レムリア帝国
3日後、帝国領に入り帝都に向かう。見下ろすと、いくつかの領地が見える。
「こうしてみると王国とそうは変わらないな」
「そうだね。でも報告にあったような魔獣の脅威に晒されてる感じはないけど……」
バルトとリリアは言う。索敵魔法を使うが、現在の王国と変わらない数の魔獣しかいない。跋扈する、という程ではないのだ。
「帝国の魔法ってそんな弱いんか?」
「まあ元から王国より不得手ではあったが、自衛が出来ないほどではなかったと思うがな」
メイベルの問いにレオールが答える。帝都上空に入ったが、なんだか帝都が煙たい。ガスっているのか?
「何だろうな。魔獣どころか人がほぼいないぞ?」
ゴーストタウン状態だ。建物の前にいる人がチラチラ見えるが、皆何かを吸っている。
「あの大きさ……水タバコ?」
「水タバコって何だ?」
水タバコとはタバコの葉に香りをつけて、それを熱して水を通しながら吸うタバコの一種だ。アトラント王国でも紙タバコは存在している。
「紙タバコと違って持ち運びできないからね。不便ではあるけど好きな人は多いだろうね」
「へぇ。煙たいんって、これが原因やないの?」
ガーディアンホースの様子を見るが、一応大丈夫な様だ。
「ガーディアンホースが大丈夫だから神族の私達も大丈夫だとは思うけど。一応衣装と一緒に配ったアクセサリーを起動しておいてね」
「いいけど、これって何なんだ?」
「私しか作れない【パーフェクトガード】を付与した魔道具」
「「「「「……」」」」」
はい、ジト目を頂きました。だって外交でおいそれと死ねないじゃん。一応、毒とか奇襲とかには対策を完璧にしておいたのだ。国際問題は地球の神々だけで十分です。
「はぁ……まあ、有難いからええねんけどな」
とりあえず魔道具を起動して、一同は城に到着した。
城の前には多くの騎士が集まっていた。皆やはりガーディアンホースに驚いているようだ。馬車から先ず降りたのはバルト。そしてリリアがバルトのエスコートで降りる。リリアの美しさに騎士達は思わず『おぉ……』という歓声を上げていた。見た目だけは天使だからね。見た目だけは。全員が降りた所で1人、帝国側から明らかに大臣であろう人が出てきた。
「ようこそ、レムリア帝国へ。私は宰相を務めますハーン・フォン・ツェードと申します」
「アトラント王国より派遣されました、公爵を仰せつかっておりますリリア・フォン・エルドランと申します。『エンシェント☆キラーズ』のリーダーを勤めさせて頂いております。以後お見知りおきを」
ザワついた。コソコソと話している中で『鮮血嬢』という言葉がしきりに聞こえてくる。あ、その二つ名この国でも有効だったんだ。
「貴女が噂の『天使公爵』ですか。噂通りお美しい」
「恐れ入ります」
ニヤニヤと上から下まで舐め回すような視線。エロ親父か、この男。
「ではこちらへどうぞ」
「あ、少々お待ちを」
リリアはそう言ってガーディアンホースの元に向かう。馬車を外すと鼻先を優しく撫でる。
「ありがとう。ゆっくり休んでね」
「ブルルルル《 お気遣いありがとうございます 》」
ガーディアンホースは一声嘶くと、魔法陣の中に消えた。ちなみに、リリアにのみ言葉が聞こえる。主従関係を築いている者とのみだそうだ。
そして馬車はアイテムボックスに収納する。
「お待たせ致しました」
「「「「「……」」」」」
帝国側、唖然である。技術はなくとも知識はある。魔法陣で送還したということは、あのガーディアンホースの主だということだ。あの大きな馬車だって収納出来るアイテムボックスを所持しているという事は、魔力も桁違いなはずだ。
本当はこんな事しなくても預けたらいいのだろうが、ハーン宰相との会話で信用が置けなかったから。牽制にもなるだろう。
「ははは……SSSランクは伊達ではありませんな……」
「恐れ入ります」
ハーン宰相は我に返って慌ててリリア達を案内する。通されたのは皇帝の寝室だった。はてとリリア達は首を傾げたが、その理由はすぐにわかった。
「お初にお目にかかります。皇太子はまだ幼いため代理を務めさせていただいております、第1皇女のステラ・フォン・レムリアです。こちらが皇帝のガストラ・フォン・レムリアです。2日前から昏睡状態ですが……」
そう、皇帝陛下が昏睡状態だったのだ。
帝国に到着しました。はてさてどうなる事やら
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