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再生魔法

「リリア!」


救護室には多くの回復魔導師が集まっていた。皆必死でその真ん中には血の気の引いたバルトが寝かされていた。


「バルト!」

「ウチらじゃ治せんよって!でもリリアが戻って来るまで何とかせなあかんって……!」

「ありがとう。そのまま回復魔法続けてて。フィン様、この辺にある内臓に向けて回復魔法を」

「分かった」


内臓にまで達している傷は、むしろよく生きていたと感心するほどだった。傷を塞ぐとリリアの魔法に支障をきたす事をメイベルが知っていたため、止血だけに留めたらしい。まずは内臓から治さないといけない。使うのはただの回復魔法ではない。


「おい……傷が治っていくぞ……」

「あれだけ回復魔導師が集まって治せなかったのに……」

「スゲー……」

「当然さ……これは回復魔法ではないよ」


フィンは目を細くして言う。


「え?」

「再生魔法だ。あの伝説の」

「「「「「再生魔法!?」」」」」


再生魔法。それは回復魔法の派生魔法である。城の書庫に入った時にたまたま読んだ本に書かれていた魔法だった。理論がこの世界には難しい。どうやら転生者で医学を学んだ者がいたらしい。高度な生物学や化学などの知識が必要なのだ。そのため誰も使えないのだと陛下は言っていた。故に伝説魔法なのだと。しかしリリアは理解してしまった。専門的な部分は魔法でゴリ押して、そしてやってみたら使えたのだ。リリアがレオールの腕を途中まで再生したのはその知識を利用したものだった。あの時は途中で失神したが、今回は……


「……内臓の再生が終わりました。筋肉と皮膚の再生を行います」


切り裂かれた筋肉を少しづつ再生して繋げていく。その後はフィンの回復魔法で傷が治っていく。再生魔法は治療を受けている人の体力を消耗していく。そこはメイベルの回復魔法に頼っている。この2人がいないと出来ないことだ。フィンの繊細な魔力操作だからリリアの魔法に回復魔法が干渉しない。メイベルの卓越した回復魔法技術でバルトの体力が切れる事がない。リリアの使っている再生魔法を理解こそ出来ずとも、そこに邪魔せず協力できると言うのは並大抵の魔法使いでは出来ない。傷は何事もなかったかの様に消えていった。


「……終わりました。フィン様、メイベル。お疲れ様です」

「はぁぁぁぁぁぁ……」


メイベルは力が抜けた様でその場に崩れ落ちた。ジェイコブが慌てて支える。流石に疲れた様だ。


「リリア嬢。流石ですね。まさか、あの伝説魔法が使えたとは」

「書物でしか残っていないので、完全自己流ですけどね。正しいかどうかは分かりません」

「それでも、これが正しいか間違いかなんて関係ない。貴方の再生魔法で確かに助けられた命がある、つまり貴方の再生魔法は正しいのです」

「……そう言っていただけただけで、過去の私が救われました」


1人で試行錯誤していた過去の自分に教えてあげたい。その苦労は報われるよって。

バルトが身動ぎする。ゆっくりと目が開いた。リリアと目があい、少し困った様な表情に軟る。


「……どうして泣いてるんだ?」

「分かんない……」


気がつけば溢れていた涙を必死で拭うリリアにバルトは笑って濡れた頬に手を伸ばした。


「悪かった。だから泣くな」

「本当だよ……どうして後方支援のバルトがこんな真正面に物理攻撃受けてんのよ……」

「防御魔法が間に合わなかったんだよ」

「悪かった……俺が無茶したからだ」


件の冒険者が申し訳なさそうに名乗り出た。根の悪い人ではない。ただ、変なアドレナリンにプライドが刺激されて頭に血が上ってしまっただけで。……言っておいて何だが、冒険者として致命傷である。


「貴方は今度、うちの領地でこき使わせてもらうからね」

「わかりやした」


冒険者は苦笑いをしてうなづいた。


「バルトも、しばらく執務的にこき使ってやる」

「これは重い罰だな」


バルトは笑って言う。何しろ発展途上の領地での執務だ。忙しくない訳がない。今後、この2人は忙しい毎日が待っているだろう。


「とりあえず、バルトは僕が見てるからリリアとメイベルは陛下に報告に行った方が良いんじゃない?」

「そうやな。ここはとりあえずジェイコブに任せとこか」

「そうだね。……ギルマス、先生。お2人にもお任せしてよろしいですか?」

「おう、任せとけ」

「バルトを休ませて、ここの片付けもやっておこう」

「お願いします」

「あ、あと、その鍋の中身も誰かの胃袋に片付けといてや!」


キッチンには大量のボア鍋が残されている。追加で作ったのが余ったらしい。そこは冒険者集団。あっという間に片付けられるだろう。


「では、お願いします」


リリアはそう言ってメイベルと共に救護室を出た。


「……メイベル」

「何や?」

「いつの間に兄上とあんな事になったの?」

「……うっさいわ、アホ」

「耳まで真っ赤。可愛い」

「喧しい!」


王都内に着くまでリリアはメイベルをひたすら揶揄い続けたのだった。こんな義姉妹も悪くないのである。

レオールの時にしたかった魔法はこれです。



予約投稿です。誤字脱字がありましたら連絡お願いします

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