皇帝に謁見
謁見当日。謁見の間には帝国貴族達が集まり、リリア達は玉座の前で最敬礼をする。リリア達の武勇を目の当たりにした貴族達は羨望の眼差しを、見ていない者は胡散臭そうな視線を向けている。貴族のご令嬢がリーダーだなんて、たかが知れてると思っているのだろう。
「『エンシェント☆キラーズ』よ。この度は余の救援要請に答えてくれた事、心から感謝する。しかもリリア公爵自ら足を運び、自ら先陣を切って対応してくれたと聞く」
「もったいないお言葉です」
「約束通り、帝国からミスリルを年間10万トン輸出することとする」
「ありがとうございます」
貴族達はザワついた。2つの意味で。1つはリリアが公爵である事。こんな可憐な少女がかの『鮮血嬢』だとは思っていなかったのだろう。そしてもうひとつは輸出されるミスリルの量だ。とんでもない量なのだ。この国で産出されるミスリルの半分だ。つまり等分しようという事なのだ。
「これは我らが帝国で起きかけたクーデターを未然に防いでくれた彼女達の功績に報いるための正当な報酬だと思う。そしてこれからも王国は我らを助けてくれると言ってくれている。その証拠に……」
皇帝陛下は側にいたステラ皇女から豪華な装飾の剣を受け取った。
「これは王国と帝国の友好の証としてリリア・フォン・エルドラン公爵が作ってくれた剣だ。この剣は世界でたった2本。国王と皇帝にのみ受け継がれるものだ。この剣が互いの血で染まることがない事をここで宣言するものとする!」
鞘から剣を抜くと歓声が上がる。この剣は100%ミスリルで作られた剣であり、魔道具にもなっている。その効果は調印式の時に分かるだろう。
「そして、王国からは魔法と剣術の指導をしてくれるという。そして、そのために『エンシェント☆キラーズ』の支部を帝国に作る事となった。その支部長にはレオール・フォン・ドール殿が着く事になった。加えて、レオール殿と第1皇女ステラが婚約する運びとなった」
そう、レオールが話し合いに呼ばれた理由はこれだった。実はステラ皇女はレオールに一目惚れしていたらしい。しかも帝国騎士に勝てるだけ強い。元夫なんて足元にも及ばない。まさに王子様なのだ。昨日からプレッシャーで一睡も出来ずにいたレオール。若干不安はあるが、まあ大丈夫だろう。
騎士達はレオールが貴族だとは知らず、失礼な態度をとった自覚のある者から顔色が悪くなり、貴族達も文句を言う材料がなくなり呻いている。義手であること以外ない。
「レオール殿。任せても良いか?」
「はい。謹んでお受け致します」
緊張しっぱなしのレオールに対してステラ皇女は嬉しそうだ。これは尻に敷かれるな。
「支部はハーン元宰相の屋敷とし、結婚後はステラもそこに暮らす事になる。新人の騎士達はそこで警備と共に訓練を受けてもらう。魔法使いもそこで訓練を受けて、冒険者として帝国各地に派遣出来るようにしようと思う。
そして今回から帝国騎士団に新たに魔法師団を創設する事となった。そこに籍を置く事も可能になる。その指導はリリア公爵がこの国で実力を認めた冒険者、デニス殿に任せる事になる」
昨日デニスと会うと、見違えるように強くなっていた。ポテンシャルは高かったのだ。何しろ魔法使いランクSSなのだから。今回の人事を伝えると、キャパオーバーだった様でしばらく何も言えなくなっていた。『私の弟子として頑張って!』というと、涙をポロポロと零していた。
「調印式は後日、話し合って行われる。場所は帝国と王国の国境にある関所で行う。その日までにレオール殿を除く『エンシェント☆キラーズ』は王国に戻り、国王と共に関所に来る。調印式が終われば『エンシェント☆キラーズ』帝国支部を初めとして帝国内を観光して、夜には歓迎の夜会を行う。リリア公爵達は『エンシェント☆キラーズ』として、そして帝国の貴族代表として来る事となる」
皇帝から説明を受けるうちに貴族達の表情がキリッとしてきた。他国の国王がいらっしゃるとなれば、皇帝の恥となることは出来ない。
「それではこれで謁見は終了となります」
謁見は終わり、リリア達は控え室に戻った。流石に王国で何度か経験しただけあって、皆慣れてきたようだ。
「はぁぁぁぁぁぁ……」
ただ1人、違った意味で緊張している人間がいるが。
「レオール。いい加減諦めや。もう決定事項や」
「俺が支部長……」
「慣れだ慣れ」
「馴れるまでが……」
メイベルとバルトという代表の先輩に慰められながら、レオールは頭を抱える。
「胃薬ちょい多めに仕入れたるわ」
「頼む……」
「デニスも大変だろうなぁ」
「仲間がいて良いじゃねえか」
デニスも胃薬のお世話になるだろう。
一目惚れした皇女様、怖いwww
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