冒険者登録します
学園帰り。馬車でバルト達と冒険者ギルドに向かった。この馬車はバルトを迎えに来た物だ。実は私のの迎えはない予定だった。何しろ家計が火の車状態なので売れるものは売ってしまっている。そこで馬車を売るのかと国王に驚かれたが、だって悪趣味なんだものあの馬車。無駄にゴテゴテと飾って、悪目立ちする造形だった。あの馬車に乗るくらいなら徒歩で通います、と国王に言って買い取っていただいた。その代わりにロベルト侯爵に話をしてくださった様で送り迎えをしてくださる事になった。寄親・寄子の制度を存分に使った救済措置だ。本当は寄親が寄子に便宜を図るのが普通だが、状況を知らなかったとはいえ、寄子であるロベルト侯爵への支援のほとんどがリリアの魔獣狩りで得た収入だと知って、その罪滅ぼしなのかもしれない。
「しっかし、流石は侯爵様の馬車やわ。豪華やねぇ」
「ありがとうございます。乗り心地を追求させた物ですし、リリア嬢もいますからね」
「私ですか?」
「ええ。父上が気にかけてます。申し訳なかったと」
「そんなに気にする事もないのですが……」
「寄子ですからね。金遣いの話も知っていたのに、と言うところでしょう」
「そんなものかな」
「そんなものです」
バルトはニコッとする。この笑顔にどれだけのご令嬢が落ちたのか、全く。
「はぁ。仲がよろしいなぁ。もう結婚せぇや」
「私は構いませんがね」
「おや、大胆だね」
メイベルの発言にしれっと答えるとレオンは目を丸くする。
「だって、お披露目会の時にバルト様を紹介したのってロベルト侯爵の方にもそう言う考えがあったからですよね?」
「そんな風に見えましたか?」
「ええ、そうじゃなかったらバルト様もあんな紹介程度で緊張しないでしょう?」
「公爵家の美しいご令嬢、しかも寄親のご令嬢にご挨拶となれば緊張もするものですよ?」
「お世辞でも嬉しいですけどね」
「お世辞が言えるほど、女性には慣れていませんよ」
「あー、分かった分かった!仲良いのはよぉく分かったから!目の前でイチャイチャしないでくれ!」
「別にそんなんじゃないんですけどね……」
「もしかしてリリア、アンタめっちゃ鈍感やな?」
メイベルがそう言って呆れると、バルト達は苦笑いをする。何を言っているのかわからない私はキョトンとした。
そんな話をしている内に冒険者ギルドに到着した。建物はハーフティンバー様式でかなり敷地面積は大きい。中は賑やかな広間が広がっている。奥には受付があり、左脇には食堂、右脇には掲示板があった。
「失礼します。アトラント学園の新入生なのですが、Sクラスの担任であるライオネル・フォン・アデール先生の勧めでギルド登録をさせていただきにまいりました」
バルトはそう言って先生からの紹介状を受付に出した。
「お預かり致します。……かしこまりました。すぐにギルドマスターを呼んでまいります」
受付嬢は慌てて席を立った。
「……先生って、すごいんですね」
「知らなかったん?先生は冒険者としても実績があって、Sランクなんやで?」
「そうだったんですね」
そう言う情報は書庫で調べても出てくるわけではない。もちろん伝説になっている勇者や聖女なんかは分かる。しかし、冒険者の中で有名なパーティーとか、そう言った情報は入ってこない。
「君は冒険者の情報はどのくらい持っているんだい?」
「全くだと思いますよ?何しろ毎日森に入って魔獣を討伐していたので」
「素材を売るときは?」
「父上がやってたので」
「つまりお買い物なんかも経験はないと」
「まあ通貨は分かるんだし、算術も出来ますからね。なんとでもなるのでは?」
「レートの確認とかは?」
「あ、それは習いました」
「そこは習ったんだね」
「家庭教師から」
「なるほど」
物価やレートなどは貴族の嗜みとしてその辺は学んでいた。しかし、それ以外の一般常識は落第点かもしれない。
「おいおい。ここはいつからお子ちゃまの遊び場になったんだぁ?」
……出た。ラノベ名物、『新人冒険者いびり不良冒険者』。あまりのテンプレでワクワクが止まりませんぞ?
