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転生しても必ず君を見つけ出す 〜愛を誓った姫はギャルになってました〜

作者: 大柑子
掲載日:2026/06/09




「はぁ……はぁ……生まれ変わっても、またあなたと出会えるかな……」



薄れゆく意識の中、女は震える手を男の頬に添えた。



「姫、私は何度でも必ずあなたを見つけ出します」



男は涙を流しながら誓う。



「……よろしくね……」



女の血のついた手が、男の頬からずるりと落ちた。



「姫……姫ーーーーーー!!!!!」



男の悲痛な叫びが戦場に響き渡る。


そして二人は死別した。


永遠の愛を誓いながら。







それから千年後、


渋谷のカフェで、向かい合う男女が2人。



「ふーん、で?」



女はストローをくわえながら言った。



「あんたは前世の私のことが好きだってこと?」



高圧的に睨みつけられ、俺は姿勢を正した。



「あ、いや、えっと、はい、そういうことになりますね……」


「いや知らんし」



即答だった。


顔が引きつったのが自分でもわかった。



「まず100歩譲ってキモい前世の話信じたとしても、前世とかあたし覚えてねーし。それ結局他人だから」


「え、えー……」



口角が強張る感覚があった。


想定していた反応と違いすぎる。


もっとこう、



『あなた……もしかして、あの時の……?』



みたいな展開を期待していた。



「まじ仲良くないやつの恋愛相談聞いてる気分だったわ。つか妄想すごいね」



ガツンと頭に衝撃が走る。


顔がテーブルをつきそうなほど落ち込んでしまった。



「いや……え、本当に覚えてないんですか」


「……ハァ?」



女の眉間にしわが寄る。


冷めた目で見下ろされ、身体がキュッと縮こまった。


俺はなんでこんなに詰められてるんだろう…と、今にも泣いてしまいそうだ。



「やば……覚えてないって言ってんじゃん」


「……」



ガーンという音が鳴り響いたような気がした。


俺はテーブルに視線を落とす。



「てか話終わり?」



女はそう言って席を立った。



「ほんと急に女の腕掴むのやめなよ。次やったら警察だからね」


「あ、ま、まって!!」



俺は慌てて立ち上がる。


周囲の客がちらりとこちらを見た。


すると女の目がみるみる冷えていって、ついにはゴミを見るような目になっていた。



「……あんたさ」


「は、はい」


「自分がガチ目のヤバいやつだって自覚しなよ」



グサッと言葉の刃が心臓に突き刺さる。


もしかするともう泣いてるかもしれない。



「ここはあんたが払いな」



トドメだった。


女はそのまま店を出ていく。


ポツンとその場に残され、俺は力無く座り込んだ。



「あああ……」



目頭が熱くなる。なんだか周囲の視線も痛い。


店員は静かに伝票を置いた。


現実は残酷だった。







「……失敗した」



俺――小林刃(こばやし じん)は公園のベンチでうなだれていた。


前世の記憶が戻ったのは6歳だった。


そして十年かけて探し続けた。やっと見つけた。


前世で命を懸けて守った姫。その生まれ変わり。


姫野真央(ひめの まお)


しかし。



「警察って言われた……」



前世では国一番の忠臣だった。


現世では不審者扱いである。



「何が『必ず見つけ出します』だよ……」



自分で言った言葉を思い出してダメージを受ける。



「見つけ出した結果がこれか……」



泣きそうだった。


ていうか泣いていた。







公園のベンチで、深いため息をつく。



「もう一回話しかけたら通報されるかな……」



刃は真剣に悩んでいた。


千年前は戦場で敵軍を先陣切って相手にしていた男である。


しかし今は、LINE交換すらできていない。



「前世の敵将より難易度高いんだけど……」



遠い目をした。


運命の再会。


感動の恋愛。


そんなものは夢のまた夢だった。


なにせ姫は現在、



「前世?知らん」



の一言で片付けるギャルだったのだから。



『姫、私は何度でもあなたを見つけ出します』



千年前の誓い。


その続きは、まず連絡先交換から始めなければならなかった。







一方その頃、帰宅中の真央。



「あーまじで怖かった。やばすぎ」



スマホを見ながら歩いていると、ズキリと頭が痛んだ。



「いてっ」



見たこともない景色が一瞬だけ脳裏をよぎる。


燃える城。


血の匂い。


誰かの泣き声。


そして。


必死に自分を抱きかかえる男。



「……何?」



真央は立ち止まる。


だが映像はすぐに消えた。



「寝不足かな」



首を振る。


そして何事もなかったように歩き出した。




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