謁見前日
皇女様はお腹を抱えて笑っている。笑い過ぎてヒクヒクしている。
「なーして貴族っちゅうのを忘れてまうんや……」
「いやぁ、魔力操作してないなんて思わなくて……」
「魔力操作なしの大爆発を目の前にしたらな」
「忘れちまったと」
あの後メイベル達がたまたまギルドに来て『何してんねんな!』てな感じで救助された。
「あれは壮観だったねぇ」
「入ってすぐに敬礼だからな」
「でもメイベルのおかげで討伐報酬の交渉出来て助かったわ」
「まあ、専門分野やからな」
一応、王国の代表として来ているし、討伐した魔獣の報酬を貰う訳にはいかない。そこでデニスと剣士2人に全部投げる事にしたのだ。と言っても、一度はリリア達を含めて分配。そこからリリア達の分をデニス達に分配したのだ。メイベルの計算の速さに受付嬢は驚いていた。
「はぁ……はぁ……こ、こんなに笑ったのは久しぶりですわ……!」
「それは良かった」
「はぁ……そういえば、謁見の日程が決まりましたよ」
「結構早かったですね」
「いつまでもお待たせする訳にもいきませんので。謁見は明後日に行います。そこで明日はリーダーであるリリア様と打ち合わせを行いたいと思うのですが」
「分かりました」
「他の皆様はそれが終わるまで明日は待機でお願いします」
「そうしたらアタシらは暇やな」
「来てもいいんだよ?」
「むさ苦しいから嫌や」
「まあ、男3人の部屋だからな」
「応接室にてお待ち頂くので大丈夫ですよ」
「ホンマか。ならええわ」
謁見に向けてどんな交渉になるのか。今回の山場といえる。気を引き締めないといけない。今日は英気を養うために早めに休むことになった。
次の日、リリアは皇帝陛下との打ち合わせに挑んだ。補佐にはステラ皇女がいた。内容としては今回の救援要請を受けたことへの感謝とハーン宰相とその息子への処分。結局、ステラ皇女は離縁するそうだ。この状況ではそうだろう。ステラ皇女の気持ちを慮ると……と思っていたら、元は政略結婚だから恋愛感情はなかったという。むしろスッキリした、と実にあっさりとした答えに皇帝陛下でさえ苦笑いだった。また、皇帝陛下は朦朧とする意識の中アルベルト国王に救援をと思ったそうで、それが例の手紙だったそうだ。その手紙の返事で今回の交換留学の提案が来て、最も驚き予定が狂ったのはハーン宰相親子だったとか。彼らはガジャの葉で帝都民を錯乱させて暴動を起こさせようとしていたそうだ。そしてどさくさで第1皇子を暗殺して第1皇女ステラを皇帝に据えて、実権だけを奪おうとしたらしい。
「ミスリルに関しては予定通り輸出しようと思う。そうして、もうひとつ頼まれて欲しいのだ」
「はい?」
「君達『エンシェント☆キラーズ』の支部を帝国に配置して欲しいのだ。魔法もそうだが、剣術も騎士団長を始め、うちの騎士達が誰も勝てなかったと聞いてな。そちらも頼みたかったのだ。アルベルト国王には確認してある。本人達さえ良ければ構わないと言っているのだ」
確かに騎士の指導は一喜一憂ではないし、支部があれば何かと便利だ。そうなると問題は1つ。
「支部長にうちのメンバーを据えないといけませんね」
「そこなんだ。そこで1つ交渉したい」
応接間ではバルトとメイベル、フィアン、レオンが紅茶を飲んでいる。レオールは途中で呼び出されて離席中だ。
「バルトが呼ばれるならわかるんだけどなぁ」
「サブリーダーやからな」
フィアンはパクッとクッキーを放り込む。メイベルは紅茶を一口飲む。
「レオールは騎士達に勝ってたからねぇ」
「それかもな。指導して欲しいのかもな」
過去はどうあれ、剣士としてSSSランクになった。実力は本物だ。それはバルトも認めている。
ガチャッと音がしてリリアとレオールが戻ってきた。
「おかえり。どうやった?」
「概ね予定通りだよ。陛下に確認も取ってあるみたいだし。ミスリルの件も予定通りに輸出されるって」
バルト達はほっとした。無事に山は越えた。流石は公爵を任されただけはある。皆改めて見直している。
しかし、レオールの表情がパッとしない。
「どうした?辛気臭い顔して」
フィアンは怪訝な顔をする。
「プレッシャーで押し潰されそうになってるんだよ」
「何かあったのか?」
バルトも心配そうだ。リリアが笑っているから深刻な話ではないのだろうが。
「それがね……」
リリアから聞かされた話はまさに衝撃だった。
レオールの人生の分岐点ですね
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