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東方戦争記~Four persons who survive~  作者: 紅き蠍
第二章 この世界で生きるには
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第十一話 妖怪として

お ま た せ


修学旅行行ってたり補充受けたりして遅れてました、申し訳ありません

弾薬庫が文字通り吹き飛んだ。


屋根、壁、窓ガラスが吹き飛び、砕け散る。


周囲にいた他の兵士が散り散りになって逃げていく。


固まって行動している敵に向かってグレネードランチャーを叩き込み、殲滅する。


《各自交戦しながらエリアを離脱して!ビーコンを設置したから数分後に爆撃がくるわよ!離脱したら北北東……座標アルファ、エコー、5、5、0、2!各自で移動して!爆撃機のETAは五分よ!》



マップに座標を表示すると、集合地点の手前だ、全員合流してから真達と合流するつもりらしい。



『敵襲だ!』


『敵はどこだ?!』


『わからない!だけど俺は見たぞ!敵は味方の軍服を着ている!》



3人目は味方の通信として聞こえて来た、つまり味方の誰かが陽動として嘘をかましたのだ。


敵は味方の軍服を着ている、つまり一目見ただけでは誰が敵か味方かわからない、一瞬でお互いを疑う疑心暗鬼の状況に陥る。


今なら混乱しているから抜け出せる筈。


隠れながら外側へ向かう。


敵と接触した時は可能な限りナイフで倒すことにする、サプレッサーが無い今、無闇に銃を撃つと敵に気づかれてしまう。


無理に接近も危険、銃で頭を撃たれれば即死だ。

たとえ妖怪でも。


だから可能な限り隠密で敵に見られないように動かなければ。


『見つけたぞ!あそこだ!逃げてる!追え!』



どうやら後ろをつけてきた奴がいたようだ。

すぐに数人が集まってアサルトライフルを一斉掃射をはじめた。


肩に被弾、撃たれた衝撃でバランスを崩してしまい、地面に倒れこむ。



『仕留めたぞ!』



『気をつけろ!何をしてくるかわからないぞ!』



ライフルを構えて警戒しながら接近してくる。



肩がずっと痛む。弾が中に残っているようだ。



『こいつ女だ!どうする?』



『俺たちでヤっちまおうぜ!』



『そうだな、すこし溜まってきたしな』



奴の一人が腰に手を掛けた時、肩の痛みが突然抜けた。

それに気づいた私はすぐに奴の顔面に右ストレートを叩き込んだ。



拳は見事に顔面に直撃し、顔面が陥没し、血を撒き散らし、吹き飛んだ。

それを見た残りの奴らは突然のことに動きが固まり、隙だらけの状態になった。


すかさず起き上がり、身を低くしてから一人の顎に向かってアッパーカットを放った。

顎どころか、喉仏のあたりから横に真っ二つに裂け、血を噴き出した。


それを見た最後の一人は腰を抜かし、地面に尻餅をついた。



『た、助けてくれェェェ!ば、バケモノだァァァァァ!』


彼はそのまま地面を這うように逃げ出したが、私は彼の肩を掴み、そのまま地面に押し付ける。


『やめろ!死にたくたい!見逃してくれェェェ!』



私はそのまま彼の頭を左右から挟み込み、頭を回転させる。


頭は180°を超えて回転する。



ここまで終わり、右肩を見てみると弾頭が潰れたマッシュルームのようになった弾丸があった。摘出し、そこから血が出るが、すぐに傷口はふさがり、血を拭き取ると何も跡がない。


