王都のダンジョン
思いの外謁見が早く終わったため、翌日に全員でギルドに向かった。
「ギルマスはいますか?」
「はい、いますよ」
「ダンジョンの事で少々お話があるのですが」
「わかりました。お待ちください」
受付のお姉さんはそう言って席を離れた。何だかデジャブだな。学園に入学してすぐにギルド登録に来て、そして……
「おい!ガキ共、邪魔だ!」
そうそう、こんな感じで絡まれたんだよね。
「はぁ……暇なんやったら魔獣に相手してもらっとき。うちらは暇やないんや」
そうそう、こんな風にメイベルが煽ったんだよね。懐かしいわー。
「なっ、このガキ!」
「おい、やめておけ」
メイベルに殴りかかろうとした不良冒険者達の後ろに現れたのはよく見知った顔だった。
「ライオネル先生!」
「おう、ちょうど良かったな」
「どうしたんですか?」
「お前らがケインと話をするから同行せよと陛下からお達しがあってな」
「先生も協力するという事ですか?」
「お前らがSSランクの陛下お抱え冒険者だから影薄いけどな。俺達だってSランクだからな?」
「「「「「そうだった」」」」」
「お前らなぁ……」
周囲がざわつき始めた。
「まさかあれが『エンシェント☆キラーズ』なのか……?」
「あのブラッディージャイアントコングを討伐したっていう?」
「マジかよ……」
「あいつら、終わったな……」
「おう。何か見た事あるぞ、この展開」
ギルマスが来た。少し筋肉量が増えた様にも見える。
「今日は殺気は出してないな」
「面倒ですもん」
「理由はそこか?」
「はい」
「キョトンとして言うなよ……。まあいい。来い」
執務室に案内されてすぐにおいしい紅茶も出て来た。
「ギルマスもライオネル先生もレベル上がりましたね」
「おう、気がついたか」
「最近な、休みの度にダンジョンに潜ってるんだ。レベルが90まで上がったぞ。先日、ハイオークも討伐したしな!」
「凄いやん!先生!」
ギルマスのレベル上げやゴブリン騒動以来、ギルマスもライオネル先生も火がついたらしい。回復魔導師のフィンも巻き込まれているそうだが、旅は道連れ世は情けだろう。
「お前達はどうだ?」
「全員100レベルっす」
「……は?」
「エンシェント上位種5匹も討伐完了や。陛下に呆れられよったけどな」
「マジか……」
「メイベルも非常識に……」
「先生、それ酷いわ!」
「それ、昔のリリアも言ってたからな?」
「んなアホな!」
メイベルは頭を抱えた。【朗報】メイベル、ついにリリアに追いつく。
「先生、先日のハイオーク討伐に行ったんですね?」
「ああ」
「もしかして思ったよりも弱かったんじゃないですか?」
「……なんで分かる?」
「ブラッディージャイアントコングの時もそうでした。思いのほか弱かったんです。陛下との話で人為的な上位種への進化をしているのではないかという推測をしています」
「なるほどな。それでハイオークも?」
ハイオークで死人が出なかったなんてありえない。集団だったならなおのこと。リリアはギルマスに報告書を提出した。昨夜、バルトが夜なべして作った報告書だった。
「簡単に言うと、私の領地で人為的なスタンピードが起きました。うちのダンジョンは脅威レベルも低いので問題ありませんでしたが、ダンジョンマスターが被害を受け闇ギルドのメンバーを討伐。ダンジョンはマスターが回復するまで封印します」
「なるほど。人為的なスタンピードか……」
「人為的であろう上位種への進化をしている魔獣の件と人為的なスタンピード。無関係とは思えません。
王都の周囲にはスタンピードを起こすと危険なダンジョンが2箇所あります。一つは “ 深淵の森 ” 。もう一つは “ 洞窟迷宮 ” です」
「確かにあそこでスタンピードが起きればかなり危険だ。しかも人為的なものだとしたら何が起きてもおかしくない」
「どちらもここ10年スタンピードは起きていない。人為的にそれを起こされるとエネルギー的にもかなり危険だ」
スタンピードは大体5~6年周期で起きている。それが10年となるといつ起きてもおかしくはないのだ。
「 “ 深淵の森 ” のダンジョンマスターはもういない。ダンジョンマスターがいないダンジョンはスタンピードは起こさないと言われている。理由は分からんが、ダンジョンコアにも到達出来ない。“ 洞窟迷宮 ” のダンジョンマスターはいるが、どういう存在なのかは分からんからなぁ」
「……知ってますけど」
「「「「「……」」」」」
皆にジト目で見られてしまった。だってダンジョン潜ったら会えちゃったんだもん、ダンジョンマスターに。
「お前なぁ……」
「普通会えねえんだよ……」
ライオネル先生とギルマスは顔を覆ってうめいた。相変わらずの暴走公爵である。
「今行ったら会えるのか?」
「会えると思うよ?行ってみる?」
「様子伺いも兼ねて行ったらええんちゃう?」
「そうだな。ダンジョンコアの様子も気になるしな」
「いざとなったら封印したらいいかもな」
「それは陛下の許可がいるけどな」
そんなこんなで、国内随一のダンジョンに、あたかも友達の家に遊びに行く様な感覚で行く事になった。
この師にしてこの教え子あり
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