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創造神の消滅

創造神が消滅しかけてる。それはあまりに衝撃的な話だった。


「とは言っても、お前達が生きているうちは問題ない。それはお前のおかげだ、リリア」

「慰謝料の魔力で延命出来たと」

「そう言う事。僕は転生先が創造神だっただろう?この世界に馴染んでなかったからだろうな」

「創造神様ってどこの世界でも入れ替わりってやらはるんですか?」


メイベルは首を傾げる。確かに神様の消滅なんて聞いた事がない。


「いや。俺はちょっと特殊でな」


スグルは前世で善行を積んだため神になる事が出来た。創造神になるには自分で一から創るのが普通なのだとか。スグルもその予定で作る場所を選んでいた所でこの世界を見つけて、ここの創造神になる決心をしたそうだ。消滅のリスクを分かっていても、ここを放ってはおけなかったのだと言う。


「消滅する可能性があるのは知っていた。だから地球の神と、日本の神と契約して定期的に転生者を受け入れてたんだ。そうする事で一度はこっちで馴染んだ魂だからその子を創造神にしたら消滅はしないからな」

「そう言うものなんだ」

「ただ、やっぱり拒否権は必要だろ?嫌がる子を無理やり創造神にして永遠の命を授けたらかわいそうだし。だから洗礼の時に意思確認をすることにしてるんだ。創造神を継ぐ気はあるかってな」

「なるほど」

「わかるとは思うけど、全敗だ。やっぱり地球が恋しいんだな。両親とかにも会いたいし、こっちはどこまで行っても異世界だからな。馴染み切れないんだろうな」

「分からないではないですね」


リリアも同じかもしれない。前世の知識を使って文明を発展させる。それはもちろん来た以上は便利な生活を送りたいと言うのもあるが、何処かでホームシックを埋めるための方法として発展させていると言うのは否定できないだろう。


「こっちで結婚していても、やっぱり古巣の相方ともう一度出会いたいと思うのは仕方がない事だ。前世の記憶を引き継いで連れて来ている以上仕方がない。引き止める権利はこっちにはないからな。申し訳なさそうにしてる奴も多かったが、当然の気持ちだろうな」

「その人にとっては最愛の人ですからね」

「ああ。僕もそう思うよ。だからこっちで死んだら、気持ちよく送り出しているつもりだ。まあ、向こうに戻るのも創造神になるのも拒否してダンジョンマスターになった侍もいたけどな」

