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夜会

そして夜会当日。朝から王都の屋敷から持って来た馬車をガッツが手入れしている。1年の最後を締めくくる一大イベントだ。リリアよりガッツの方が気合が入っている。


「ホンマはガッツの反応が普通なんやで?」


完全回復したメイベルは苦笑いして言う。


「まあ、ウチらもすっかり慣れてしもうたけどな」

「メイベルもすっかり染まってしまったねぇ」

「最初は一々突っ込んでたからな」

「先生に嘆かれちまうな」

「まず学園1年生で陛下お抱えのSSランク冒険者になれるって言うのが普通じゃないんだけどな」


まだ完全には染まりきっていないレオールは、自分がまさかSSランクの冒険者として国王お抱えになれるとは、と苦笑いだ。


「さあさあ、出発するよ!」


リリアは言う。今回の馬車は2台。1台は荷馬車だ。中には王都の屋敷にいる兄上とスティーブ達使用人、そしてメイベル達のご家族への手土産だ。何しろリリアに付き合って発展前のボロボロ領地に住み込んでいるのだから、この位はしていいだろう。そして忘れてはいけない陛下達への手土産も入っている。量が多いのは城に勤める使用人達の分もあるからだ。城にいる全員で手洗いうがいを徹底してマスクも着けないと感染予防の意味がない。


「リリア様、お帰りなさいませ」


スティーブは馬車から降りてくるリリアをエスコートする。


「ただいま。スティーブ、変わりはなかった?」

「はい。リリア様の対策のおかげで誰一人、流行病に感染しませんでした」

「そう、兄上は?」

「相変わらずご令嬢達の熱烈なアプローチにお困りの様です」

「モテるね、兄上は」


少し顔を合わせていなかっただけで随分と背も高くなりイケメンに磨きがかかった兄上。在学中に何としても懇意になりたいのだろう。卒業まであと2年。ご令嬢達に残された時間は残り少ない。


「夜会の時大変なんちゃう?」

「アピール合戦だろうね」

「うぇ……」


昼ごはんを食べながらのメイベルの指摘に、兄上はウンザリといった様子。夜会は当然兄上も参加する。学園でのそれ以上に集まって来るだろう。何しろ全年齢対象なのだから。


「メイベル。兄上が可哀想だから、夜会の時の護衛を頼める?」

「頼まれたわ」

「悪いね、メイベルちゃん」

「何も、かまへんて」


ご令嬢達が勝手に勘違いしてくれたらそれで良いし、そうでなくても量は減るだろう。何しろメイベルは『エンシェント☆キラーズ』のメンバーなのだから。


「その代わり、うちの実家贔屓にしたってや?」

「ははは。分かったよ」


へぇ、案外良い感じじゃない。兄上にとってみたら変に取り繕っていないメイベルの印象は良いのだろう。


今夜の夜会は貴族にとっても1年の成果を陛下に発表する大切なイベントだ。盛大に見栄を張るために金を注ぎ込んでいる。当然馬車はいつもより多く、長蛇の列となっている。


「はぁ……もう少し早く来るべきだった……」

「あまり早いと他の貴族達が可哀想だからね。仕方がないよ」


兄上はため息を吐いて言う。リリアは公爵だ。早く行くと下級貴族達が悪者になる。基本的に上級貴族を待たせてはいけないのだ。故に上級貴族が会場入りしたらパーティ開催の合図なのだ。

リリア達が馬車を降りれたのは城に到着して1時間後だった。


「いらっしゃいませ、リリア・フォン・エルドラン公爵閣下。そしてジェイコブ・フォン・エルドラン様、『エンシェント☆キラーズ』の皆様」

「セバス、こんばんは。後ろの馬車には陛下への手土産が入っています。印が付いているのは陛下一族へ、残りは城の使用人の皆さんへ。お願いね」


扇子で口元を隠して説明する。この扇子は学園指定の扇子で、校章と家紋が入っている。


「お心遣い、誠にありがとうございます。どうぞこちらへ」


セバスの案内で会場に向かう。ちなみにリリアのエスコートはバルトが、兄上は護衛を兼ねてメイベルをエスコートしている。流石にメイベルも少し緊張している。

会場は賑やかだ。リリア達が入ると視線が集まる。リリアとバルトに、ではなく兄上とメイベルにだ。ご令嬢達のあからさまな嫉妬の目にメイベルは苦笑、兄上は申し訳なさそうだった。予想はしてたけど、これは兄上の学園生活の想像がつく。

