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……おや?

王都のすぐ側にあるダンジョン “洞窟迷宮” 。そこでスタンピードが起きた。報告を受けてすぐに討伐隊が結成されたが魔獣の進行が早くあっという間に王都の城壁が破壊されてしまった。


「どういう事だ!スタンピードを起こしたらすぐに知らせろと言ったはずだろう!」

「それが、警備に当たっていた騎士が行方不明になっています」

「……まさかその騎士が人為的スタンピードを……?」

「いえ。彼らが出来るとは思えません。ただ首謀者に協力した可能性はあります」


騎士団長は言う。陛下は頭を抱えた。『エンシェント☆キラーズ』に召集命令は出したが、運の悪いことにロベルト領で発生したオーガの討伐に向かっているというのだ。何とか彼らが来るまでは冒険者ギルドにも協力を要請してしのがなければいけない。

ドミニクも陛下と共にいるが、『なんという事だ……』と口では言いながら内心はニヤニヤが止まらない。もっとだ……もっと混乱しろ……。そして奴らが止められないくらいまで暴れまくれ……!


「陛下!『エンシェント☆キラーズ』が到着しました!」

「もうか!」

「特製の馬車で飛んできた様です!」

「ありがたい……!」

「……チッ」


安堵が広がる中、ドミニクだけは密かに舌打ちした。それをジョルジュ騎士団長は見逃さなかったが、それ所ではなかった。


「すぐに現場で状況を確認後、リリア様がダンジョンに侵入。森の中から城壁まではバルト様、フィアン様、レオン様、レオール様が。救護室にはメイベル様が入るそうです!」

「……救護室……?救護所、ではなくか?」

「リリア様が学園の演習で使った小屋を救護室にして対応してくださっています。スタンピードを想定した設備が揃っているとか」

「リリア嬢には脱帽だな……」

「本当ですね。では私は現場に戻り、指揮を取ります」

「うむ。任せたぞ、ジョルジュ」

「はっ」


ジョルジュ騎士団長は部屋を出た。そして控えていた騎士に指示を出した。


「ドミニク王太子の周辺を調べろ」

「王太子のですか?」

「ああ。周囲の人間だ。あの家庭教師もな」

「分かりました」


彼は頭もいい。何か思う所があるのだろう。騎士は頭を下げて走って行った。


現場はまさに野戦場だった。


「怪我したヤツは救護室に入れ!」

「無理はするな!仲間がいるんだ!任せて退避することも考えろ!」

「大丈夫だ!俺達がいる!」

「おい!気をつけろ!」


城壁の際に結界魔法に囲まれた小屋が仮設で建てられている。そこではメイベルが回復薬と回復魔法で次々に騎士と冒険者を助けていく。しかも合間を縫って皆の胃袋を満たすためにボア鍋を作る。もちろんクロックアップを使うことでできる芸当なのだが、その無駄のない動きに騎士も冒険者も目を丸くしていた。テキパキと動いているその姿に男性陣が惚れたのは言うまでもない。しかしそんな淡い恋心を打ち砕く出来事が起きた。


「メイベル」

「ジェイコブ!なんで来とるんや!?」

「僕も手伝おうと思ってね。攻撃系の事は出来ないけど、回復とかの事は出来るからね」

「ほんなら遠慮なくこき使うで?」

「構わないよ。大事なメイベルが1人でここを回してるなんて放ってはおけないからね」

「そら護衛倒れよったら困るわなぁ」

「そうじゃなくてさ」

「うん?」

「好きな女の子が1人で頑張ってるなんて知ったら、男としては助けに行きたいものだよ?」

「……アンタ、後悔しても知らんで?」

「しないよ」


怪我人そっちのけで2人の世界に入り込んでしまった。その場の皆は撃沈していた。


「重症です!」

「おっと。そっちに運びや!骨折か?」

「はい!」

「足やな。これなら……」


メイベルは骨折箇所に触れる。淡い光に包まれ、骨折はすぐに治った。その横で腕のかすり傷をジェイコブが治していた。


「……魔法は使えんのとちゃうんか」

「Cランクだよ。回復魔法も使えるけど、かすり傷を治す程度だからね」


これが普通なら生活魔法にシフトするのだが、父上はCランクと聞き魔法は捨てさせたのだ。


「今度、生活魔法を教えたるわ」

「ありがとう」

「それが使えたらこういう時に料理頼めるさかい」

「なるほどね」


なんだかんだ言って惚れたら早いメイベルである。


「緊急だ!バルト殿が!」

「なっ!バルト!?」


メイベルは慌てて立ち上がった。

まあ、こうなりますよねー



予約投稿です。誤字脱字がありましたら連絡お願いします

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