「彼はどうしてダンジョンマスターに?」

「あそこの元ダンジョンマスターは彼にとっては恩人なんだ。自分があそこまで強くなれたのは元ダンジョンマスターのおかげだって。だから後を継ぎたいってさ」

「なんか想像がつきますね」


義理と人情に溢れる侍だもんな。恩を返したかったのだろう。


「だから聞きたいんだ。リリア、お前は創造神を継ぐ気はないか?」


なるほど。リリアを連れて来た理由はわかった。しかし、もう一つ疑問が残っている。


「どうしてバルト達を連れて来たんですか?」

「言っただろう?影響を受けすぎてるんだ。だからお前と一緒に神様にしようと思ってな」


……


「「「「「はぁ!?」」」」」


とんでもない話になって来た。バルト達まで神族にするのか。


「と言っても創造神はあくまでリリアだ。そのほかに神様を作ろうって話だ」

「作ろうって……そんなアホな……」


メイベルは脱力している。


「不可能ではない。何しろ神なんて概念だ。加護を与えたらその瞬間、神になれるんだからな」

「まあ、理屈はそうでしょうね」

「それに、創造神をやってみて思ったんだが、全てを1人でやるのはなかなか大変なんだ。やっぱり仲間が欲しい」

「……上限解放の方法なんて力尽きてましたもんね」

「あ、バレた?」

「バレバレでした」

「だってSSSなんてそんな簡単に生み出す訳にいかないだろ?無駄な諍いの火種を作りたくなかったんだよ」

「まあ、そうですね」


SSSの魔法が飛び交う戦争なんて起きたら恐ろしいものがある。


「だからそんな簡単には条件達成できない様にしてたんだけどなぁ……」

「できちゃいましたね」

「大体、魔石でスタンピードを起こすなんて誰が考えつくんだよ?」

「あれ?スグル様の考えた事じゃないんですか?」

「そんな訳ないじゃん。気がついてなかったよ。ってか、気がついてたらなんとかしてたよ。魔石の魔力を流し込んだら死ぬとか、ダンジョンごと滅びるとか」

「恐ろしいトラップだった!?」


そういえば、ランク上げたらレベルが1になるってトラップ作ってたっけね。気が付かずにダンジョン潜ってなくてよかった。


「まあ、そんなわけでこんな規格外の記憶がある奴らを転生させれない。情報が過多だ。地球に戻している奴らだって、一応記憶は消してるけどそれだって微かな記憶を思い出してる奴はいるからな。ファンタジー小説書いてる奴らなんて大概それだよ。だからお前らは神にならないなら特例で魂ごと消滅させるんだよ」

「消滅」

「おう。何人かいたぞ。地球にも戻りたくないから消滅させてくれってな」

「そうなんだ……」

「……なんか脅すみたいになっちまったけど、僕の性格上どうしても隠し事は嫌いでな。ちゃんとリスクを説明した上で判断して欲しいんだ」

「なるほど」

「では、改めて聞きたい。お前達は神になる気はあるか?」


リリアは考えた。確かに地球に戻れないなら創造神になるか消滅するかだ。ならば創造神になるのも悪くはない。思わずバルト達を見る。


「……リーダーに任せる」


バルトは言う。その目はまっすぐリリアを見ていた。


「確かに消滅は嫌やけど、みんなと一緒なんやったら怖ないし、みんな一緒に神様になるんやったらそれはそれで楽しいやろうからな」


メイベルは笑って言う。


「メイベルが神様になるんだったら確実に商売の神だよな。俺はなんだ?肉の神?」


フィアンの想像は斜め上に行っている。肉の神ってなんだ?


「技術神にしようか、せめて。魔獣の解体が上手いし。スキルに解体とかつけれそうだろう?」


レオンは笑って言う。確かに魔獣の解体スキルがあると便利かも。


「レオンは剣術の神か?だったら俺はどうするんだ?」

「……義手神」

「そんなのいるか?」

「知らん」


レオールの問いに適当に答えるフィアン。いや、義手の神はいらんだろう。どんな加護だよ。


「……最近、騎士として受け入れられる様になって来たじゃない。騎士の神とか?」

「お、それいいな!」

「バルトはどうするんだよ?」

「仲裁の神はどうや?」

「どんな神だよ!」

「諍いが起きたら仲裁する神や。もしくは執務神やな」

「執務神の方がいいな……せめて」


リリアが話に入ると、いつの間にか神になる話で盛り上がっている。スグルは笑っている。


「答えは『イエス』でいいのか?」

「「「「「「はい!」」」」」」


このメンバーなら何が起きても大丈夫だ。一緒にやっていける。


「わかった。そうしたら全員の称号に入れておくからな。“ 神の御使い ” ってな。あと種族も “ 神族 ” にしておこう」

「あ、御使いってそう言う意味なんですか?」

「それっぽいだろ?」

「まあ……」


この神、結構適当だ。知ってたけど。


「にしても、転生者ってそんなに多かったんやな」

「メイベルの先祖もそうだしな」

「……は?」

「あ、やっぱりそうなんだ」

「おう。大阪の商人でな、一代で大企業の社長にまでなった男だ」


リリアでも知っている某企業の初代社長だった。こっちに転生後、商売の知識を武器に各国を旅してコネクションを開拓して起こしたのがあの商会だったそうだ。代々会頭の名前に変えていっているそうだ。

