ネット回遊魚:X
某ソーシャルメディアを覗き見る機会が増えた。
船から、水面を覗き込んでいた。
今日の漁は上手くいくかと。
だが、何者かに腕を掴まれた。
そして、引き摺り込まれた。
溺れかけて、逃げようとする私。
無数の手で足を掴まれた。
逃さないように引き摺り込まれる。
気がつけば。
深い闇と共に海へと沈んでいった。
私は思う。
エックスというもので。
深海の底にアンカーされたのだと。
底で思う。
以前はツイッター。
ツイ廃。
今はエックス。
いや、エックスじゃない。
ただのバツ。
罰。
深海罰、三五八七六フィート。
死の海。
やる理由を見つけてるだけ。
時間を無下にして、罰を自ら課してるだけ。
そんなのは、とっくの昔に気付いてる。
鎖に繋がれたパブロフの犬と一緒だ。
海の底で、蟹が食パンの耳を撒き餌にされて。
ぐるぐる同じ所を回っているようなもんだ。
餌を分け与える生物もいれば。
提灯アンコウのように疑似餌でおびき寄せている。
まんまと釣られる。
私が無知だからだ。
だが、そんな提灯アンコウも釣られている。
私は底で泳いでいた。
何の意味もなく、途方に暮れる。
しかし、海遊してると、得られるものも多い。
流刑地である海域は情報の海だからだ。
見知らぬ生き物と出逢える。
海洋生物達との繋がりは出来る。
その繋がりが強固になればなるほど。
海底にアンカーされる。
引き揚げ漁で、網にかけていたつもりだった。
いつの間にか、底に沈んでいた。
浮上出来ない。
水面の光を目指していた。
アンカーされている。
だが。
ここでしか得られない物がある。
そして、不穏なこともある。
回遊魚が死滅回遊魚と縄張り争いしている。
鯨が通過する。
散り散りになる。
また、喧嘩している。
釣り堀だった。
主にぶら下がったリプライ。
釣り糸を垂らしていた。
ついつい、返信したくなる。
美味しい餌には罠がある。
底で見ていた。
餌に掛かる仲間達を。
魚群を形成する。
それは一つの生き物のように。
呑まれてはダメだ。
クジラがきてしまう。
逃げるんだ。
焼き魚は御免だ。
三枚おろしで、刺身にされてる人もいる。
だけど、喜ばしいことなんじゃないかと思う。
いいネタになっているから。
ネタとして提供されて、享受されてるのなら。
本望であろう。
寿司職人もびっくりさ。
へい、らっしゃい!
今日も旬だよ!
活きがいいのが、揃ってるよ!
卓に並べられる。
食すかどうかは、あなた次第。
見るだけで満足かって、それなら、私と一緒だ。
深海罰、三五八七六フィート。
情報の海で何を思う?




