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夢幻の住人  作者: 昼行灯
43/43

43:平和な夜

 意識が戻る。


 眼を開けるが何も見えない。


 失明だ。胸のあたりが少し重い。クロかな。


 手を伸ばしクロを確認する。起こしちゃったみたいだ。私の指を甘噛みしてくる。


 うーん。


 目が見えないのは不便だね。


 光魔法を発動する。ヒール、リフレッシュ、キュア、回復魔法を試してみるが治る気配が無い。


 うーん。


 (クロ)

 (うむ?)

 (ちょっと目が治らないので神眼発動するから、サポートお願い)

 (うむ、まかしろ)


 神眼を発動する。

 おっと、魔力が枯渇しない。これはどっちかな、私の魔力が上がったのか、神眼の扱いに慣れてきたのか。まあ、これは後で、今は目の治療が最優先だ。


 ふむふむ、なるほどなるほど。

 完全に目が逝かれている。これはどうしようもない。


 まいった。


 しょうがない。


 眼を再構成しよう。


 ……………………


 ………………


 …………


 ……


 治った。


 ふー、良かった良かった。


 眼を開けると光が、眩しい!

 少しづつ眼を光に慣らす。心なしか視力が上がった気がする。素晴らしいです。


 「ん?」

 あれ、髪の毛が、というかまつ毛も、えぇ。

 「白くなっちゃった」

 「うむ、我、黒に戻すこと希望」

 起き上がった私の肩で、居心地悪そうにしているクロ。確かにこれだと髪に隠れて遊ぶことが出来ないね。

 「んー、これは、ほっとけば勝手に戻るかな?」

 「戻るのか?」

 「さあ?」

 「無責任なのだ!」

 「毛根から色が死んでたら治らないかも?」

 「なぬ! 神眼を使って元に戻すのだ!」

 「えー、クロ、私の髪の毛何本あると思ってるの?」

 「関係ないのだ!」

 「関係あるよ、そんなに神眼使ってたらほんとに死んじゃうよ」

 「むー!」


 取り敢えず髪の毛に関しては様子見ということにする。



 部屋を見回す。

 あれ、なんで糸がこんなに、、取り敢えず張り巡らされている糸を全て回収する。


 「おーい、もう動いても大丈夫かー?」

 フジワラ君が壁際から聞いてくる。

 「あ、はい。大丈夫です」

 立ち上がってこちらへ近づいて来るフジワラ君。

 「リン、気を付けろ! こいつは野獣だ!」

 「え? なになに?」

 「こいつはリンの意識が無いのを良いことに、あんなことやこんなことをしようとしていたのだ!」

 「えぇぇぇ!!!」

 「ま、ま、ま、まてーい! クソネコ適当なこと言ってんじゃねーぞ!」

 「我はずっと見ていたのだ!」

 「ギ、ギ、ギクク! う、嘘つけ、クソネコも気を失っていただろうが!」

 「本当に我が気を失っていたと思うのか?」

 「ま、まさか!」

 「ふふふ、黒い炎。ふふふ」

 「あ! ええええ! そんな! まさかああああああああ!!!」

 

 フジワラ君が尋常じゃないほど狼狽えている。


 一歩、後ずさる。

 「ちょ、まっ!」

 「本当なの?」

 「ちが、違うって! 大体リンの周り中、糸みたいのが張り巡らされていて近づけなかったし!」

 「リン、それは(すなわ)ち近づいてあんなことやこんなことをしようとしていた証拠なのだ! 騙るに落ちたな小僧!」

 「えぇぇ、」

 「クソネコてめーミスリードしてんじゃねーよ。近づけなかったのが何もしてない証拠だろーが!」

 「近づけてたら何かしようとしてた証拠なのだ! 大体リンが気を失った時、何してた小僧?」

 「な、な、なにもしてないしー!」

 「必要以上にリンにだきついてただろうガー!」

 「そ、そ、そんなことしてませんー!」

 「エロガキガー、シネー!」

 「上等だかかってこいやー!」


 宙にふよふよと浮いているクロの首の後ろをつまみ、フジワラ君の横に並べて。

 「二人共もういいからさ、あれ、どうするか考えようよ」

 地面に刺さっている天魔の剣と天魔の火筒を見る。


 「褒美とか言ってたな、俺も貰っていいのかな?」

 「……」

 「……」

 私とクロが無言でフジワラ君を見つめる。

 「よせやい、そんなに見つめられると照れちまうぜ!」

 「……」

 「……」

 私とクロが無言でフジワラ君を見つめる。

 「よせやい、、ゴメンなさい。リンさんにって言ってました。はい、聞いてましたすみません」

 「まあ、別にフジワラ君が欲しいならあげてもいいよ」

 「え、マジ?」

 「うん、私、武器とか使う予定無いし」

 「え、じゃあ、天魔の(つるぎ)が欲しいです!」

 「けどあれ剣でしょ? いいの?」

 「あ、そうか。刀じゃないのか、それだと俺の刀術が使えないな」

 「じゃあ、銃にしとく?」

 「そうだな、銃も悪くないな。弓術で使えそうだし、銃にしとくか!」

 「我の考察ではあれは専用装備だと思うのだ」

 「あ、ありえそうだね」

 「な、なんだってえええええ!」


 結局悩んだ末に、私が天魔の火筒を手にするのと同時に、フジワラ君が天魔の剣を取ってみるという結論に達した。


 結果は、私が天魔の火筒を手にした途端、フジワラ君の天魔の剣は消滅した。そしてクロの予想通り、天魔の火筒は魔王のローブと同じような専用装備で、私にしか使えない装備ということが判明した。



 次元の迷宮を出て、ヤンさん達と合流する。

 ?

 なにやら微妙な空気が流れる。

 何かあったのかと聞いても誰も答えてくれない。

 まあいいか。



 そんなこんなで、突然起こった一連の事件は収束する。












 マルアの宿。リンの部屋。


 御札を作成する。

 「リン、それは」

 「ん? そうだよ」

 「血でなくて平気なのか?」

 「うん、もう平気だよ」

 「最強のが呼び出せるのか?」

 「んー、どうだろうね。呼んで見てのお楽しみかな」

 「むぅ、楽しみなのだ!」

 「そうだね」


 「リン、弓術は取るのか?」

 「んー、どうしようか」

 「弓術から変化する、ガン型術を取るのだ!」

 「なにそれ、美味しいの?」

 「オイシイのだ!」

 「えー、ほんとー?」

 「ホントなのだ!」


 平和な夜が更けて行く。


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