ちなみにこの転生者は消滅組だそうだ。異世界でまで商売の経験をしてもう満足だそうだ。消滅した先もせっかくだから知りたいと言って。『消滅したら終わりだぞ』と言っても『確固たる証拠はないだろう』と言っていたそうだ。確かに死後の世界があるかないかは死んでみないと分からないのと一緒だろうか。


「ロベルト初代侯爵も転生者だし、学園の初代学園長もそうなんでは?」

「お、よくわかったな」

「思想的にそうかなと思ってました。日本って貴族がいなかったから何となく身分に違和感ありますよね。同じ人間だろうにって思うし。自分の功績で陞爵したんじゃないのにね。再生魔法を作ったのも転生者ですよね」

「ご明察。確かにこっちのシステムに馴染めない転生者は多いな。だから創造神になりたくはないんだろうな。馴染めないから」

「奴隷制度もありますしね」

「奴隷もいなかったのか?」


スグルとリリアの話にバルトが混ざって来た。


「私の時代にはもうなかったね。昔はあったみたいだけど、こっちみたいに種類が分別されてなかったのよ。だから借金奴隷も犯罪奴隷も同じ扱いだし、借金返しても離してもらえないし、環境は悪いし。特に女性にとって奴隷は性奴隷の事だったからね」


全員眉根を寄せる。それもそうだろう。この世界でも性奴隷に対する嫌悪感は共通だ。だから性奴隷はいないし、いたらそれは違法奴隷だ。


「そんなの区別したって闇奴隷商は生まれるし、だったら奴隷制度そのものを違法にしようって事になったんだね」


正確に言うと違うのかもしれないが、まあ一般人の奴隷に対する知識なんてこんなものだ。一度奴隷になれば抜け出せない。永遠の鉱山奴隷か性奴隷。いつの頃からかそう言うものに対して嫌悪感を抱く様になっていたな。


「特に奴隷に関しては日本人だからか敏感な奴は多かったな。奴隷制度そのものを無くせないかとかな」

「考えないではないですね」

「ただ、犯罪奴隷に関しては必要だ。『奴隷』って言葉だから馴染めないんだろうが、日本で言う犯罪者の職業訓練だからな」

「それで稼いだお金で慰謝料を払ったりしているから、そう言う意味では地球よりもシステムとしては良いかもですね」

「ただ、やはり闇奴隷商が引っかかるんだろうな。そんなシステムが存在しないで『奴隷=犯罪』になったら一斉に検挙できるのにってな」

「悪い奴隷商ばかりではないだけに、難しくはありますね」

「お前は大丈夫なんだな」

「システムとして確立されてますし、どんなシステムにしても違法なものに手を染める者は一定数いますから。違法奴隷商は潰せば良いだけです。いたちごっこでもやらないよりは良いですからね」


人殺しをなくすために人間を滅ぼせば良いと言うのと変わらない。そう言う発言をすると『過激派』になるのだろうな。


「環境に対する適応能力が桁違いだな。日本の神に勧めてもらって正解だった」

「ありがたい話ですね」

「……そろそろ時間だな。向こうに戻すぞ。何か言い残す事はあるか?」

「……ゼウス様とヘラ様に伝言て出来るんですかね?」

「あ〜……何か言いたいのか?」

「もし伝えられたらで良いんで言っておいてください。『2人とも、そろそろいい加減にしろよ?』と」


リリアの満面の笑みにスグルは冷や汗をかいた。この殺気、全盛期のスグルさえ消滅させられそうなほどの魔力だった。こいつは駄目だ。敵に回すべきではない。本能的にそう悟った。


「分かった。伝える。必ず伝える。絶対伝える」


あまりのスグルの必死さにバルト達の目は遠くなった。ああ、これを死んでからも管理しないといけないのか、と。


その後、リリアの伝言はスグルから殺気込みでゼウスとヘラに伝わり、2人とも大人しくなったそうだ。全ての神々が恐れる最恐創造神候補誕生の瞬間であった。


最恐転生者爆誕!



予約投稿です。誤字脱字がありましたら連絡お願いします

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