第4章
4 出会い
それから1週間後、朝まだき、私は学校の校門に立っていた。というより出勤してこれから
入ろうとしていたのである。
その時、見知らぬ1人の少女が私の先にいた。
セーラー服に身を固めた?髪の長い少女。
私は思わず「おはよう」とすっとんきょうな声で挨拶した。
「おはようございます。想像してたとおりの、せんせいだったな」
少女はそんなことを言うと、すっと校門の中に消えていってしまった。
私はなぜか落ち着かず、その子のことが気にかかって仕方なかった。
職員室といっても教員は、私を入れても、8人ばかりの小世帯。
朝のホームルームが始まろうとしていた。
そして教室へ入ると、
渡部さんが「先生、木暮さんが来てます。」
と大きな声で言った。
その視線の先には
あの少女がいた。
山下先生は
「えーと、木暮さんははじめてだよね。山之内先生です。この子は木暮野梨子さん、
実家は旅館です。思井沢近くの割とふるい旅館ですよ、
新学期から来ていただいた、この先生は山之内先生。出身は隣県の方ですよ。」などとどうでもいいようなことを並べ立てていた。
木暮さんはニコニコしながら、「やっと良くなったのででてこられた」なんて
ともだちに話しかけていた。
実は私は、この僻地校へ派遣され、4月も終わりかけていたその頃、
すでにホームシック?でやめて戻ろうかななんて思っていたのだった。
なぜって、23歳の夢見がちな私にとってここはあまりにも
のどかで、自然すぎて、やりきれなかったからだ。
しかし、野梨子を見たとき、何かが起こった。
大げさに言えば運命をすら、この出会いに感じたのだった。
しかし、現実は私の思い通りには決してならず、
今こうして、35年たっても甘くやるせなく、私の脳裏に去来し続けているのである。
野梨子はゾフィーではなかったし、その障害は当時の私にはあまりにも重すぎたのであったのだった。
続く
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