第十三話 Kill House
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送信#12-18指定#India
キルハウス使用申請:認可済
使用部隊: 第15歩兵小隊
特殊任務小隊
1100時 2056年 5月10日
「マップとのリンクを確立中」
「司令部との暗号通信リンク接続完了」
「よし、一旦全員集合しろ」
キルハウスの赤チーム拠点で真、霊夢、魔理沙、メリーの後方支援と、私たち前線組は集合して会議をしている。
「今回の訓練は敵陣にある重要物資を回収して、ここまで戻って来ればいい、
一発でもペイント弾が命中したら終わりだ、但し、メディックによる治療行動を取れば、心臓に当たらない限り一回だけ復活できる、
勝利条件は重要物資の確保、敗北条件はチーム全員の戦闘不能か20分を超えた時点で重要物資が敵陣にあると負けだ」
つまり、敵を全滅させても意味がない。
「前線でのリーダーを指名する、アルマ、お前がリーダーをやれ、メディックは絵美里だ、俺も前には出るが、積極的に攻撃はしない、後方支援も本当に危険な時だけだ、前線だけでなんとかしてみせろ、以上、解散」
それだけ言うと、真は下がっていった。
「みんな、集合して、匠も聞こえてる?」
私は通信機を使って琢磨、絵美里、匠を呼び出した。
《聞こえてる、なんか用か?》
「いい、これは私たちを試しているの、それと同時に、相手は手加減してくるかもしれない、それに乗じてボコボコに叩き潰してしまおう、でも、油断しないで」
「おう、分かってる」
「やるしかないわね、全力を尽くしましょう」
琢磨と絵美里は頷いた。
「匠は敵の動きをずっと監視して、何かおかしな点を見たらすぐに伝えて、いいね」
《俺がやれるのはこのくらいだけだ、しっかり監視してやる》
《ミッション開始まで残り30秒》
このタイミングでキルハウス内の至る所に設置してあるスピーカーがもうすぐ戦闘の始まる合図をつげる。
「行くわよ、ブルーイーグル、ブラボーチーム、出撃」
《ミッション開始まで残り10秒》
スピーカーから流れる開始までのアナウンスで緊張し、銃を持つ手が震える。
その時、左肩を叩かれる。
「大丈夫だ、やれるぞ」
琢磨が私の目を見ながら勇気付ける。
《5》
武器の持つ手の震えは収まり、思考は澄み渡るようによくなった。
《4》
さっきまで完璧な仕事ばかり気にしていたが、今は違う。
《3》
私には、私なりのやり方がある。
《2》
それが世間に通用するかわからないけど。
《1》
それがどこまでやれるか試してみよう。
《ミッション開始》
「Let's do this!!」
だれかの叫び声とともに、拠点の唯一の入り口のフェンスゲートが開き、一斉に飛び出した。
後ろの2人にハンドサインで姿勢を低くして付いてくるよう注意する。
敵は警戒こそしているが、こちらの存在に気づいていないようだ。
前方には五人の集団がいる。
一人、集団から離れていく。
「あいつが角に入ったら絵美里は一人を、琢磨は集団の一人を、私に合わせて」
「了解、照準よし、いつでも」
「準備完了、合図を待つ」
「3、2、1、撃て」
訓練用ペイント弾が敵の身体に命中する。
それを確認する間も無く、次の隣の標的に狙いを素早く定め、もう一発。
それとほぼ同時に絵美里も一発放つ。
集団の残り2人も心臓部分と腹に命中。
ペイント弾が命中した時は、各エリアの出口から出るか、衛生兵が来るまで待機のどちらかを選べる。彼らはその場で待機するようだ。
その時、敵が様子を見に来たのか、角から現れて、先ほど倒した敵に気づいた。
現れた敵はフレアガンを構えている。
それに気づいた瞬間、視界がモノクロ写真の様に変貌した。
本来ならフレアガンを抜いて撃ち上げるのに一秒もかからない筈なのに、五秒たっても腕の中ほどまでしか上がっていない。
何が起きているかわからないが、素早く銃を構えようとする。
こちらの動きもやはり遅くなっているが、これなら十分間に合う。
狙いを定め、引き金を引く。
銃口から飛んでいく弾丸が目で追える程ゆっくり進んだ銃弾は、横腹に命中し、フレアガンを落とした。
そこまで見届けると、視界はいつものように戻った。
「す、すげぇ、出てきた瞬間に倒しやがった……匠、見てたか?」
《あぁ、見てた、まるで早送りを見ていた感じだ》
どうやら、彼らは普通の時間の進み方らしい。
「アルマ、一体どうやったの?」
絵美里が聞いてくる。
「その質問は後で、ここから激しくなるわよ」
《敵ベースからその地点までは一本しかルートがない、押し通るしかないぞ》
匠から偵察による連絡が飛ぶ。
「敵の様子は?」