「こっちは冒険者登録や。邪魔やから、暇なんやったら魔獣に遊んでもらっとき」
「んだと!このガキ!」
メイベルの容赦ない言葉に煽られてキレた男が拳を振り下ろそうとすると、すぐにレオンがその拳を抑える。
「おっと。レディーに手をあげるのは感心しないな」
「テメェ……!」
「あまり問題を起こすと除名処分じゃなかったかな。やめておいた方がいいと思うよ?僕たち、自慢じゃないけど貴族だから」
そう言うと冒険者は少し動揺した。ああ、気がつかなかったのか。でも、これでは親の権力を盾にした感じがして印象が悪い。
「レオン。あまり身分をひけらかすのは感心しませんよ?」
「おや、これは失礼しました」
私が苦言を呈すると、レオンは素直に手を下ろして頭をさげた。こういう素直な所がレオンのいい所だ。
「ホォ?いい心がけじゃねえか。なぁ?」
そう言って私の腕を強引に掴んでくる。やれやれ……
「全く……あまり荒事は好きじゃないんですけど?」
視線を冒険者の方に向けた。次の瞬間、冒険者の顔は引きつり足は諤々と震えている。すぐに手を離し後退りしてゆく。ズボンの股ぐらにシミが広がり始めた。ギルド内はシンとする。
「……リリア嬢。もうよろしいでしょう。メイベルとフィアンが辛そうですよ」
バルトに言われて振り返るとメイベルは腰を抜かし、フィアンは怯えて震えている。
「ああ、ごめんなさい。メイベル、フィアン」
すぐに元の空気に戻す。そう、これは殺気というもので、レベルが20まで上がると使える様になるものだ。レベルで殺気の濃度などが変わるのだが、つまりレベル100になっている私の殺気は桁違いなのだ。下手な人間は耐えられない。ちなみに、お披露目会の時の襲撃者にやったのも殺気だ。
「バルト様とレオン様はよく大丈夫でしたね」
「訓練を受けていますからね。それでもこの殺気の重さは凄まじいの一言ですが」
「流石はリリア嬢。エルドラン公爵の非常識教育を生き抜いて来ただけの事はありますね」
「非常識教育って……」
「5歳から魔獣狩り始めて、6歳から上級魔獣を討伐してたなんて非常識以外のなんだってんだよ」
「ホンマや。挙句にレベル上限突破してもーて100にまで到達してまうなんて非常識ここに極まれりやで?」
いや、まあ、そうなんだけど。そんな大声で言ったら目立つじゃん……。そう思ってはっとした。そうか、バルトたちは牽制しているんだ。こいつに喧嘩を売ったら怪我じゃ済まないから止めとけと。効果はてきめん。冒険者たちはリリアたちに喧嘩を売った冒険者に『あ〜あ、アイツ、終わったな』と言う視線を送っている。
「ったく。元気なガキ共だな」
振り返ると、そこには若い冒険者の様な男がいた。リリアが3人ほど必要なくらいの身長。赤い髪に尖った耳が頭の上から見えている。猫人族の中でも赤猫族の獣人だ。
「よぉ。俺がギルドマスターのケインだ」
「お騒がせをいたしました。エルドラン公爵家が長女、リリアです」
「ロベルト侯爵家が長男、バルトです」
「ノルン伯爵家次男のレオンと申します」
「ザック商会会頭の長女、メイベルどす。よろしゅう、お頼もうします」
「その辺の広場で屋台出してる一般人の息子のフィアンっす」
「ちょ!ズルいでフィアン!アタシかて一般人や!」
「他にどんな自己紹介があるっつーんだよ!お前だって商会頭の一人娘じゃねーか!どこが一般人だ!」
「はっはっは!そりゃぁ自己紹介しずれーわな!大丈夫だ、俺は堅苦しい挨拶が苦手でな。お前見てーな挨拶の方が嬉しいさ」
ギルマスは豪快に笑ってフィアンの頭をクシャクシャと少し乱暴に撫でた。
「しっかし、錚々たるメンツだな。ライオネルの奴、何考えてるんだ?」
「先生をご存知なんですね」
「おう、元パーティーメンバーだからな」
