重症
正気を失っている魔獣は作戦も謀りも何も無く、ただ真っ直ぐに襲いかかってくるからありがたい。ありがたくはあるのだが、その分パワーで押してこられるから疲労が早く来る。
「前線を交代しろ!無理はするな!」
定期的に前線を交代させて休息を取らせる作戦に出ているバルト達。レオンとレオールも交代で前線を守っている。フィアンとバルトも全体を見ながら交代で休息を取る。物量作戦はかなり上手くいっている。しかしバルト達はまだ若い。大人としてのプライドが刺激されている者もいる。特に冒険者はそうだ。
「俺はまだ大丈夫だ!」
「無理はすんな!」
「おう!」
「そうじゃねぇ……」
フィアンは頭を抱える。元気がありあまってるだけなのか、変なアドレナリンが出てるのか……まあ、どちらもだろう。
「ダンジョンの中はそんな簡単には解決できません!体力は極力温存してください!」
「「「「「おう!」」」」」
バルトの指示に返事をするのは騎士だけだった。ある程度長い冒険者などは返事をしていたが、まだ若かったりそろそろ引退を考える様な時期に来ている冒険者は若干反抗的だった。
バルトは戦場を見回しながら考えた。リリアがダンジョンマスターと仲がいいという理由で1人で入ったが、正直いって心配だ。やはり一緒に行くべきだったか。しかし今は目の前の魔獣を倒すべきだろう。
「うわ!」
「危ない!」
さっきの冒険者がワイルドボアに突き倒される。それを見た騎士が庇いに出る。その騎士も突き飛ばされた。
「グハッ!」
「クソッ!」
地面に叩きつけられた騎士にブラックベアが襲いかかった。魔法が間に合わない。バルトは思わず飛び出してしまった。ブラックベアの鋭い爪がバルトの体を引き裂いた。
「バルト殿!」
「【ファイアーパレット】!バルトを待避させろ!」
フィアンはブラックベアに魔法を撃ち指示を出す。グッタリしているバルトを例の冒険者が抱える。責任を感じた様だ。
「すぐに救護室に行け!」
するとズドンッと黒い炎が魔獣の真ん中に着弾する。誰だかは言わずもがな。
「先生!」
「バルトの穴は俺が埋めよう。フィン、バルトを頼む。ケイン、トウヤ先生、前線を頼む!」
「おう!」
「うむ!」
「任せろ。行くぞ」
フィンは止血のために簡易の回復魔法をかけて救護室に連れていった。
「緊急だ!バルト殿が!」
「なっ!バルト!?」
あまりの重症にメイベルでさえ唖然としている。こんな大怪我を負った経験なんてなかった。一瞬、どうして良いのか分からなくなる。
「俺が無理したせいだ!すまん!」
「とにかく止血はした。だが、かなり致命傷だ。回復魔法を総出でかけるぞ」
「はい!」
流石百戦錬磨の冒険者フィン。冷静そのものだ。フィンの指示で総出で回復魔法を使う。しかし全く塞がらない。
「厳しいか……!」
「いや、このままかけ続けるで。リリアが戻ってくるまで守らんといかん!」
「分かった。何としても守るぞ!」
だからリリア……はよぉ帰ってきぃや!
こういう人って合同チームだと一人はいますよね……
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