《まさにすし詰めって感じだ、反応だけで20はいるぞ、フラグで吹き飛ばした方がいい》
フラグは全員二つ持っている、うまくいけば殲滅できる量だ。
《待って、扉の向こうすぐに敵、電波反射シートを装備してる》
絵美里が突然秘匿回線を使用して忠告する。
《どうしてわかったの?》
同じように秘匿を使って問いかける。
《わからない……でも、そこにいるのはわかっているの》
《わかった、信じる、全員フラグを上から投げ入れて、爆発したら突撃、いいわね》
全員頷く、そしてアルマがフラグを構え、投げ入れた瞬間、向こう側から悲鳴が聞こえてくる。間を空けずにさらに投げ込まれる。
そして扉を開く。
そこには絵美里が言った通り電波反射シートを装備した敵が二人いた。
驚いて反応していないところへ容赦なく銃弾を叩き込む。
理由を聞く暇があれば前進する。もう制限時間は半分を過ぎた。
道行く先で敵を倒し続け、ようやくベース前にたどり着いた。
「ここを制圧しないとターゲットを確保できないぞ!!」
敵ベース前は当然守りが堅く、先ほどの通路の2倍は確認できる。
すると、琢磨が遮蔽に隠れて何かをしている。
「琢磨、あんた何してんの?図工でもやってんの?」
「あながち間違いじゃない、ピンときたんだ」
「琢磨、あなた図工、技術の成績最低だったよね」
「そうだけど、今ならわかるんだ、少し待ってくれ」
そう言って彼は作業に集中した。
「できたぜ、簡易型制圧用飛行ドローン、ドラゴンフライだ」
まだ1分も経っていないのに、それ以前にどこにも道具や材料がなかったのに、小さなツインローター型の無人ヘリが完成した。
「匠、そっちのラインでこいつを誘導できる、通った生体反応に向かって撃つから気をつけてくれ」
《了解、ライン誘導開始》
すぐに視界に黄色いラインが自分達から敵陣までのびる。
それを感知したドローンはすぐさま飛び立ち、敵に向かって銃撃を開始した。
「前進しながら攻撃、今のうちに攻めるよ」
『了解』
そして、遮蔽から飛び出し、攻撃を開始した。
フォーメーションを組み、移動しながら攻撃し、とにかく敵を近づけさせない。
撃ち漏らした敵はドローンが排除する。
「インテルを確保して、私は援護する」
インテルの設置場所に2人を入れて入り口で見張る。
「確保したぞ!行こう!」
「援護する、移動して!早く!」
走っていく2人を狙う敵を撃つ、危険は可能な限り早く倒す。
《よし、もう十分だ! 早くこっちに!》
その声を聞いてすぐに武器を背中にかけて、走り出す。
だが、小学生の体の速さなんてたかが知れている。
間に合わない、もっと早く、早く!
その時体が宙に浮いた、自分だけでなく、周囲の敵や地面に落ちていた薬莢もみんな宙に浮いた。
普通なら、この状態では動けない、けど、今ならどうすればいいかわかる。
前に体を持っていくように、意識する。
まるで氷の上を滑るように空を飛ぶ。
そして、安全にたどり着いた。
依然として、敵は姿勢を崩しながらも追いかけ続ける。
敬遠として片手でハンドガンを撃ちながら走っているが、一向に数が減らない。
基地まであと半分はある、さっきのような無重力空間を作れれば難しくないが、必死だったせいかやり方がわからない。
その時、前から真がゆっくりと現れた。
「ここは任せろ、先に行け」
それ程大きくない声で私たちに退避を促すと、背中にかかっているアサルトライフルを構えた。
通り過ぎると同時に彼は攻撃を始めた。
一発一発的確に敵に命中させていくと同時に壁を蹴って敵の弾丸を回避する。
壁を蹴っている間に左手にはハンドガンが握られていて、横宙返りを決めている間にも発砲し、敵を倒す。
「何グズグズしている!さっさと行け!」
背後から見ていたのがばれたようで、顔だけこちらを見て叫ばれた。
その直後、目の前を弾丸が音を立てて飛んで行ったのに驚いて、私たちは急いでその場から逃げ出した
帰り道でも、敵の襲撃にあった。
「アルマは走れ!とにかく走れ!拠点に入っちまえば勝ちだ!」
この戦いは重要物資を奪えば勝ちだ、敵の排除は勝利には関わらない。
私は軽く頷くと、武器をしまい、自軍拠点に向かって走り出した。
それと同時に味方の援護射撃が行われる、敵はこちらに気づき、阻止しようと攻撃しようとするが、援護射撃によって撃破されるか頭を下げた。
それでも数発弾丸が飛んでくる。
弾が風を切る音が耳元で聞こえる。
とにかく走る、走る、走る。
後ろは見ないでひたすら走る。
《試合終了まで残り10秒》
カウントダウンが始まる、拠点はもう目の前。
《5、4、3、2、1》
最後のカウントが聞こえた瞬間、拠点に駆け込んだ。
《試合終了、重要物資を奪取したブルーチームの勝利》