「巷では有名やで?SSの魔法使いのライオネルと大剣を振り回してバッサバッサと切り捨てるケイン、してどんな怪我も治す回復魔導士兼魔道具使いのフィン。向かう所敵なしの3人が集まったパーティー『黒炎』て」
王国で昔あった魔獣の爆発的発生で王都が危機に陥った時に、城壁をその卓越した魔法と剣術で守り通し、怪我をした兵士を桁違いの回復魔法で癒し続けたと言う。それが『黒炎』で、今でも吟遊詩人が歌い継いでいるそうだ。
「そうだったんですね。確かにオーラは全く違いますけど」
「吟遊詩人の歌にも出てくるくらいですよ。聞いた事ないですか?」
「……魔獣の森には届きませんでしたね」
「それは無理だねぇ」
「毎日森にいたら無理に決まってんだろ」
うちの領地にも吟遊詩人が来たことはあるが、そういった類の事が嫌いだった父上が、『五月蝿いからさっさと出て行け!』と言って追い払っていたため聞いた事がなかった。兄上もアメリアも知らないかもしれない。
「おいおい……吟遊詩人の歌を聞いた事ねえって、どんだけ浮世離れてたんだ?奴の手紙にも魔法の試験も筆記試験も首席だが一般常識が落第だから教えてやってくれって書いてあったが」
ギルマスは眉根を寄せる。そんな非常識なつもりはないんだけど……
「毎日エルドラン領の森で魔獣討伐をし、時には森の中を身体強化で移動してロベルト領の森にいる上級魔獣を討伐して持ち帰っていたそうです」
「はぁ!?」
「それを6歳の頃からやらせてたっちゅう公爵様も大概やし、それをこなしてたリリアも大概や」
「そんでそん時の魔獣の素材を学園じゃあ買い取れないからギルドに登録して買い取ってもらえって先生から言われたっす」
「上級魔獣の素材じゃあ学園は無理だな、確かに」
「それで、せっかくならパーティー組んで依頼を受けたらどうだと言う事で」
「登録させていただきにきた次第です」
「アイツは……」
ギルマスはため息をついて頭を抱えた。
「ギルマス。もう諦めた方がええで?はよ処理しましょ」
「……そうだな」
メイベルに同情の視線を受けながらギルマスは頭をあげた。
「登録の手続きをしよう。あと、素材を見せてくれるか?」
「分かりました」
私は後ろを見て、いまだに唖然としている不良冒険者に手で避けろと言ってアイテムボックスを開いた。不良冒険者は慌てて逃げた。黒い穴からドサドサと魔獣の素材が出てくるわ出てくるわ。
「……いや、なんぼほど入ってんねん!」
「どうでしょうね。もう何入ってるかも分からなくなってましたし」
ちなみにこのアイテムボックス、容量が無制限なのだ。しかしそうすると整理整頓が大変なのでこの中に倉庫がいくつかあり、その中に素材として種類分けして物を保管している。手動のソート機能だ。そうしてても把握しきれなくなっていた。
「あ!」
「「「「「!!」」」」」
一瞬落ちて来た素材を慌てて拾ってボックスに収納し急いで閉じる。振り返ってバルトたちに『……見ちゃった?』と目線で問いかける。
「……もう突っ込まねえぞ!俺は!」
ギルマスは呻いて言う。そう、一瞬出て来てしまったのはエンシェント素材だ。流石にここではまずいだろうと思って出すつもりはなかったが、出て来てしまったのだ。
「まあ、こっち側に落ちたのでよしとしましょうか」
バルトは苦笑いをする。そう、バルト達とギルマス以外は見えていなかったのだ。何しろ他の素材だけで山になっていたから。すでに素材として解体されているだけマシであろうか。
「これ一度に買い取ったらギルド破産すんじゃねーの?」
「ありえるねぇ。小分けにした方が良さそうだね」
「そうですね。……今日、レートが高い素材って何でしょうね?」
「ホーンラビットの角だが……」
「それなら200本超えてありますね」
「……一本銅貨5枚だな」