妖怪になるということは、こういうことなのか。

私は改めて実感した。



合流地点に向かうと、すでに他の三人は揃っていた。

合流して周囲を警戒していると、真達が麓から登ってくる。



「匠、大丈夫?」


絵美梨が匠に気遣う。


「俺、決めたよ、俺に前線は向かない、少し下がることにするよ」



「……意気地なし」



「ガハッ!?」



どうやら私が呟いていたことが聞こえたようだ。

その後本部から通信が入る。



《聞こえてるかしら?応答してちょうだい》


《ブルーイーグルα、レディ》


「ブルーイーグルβ、レディ」


通信越しの真の声が少しだけ冷酷だった。



《全員いるようね、丘から見えるかしら?対地ミサイルを積んだUAVをそちらに回したわ、それで敵のハードターゲットを破壊してちょうだい》



「了解した、アルマ、UAVの操作権を譲渡する。派手にやっちまえ」



すると平原や森を進んでいる戦車や輸送装甲車などに赤い逆三角が表示される。


それに向かってレーザーマーキング機を向けて引き金を引くと、上空の白い機体からミサイルが飛び、爆破する。



「もう少し南に隠れてる集団がいる、味方を狙っているようだ、やれ」



今度は黄色の逆三角のマークが森の上に出る、当然、それに向かって引き金を引く。

その後、爆発音と共に、何人もの悲鳴や断末魔が風に乗って聞こえた。



ちらりと匠の方向を見る、青い顔をして汗をかいている。


先ほどよりは大丈夫そうだが、人が死んでいることにいちいち憂いている暇は無い。

だから彼は前線から下がるといったのだろう。


チームに迷惑をかける前に。



《ブルーイーグル、救援物資を投下するぜ》



突然入ってきた無線によって上空を見上げると、ヘリコプターが四角い箱を吊り下げてホバリングしていた。



箱はヘリから投下されるとズドンと音を立てて地面に叩きつけられ、しばらくすると箱の上の一部が開いてモニターが現れる。



「見ていろ、 半人半妖となり、右腕を機械化した奴の本気をな」



真はモニターに手のひらをつけ、指で何か押す動作をすると、

箱の前面が開き、そこに腕を通し先についているグリップを握ると、箱がガシャンガシャンと音を立てて開いていく。

箱は次第に長い棒の形をとり、ついに大型の銃器に変形した。



M2重機関銃を一回り大きくし、機関部にマシンガンについているキャリングハンドルが付けられていて、銃の後ろの方に弾丸が入っていると思われる箱型マガジンが付いている。



メーティスの武器判断システムに真の持つ武器を通す。



NS-06スナイパーキャノン。

にとり工房作製の大型スナイパーライフル、使用砲弾は30×173mm、元々は超遠距離狙撃(元々詳しい定義は無いが、この小説では2000mを超える距離のことを指す)

の為に地面に立てて使用するものだが、このスナイパーキャノンは真が生身で使用するために軽量化、精密化した特殊兵器。

破壊力は凄まじく、人間はもちろん、車両や装甲車、当たる場所によっては戦車ですら一撃で行動不能、もしくは破壊する。

しかし反動も凄まじく、固定されていないまま発砲すると吹き飛んでしまう。


装填数は10発。



真はそれをどうやってか、右腕の肘あたりで腕と銃器を繋ぎ、左側に付けられたキャリングハンドルを持ち、上面に取り付けられたスコープを覗き、一発撃った。



今まで聞いた銃声で一番大きな音を立てて砲弾が飛ぶ。

2秒後、着弾音と共に地面が一部吹き飛んだ。


確認できた後に再び金属と金属が高速でぶつかった様な音を立てて弾丸が飛ぶ。



三秒後、遠い位置から赤い煙が出るのが見えた。



「ぼーっとするな!狙撃援護!敵にこちらを攻撃させるな!」



その言葉に、私はハッとして銃を構え、近めの敵をセミオートにして狙い撃つ。


「よく目に焼き付けておけ、これが戦場だ、弱者は一方的に嬲られ、理不尽に殺される、強者ななったとしても、いずれ落とされる、死にたくなければ逃げることも必要だ、勇気と無謀は違う」



そう言って、彼は右腕のライフルを取り外し、その場に置いた。


《ブルーイーグルへ、敵が撤退していく、

エリアの安全は確保された、紅魔館へ向かって、 次の指示はそこから出すわ》



「聞いたな?移動するぞ」



そう言って、私達の前を歩く真の背中は、少しだけ、くたびれたような感じだった。


《ブルーイーグル!乗っていくか?紅魔館へひとっ飛びだぜ?》



その通信と共に目の前に現れたのは一台のチヌークだ。



「空いてるのか? ナイトフォックス、こっちは7人だぞ?今は撤収中じゃないのか?」



真がヘリの空きを心配してパイロットに聞く。



《あぁ、そのことなんだが……みんな俺のヘリの中がカメムシ臭いって言うんだよ……だから空いてる、乗ってくれよ》



「あー……そうか、まあいい、乗るぞみんな」



ヘリがこちらにハッチを向けるとゆっくりと着陸してハッチを開く。



私が最初に乗り込み、周囲の警戒をしていた真が最後に乗り込み、ヘリは離陸した。



《どうぞ紳士淑女のかた、ナイトフォックス号の快適て安全な空の旅をお楽しみください》



その通信を最後に、意識が遠くなり、疲れて寝てしまった。



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