陛下が会場に入る。王妃、ドミニク王太子も一緒に。すれ違う時にドミニクに睨まれた。めっちゃ睨まれた。それはもう呪い殺さんばかりに。


「相変わらずだな」


バルトの呆れ声にリリア達は乾いた笑いで同意する。レオールは思う所があるのか複雑な顔をしている。


「皆の者、今年1年よく頑張ってくれた。感謝する。今夜はそんなそなた達を労う為の夜会だ。楽しんでいってくれ。乾杯!」

「「「「「乾杯!」」」」」


未成年のリリア達はシロップジュースで乾杯する。陛下へのご挨拶まで思い思いに過ごす。バルトとリリアは多くの貴族に囲まれて武勇を称えられたり、バルトにとご令嬢を紹介されるのをやんわり断ったりと大忙し。兄上も豪胆なご令嬢がメイベルに威嚇しながら擦り寄ってこられたが、メイベルの殺気を含んだオーラで追い払われて以来誰も近寄って来ない。リリア達がそれをやると公爵として支障が出る。……羨ましい。


「リリア様、そろそろ……」


セバスに声を掛けられ、兄上とメイベル達と共に陛下の元に向かう。


「アルベルト国王陛下。この度はお招きありがとうございます」

「うむ、リリア公爵。そしてジェイコブ殿、『エンシェント☆キラーズ』よ。今年は活躍だったな。手土産もありがとう」

「我が領地で取れた抗菌効果のある樹液を使って作った石鹸とマスクです。王弟一家や使用人達の分もありますので、皆さんでお使いください」

「ありがたい。石鹸のおかげで民の衛生管理が徹底されている。例年と比べると発症率も低い。城の者も今年は誰も感染していない。余も王妃も王太子も本当に感謝している」


王妃は頷き、リリアを娘の成長を見ているような目をしている。ドミニクは面白くなさそうだが。


「ここ最近は広範囲で魔獣の大量出現も聞かれる。エンシェントウルフの一件もある事だ。来年の活躍も期待しているぞ」

「もったいないお言葉です」


謁見も終わりそろそろお開きになる頃、何やら騎士達の動きが慌ただしかった。そしてリリア達も気がついた。


「これって……」

「猿か?」


バルトは耳元で囁く。うーん、いい声。って、そうじゃない。


「小さい反応がうじゃうじゃいるね」

「フォレストモンキーやな」

「そんなの比じゃないのがいるけど、これは……」

「……ブラッディージャイアントコングだね」


猿の魔獣自体が結構強い。その中でもフォレストモンキーは小さくすばしっこい魔獣だ。強くはないが逃げ回って手当たり次第に攻撃してくる。そんなフォレストモンキーの中で稀に出現するブラッディージャイアントコングは大きさが桁違いで、パワーがとんでもないためその拳に捕まったらもう逃れられない。かと言って、では魔法で倒せるのかと言ったらそうではない。魔法に耐性があるのだ。


「これは騎士達だけだと持て余すな」

「フォレストモンキーは騎士達に任せてブラッディージャイアントコングをやるか?」

「そうするか。兄上」

「いいよ、行っといで。陛下には僕が言うよ」

「お願いします」


リリアは頭を下げる。外に行くと騎士達が戦っていた。


「リリア様!」


セバスは駆け寄ってくる。


「フォレストモンキーはお任せします。ブラッディージャイアントコングを倒してきます!」


身体強化で大きい反応のある所まで走って行った。


ここから少しスプラッタ入ります。



予約投稿です。誤字脱字がありましたら連絡お願いします。

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