銅貨10枚で大銅貨1枚、大銅貨10枚で小銀貨1枚となっていく。つまり、角200本で銅貨1000枚、つまり銀貨1枚か。200本ならね。200を超えたあたりから数えてないのだ。何本になっているやら検討もつかない。
「……リリア嬢。申し訳ないが、半分にしてくれ。金庫の金が枯渇しちまう」
「構いませんよ。100本で小銀貨5枚ですね」
「悪いな。すぐに手続きをさせる。他のはしまっといてくれ」
「分かりました」
ギルマスに言われ、さくっとボックスに収納する。全員疲れたような顔になった。そしてここでは荷が重すぎる、と言う事で執務室に案内された。
「まずはギルド登録だ。お前ら、パーティー名は決めてあるか?」
ギルマスに言われて全員で「「「「「あ」」」」」となった。そう、名前を決めていなかったのである。
「……どうします?」
「そうだねぇ」
「正直言って浮かびませんね……」
「パーティー名なんて考えた事ねえからなぁ」
「ギルマスはどうやって決めはったんですか?」
メイベルがギルマスに聞くと、簡潔な答えが返ってきた。
「ノリだ」
「アホな理由やった!?」
「んなもん真剣になんて考えたらロクなネーミングになりゃしねーよ。お前達のセンセーが得意としてた魔法が黒い炎だったからだな」
「想像以上に安直でしたね……」
リリアも思わず呆れてしまった。いや、厨二病センスだなとは思ったけどさ。
「俺が決めてやろうか?」
「何か妙案が?」
「そうだな。リリアの強さは異常だ。100レベルのSSS魔法使いなんて、エンシェントドラゴンを相手にした方がまだマシと言える程度には強いだろう。ってか、エンシェント倒せてるしな」
あ、嫌な予感がする。
「ってな訳で『エンシェント☆キラーズ』でどうだ?」
おぉう……厨二病大爆発。その『☆』って何?いる?
「……悪くないんちゃう?」
「!?」
「エンシェントを倒しているのは事実ですしね」
「このくらいのネーミングの方が逆に喧嘩売られずに済みそうだねぇ」
「異論はねーな」
嘘でしょ?この世界の人たちは厨二病疾患者なの?厨二病に効く薬とかないかな?結局、他の候補もないため、『エンシェント☆キラーズ』と言う痛々しいネーミングのパーティーとなってしまった。
「なあ、ひとつ聞いてもええか?」
美味しい紅茶を頂きながらメイベルはリリアに聞く。
「何ですか?」
「あんなアホなノルマとかを強要して、ほかの領地に行って野宿せんとあかん様な事命令されて、それで疑問に思わんかったん?」
メイベルの疑問はごもっともだった。逃げようと思えば逃げられた。何故逃げなかったのか。ギルマスを含め、全員の視線が注がれる。
「……弱かった。その一言につきますね。命令されてそれに従わない、という発想がなかった。母上も2人目を妊娠中に亡くなりましたし、親は父上だけでしたから」
母上が亡くなったのは私が2歳の時だった。妊娠中に病気になり、医師は中絶を勧めたが『死んででも産め』と言った。結局、母子ともに死んでしまった。そんな報告を受けた父上の一言は『役たたずめ』だった。
「最後の方は、はっきり言って父上の事は見限っていました。でも、兄上や妹を見限る事はできませんでした。兄上も代官の才がなければ捨てられたでしょうし、妹はメイド見習いにされてましたし。あそこまで酷い目にあっていたとは思いませんでしたけど、でも雨風がしのげるだけマシだと言って笑う妹を放っておく事はできませんでした」
前世で言いなりになる事に慣れすぎていて、そこから脱却できなかった幼少期。魔獣の森に討伐に入る頃には何かおかしいのではないかと思う様になり、最後の方では自分が当主になって兄上とアメリアを救おうと模索する毎日だった。
