第一話 出動! ビューティーファイブ!!
ここはラグランジュ・ポイント、月の外側に固定されている。固定といっても位置は固定されているわけではない。月と一緒に地球を公転しているだけなのだが、月から見れば一定の位置にとどまっている。重力の関係で軌道が安定する場所だ。
ここにビューティーファイブが待機している基地ステーションがある。
ビューティーファイブとは五人の美少女が組むユニットであり、太陽系内での遭難事故に対応するスーパーレスキュー隊なのだ。
しかし、現在はリーダー不在で活動は休止状態であった。
「リーダー早く復帰してくれないかなー」
「無理だろ。今は産休取ってるけど育休も取るって話だ」
「寂しいよね」
「寂しいっていうよりは暇だろ。何で四人じゃ出動させてくれないんだ?」
「そうだよね。四人でも問題なく任務こなせると思うのにね」
そこへ颯爽と登場するのは副隊長の相生香織だった。
「黒田星子と綾川知子。緊急事態発生だ。直ぐに招集がかかる。ブリーフィングルームへ集合しろ」
「了解」
「やったー。出動だぁー」
「浮かれるな星子。今度の行先は遠いぞ」
「何処なの」
「カロンだ」
「カロンって何? 美味しいの?」
「馬鹿だな。冥王星の衛星じゃないか」
「無駄口を叩くな。急げ」
「ハイ!」
ブリーフィングルームには司令官の三谷朱人が腕を組みしかめっ面をしている。もう一人のメンバー有原羽里は既に席についていた。そして、メンバーではない男性が一人いた。
「揃ったな。さっそく出動してもらう。行先は冥王星の衛星カロンだ。そこに設置されている有人観測所で事故が発生した。要救助者は二名。冥王星からの救助では8時間かかるが残された酸素は4時間分しかない。光速を超えて彼らを救いに行くのだ。ビューティーファイブ出動だ!」
「指令、私たちは四人ですが出動させてもらえるのでしょうか?」
「そこにいる田中義一郎君が新しい隊長だ。彼に従え。スーパーコメットの発進準備は終了している」
「了解!」
地球で唯一光速を超える能力があるスーパーコメット号。五人の勇者は今、世紀の救出作戦へと向かうのであった。