幸せになりたい!2
小うるさいタクトがいなくなったので、今のうちに誰も近づかない洞窟の近くまで移動することにした。
洞窟の近くまできた私は、さらに見つからないように木の茂みに隠れて寝ころがる。
そして、少しうとうとし始めていたら、洞窟の中から声が聞こえてきた。それに耳を澄まして聞いていると、タクトとおばあの声だった。
「おばあ、あいつ、目を離すとさすぐサボるだから目を離すなよなー」
「まぁそういうな、ワシとて出かけたくて出かけた訳じゃないじゃ」
「というと?」
「どうもな、人間の街がな、きな臭くなってきておるのじゃ、それを確かめるために、ちょっとお偉いさんのところまで足を運んできたのじゃよ」
「お偉いさんっていうと、アゲハ関連か」
「まぁーの、しかし、ワシらの隠れ里には誰も近づけんし、アゲハはここから出れないと思い込んでおるしな」
「あいつ、すぐ何でも信じるしなー、まぁ事実を知らないのも憐れって思うけど」
「知らないということのほうがいいってこともあるんじゃ、漏らすじゃないよ」
「わかってるよ」
(ううん?私騙されてた!なんかすごっく怪しくない?よしきめた洞窟にはいってみよう!)
誰にも見つからないように、洞窟の入り口に近づいて中をのぞいてみる。
(うわー真っ暗だ・・・怖い・・・)
目が慣れてきて、少しずつ見えてくるが洞窟の奥は真っ暗で何も見えなかった。
(ここは戦略的撤退しよう・・・)
恐怖で後ろにひくと、ドンと音を立てて何かにぶつかった。何事と思って後ろを向くとそこには、怒っているタクトが立っていた。
「あ、あれタクトど、どうしたの?そんなところに・・・」
今すぐ逃げ出したい所だが、今の怒り心頭のタクトかたら逃げられそうになかったので、笑ってごまかそうと思たが恐怖で顔が引きつっていた。
「おーまーえーの、頭は何も入ってないのか!このお気楽娘が!」
そういって、私の頭を掴みギリギリと力を入れてくる。
「痛い、痛いから・・頭割れちゃう・・」
私は何とか逃げようともがくとさらに力が強くなる。
「本当にバカだな、お前は、ここには絶対近づくなって言われてただろうが!一度入ると出れなくなるんだぞ・・」
「ちょ・・ちょ、マジで頭割れそう・・うぐぅ・・」
あまりの痛さに泣き出した私をみたら、さすがに手を放してくれた。
「これぐらいしないと、お前はわからないだろうが、まったくよ」
私は頭を撫でながら、タクトから距離をとる。
「脳筋タクトは、なんで私の居場所がわかったの?」
「誰が脳筋だ!まだ痛い目にあいたいらしいな」
ジリジリと私に近づいてくるが、さすがに2度もあの痛みを味わいたくもないし、私も近づかれた分下がり間合いをとる。
「ばあさま探して、戻ったらお前がいなくなってたから魔法で探したんだよ、そしたらお前が洞窟に入ろうとしてたからな慌てて止めようとしたんだよ」
「うぐぅ、魔法とかずるい・・・魔力がない私に嫌味だよ」
「まぁ、今回は誰にも言わないでいてやる、おばばにお前を連れてこいって言われてんだ行くぞ」
「えっ、行きたくないよー」
と渋る私の首根っこを掴みひきづっていく。