの時間稼ぎになると思ったのだ。しかし、バルトは違和感を感じる。なんだか魔王の様子がおかしい。魔力の濃さが変わった。魔法もさっきまであんなに乱発してたのに……
「……もしかして魔力切れか?」
『あんた達がおかしいのよ!こんだけ魔法使っててどうして魔力切れ起こさないのよ!』
「いや、無限やし」
『……は?』
魔王は唖然とする。いや、元々魔力が『測定不能』だった規格外はリリアだったのだが。
「ってか、リリアだって無限だからてっきりお前も無限だとばかり思ってたんだけどな?」
『そんな訳ないでしょ!?あんた達バケモノじゃない!?』
「……魔王に『バケモノ』言われてもーたわ」
フィアンの言葉にキレる魔王。メイベルは頭を抱える。思わぬ事実に全員驚くしかない。
「そうか。魔力も体力も『測定不能』なのは、リリアが神系の称号を持ってたからなのか」
「確かにウチらかて、SSSランクに上がっても魔力も体力も表示されとったもんな」
「よく考えたら、俺も体力が『測定不能』になったのは洗礼を受けてからだ。種族が『神族』になって称号に『神の御使い』が入ってからだった」
「そりゃあ、魔王じゃあ無理だよねぇ」
神系の称号を得た時に『測定不能』という規格外が生まれるのだろう。魔王にはそれに変わるものはない。下手したら普通に生きている上では無限に近い魔力でも、こうやって戦闘になれば枯渇もするのだろう。
『ふざけるんじゃないわよ……!』
魔王から『病み』が溢れる。
『どいつもこいつも馬鹿にしやがってぇ……!』
「うわっと!」
「フィアン!」
『病み』の圧に飛ばされそうになったフィアンをメイベルの魔法が受け止める。
『私だってあんな男の子供で生まれたくなんてなかったわよ!誰も産んでくれなんて言った覚えはないわ!』
バルト達は『病み』に飲み込まれないように結界を貼る。
『勝手に産ませたくせに何が『平民に産ませた子供』よ!何が『ありきたりな名前』よ!』
魔王の言葉が止まらない。目からは涙が溢れ出てくる。
『『SSSなんだから出来ないわけがない』?『俺は間違っていない』?間違いだらけだってのよ!『上級魔獣なんて誰でも討伐できる』ですって!?アイツは魔法使いとしてだってAランクだし初級魔獣だってギリギリのくせに!ふざけんじゃないわよ!』
「これって……」
「ああ、リリアの『病み』の原因だろうな」
リリアがずっと抱えていた『病み』が魔王の口から出てくる。国王は城のバルコニーから、王妃も部屋から魔王の叫びを聞いている。
『お披露目会の時だってそうよ!侯爵の御曹司を婿養子にして!私の旦那にして!戦うしか脳のない私はお飾り女公爵!?そして魔法で会場を吹き飛ばしたら『助けてくれ』って醜く命乞いしやがって!助ける訳ないだろう!?』
魔王はバルトを睨む。
『殺してやる……!滅ぼしてやる……!この世界ごと全て!』
魔王が『病み』を広げようとした途端、何処からか美しい歌が聞こえてきた。
「……!リリア!」
「「「「え?」」」」
メイベルの声で振り返ると、城の前には確かにリリアの姿があった。
『神族』であり『神系の称号』があるからこその無限魔力です。
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