「まあ、言い訳ですけどね。全て私の心の弱さゆえです。妹は心が壊れてしまっています。受けていた仕打ちを知らなかった、では済まされませんし、兄上だって本当なら公爵を継ぐ立場にいたんですから。2人を傷付けたのは父上ですが、私もその片棒を担いでいると言われたらその通りですとしかお答えできません。誰かに助けを求める事もできましたし、それをしなかったのは私の甘えであり弱さです」
「そんな事ないとは思うがなぁ」
ギルマスは唸った。10歳にして兄と妹が受けた仕打ちに目を向けてその事実を自分のことの様に受け止める事ができる。あの父親に育てられた子供がここまで品行方正に育った時点で、リリアが強かったと言えるのだ。
「アメリア嬢を傷付けたのはメイド長ですし、聞いた所それを知った時に尋問したのは城から派遣された騎士ではなくリリア嬢だったと聞いています。ジェイコブ様も自らの意思で代官の道を進んでいらっしゃいます。リリア嬢の補佐をするためと言って。リリア嬢が弱い存在なら補佐しようと思わないでしょう?」
バルトは微笑んで言う。全員うなづいている。
「少なくとも弱いと言える時点で弱いとは思わへん」
「本当に弱い人間は自分が弱いとは認められねえからな」
「そう言う人間にだけはなるなって、父には言われたねぇ」
私は黙って紅茶を飲む。それを素直に受け入れて良いものかが分からなかった。だって中身は三十路を越え、今世を含めたら40を過ぎる記憶を持つ大人なのだから。
「まあ、悩むのは若い証拠だ!いっぱい悩んどけ!そうして、後悔しない様な選択をできる様にしろ!」
ギルマスはそう言ってニカッと笑う。シリアスな空気は苦手な様だ。するとドアがノックされて受付嬢が入って来た。
「ギルドカードです」
「よし。ではギルドカードについて説明するぞ。まあ知って入るだろうが一応、様式美ってやつだな」
ギルドカードは学生証の様なもので、表面には氏名と年齢、顔写真、ランクが入っている。そうして専用の水晶でできたプレートにかざすと、スキルやギルドで受けた任務の進捗状況などがわかるそうだ。
「任務の達成の判断は水晶で判断する。ランクアップに伴ってカードの更新が行われる。ランクはGから始まって最高はSSだ。SSランクになるとカードがプラチナになるぞ」
「ちなみに、国内にSSはおるんか?」
「今はいないな。最高でSだ」
「それも凄いですけどね」
「冒険者としてCランク以上になると羨望の眼差しを向けられるものだからねぇ」
「Sとなったらもはや英雄だよな。目の前に元Sランクがいるけどな」
「あ、Sだったんですね」
リリアは知らなかったが、『黒炎』はパーティーとしてSランクになっていたそうだ。
「昔の話だがな。さて任務だが、最初はGランクの任務は薬草採取かドブ浚いかゴブリン討伐だ。パーティーで受けるならFランクも受けられる。そうなるとホーンラビットの素材回収なんかも受けられるな」
「今時期ゴブリンが多いから討伐に行ってもいいかもしれませんね。でもホーンラビットも捨てがたいですね」
ゴブリンの繁殖期は冬なのだ。今は春なのでちょうど多い時期で討伐隊が結成される時期なのだ。
「ホーンラビットの角や内臓は薬にもなるからねぇ」
「皮は防具にもなるし、ええと思うで?」
「依頼はホーンラビットを受けて、その道中でゴブリンにであったら討伐しておくと言う事でいいのでは?」
「常設依頼だからな。それでいいかもな」
討伐依頼として置かれている薬草採取とゴブリン討伐は常に掲示板に貼られている。薬草は回復薬を作るのに常に必要とされているし、ゴブリンは繁殖力が高く、繁殖期でなくても増えはする。
「では、ホーンラビットの依頼を受けていきましょうか」
「了解した。依頼内容はホーンラビット5匹だ。依頼失敗すると罰金もありうるからな。気をつけてくれ」
「分かりました」
ラノベ名物!新人イビリ系不良冒険者!しかも弱い!……いや、リリアが強すぎか。
予約投稿です。誤字脱字がありましたら連絡お願いします。