第7話 何も変わらない
スノウとレイカが村の救出に向かう中、クリスタはこの魔法の元凶の元へ向かっていた。
クリスタは、しばらく走ったところで、ひとつの開けた場所を見つけた。
――ここの地面から魔力を感じる
クリスタは地面をコツンコツンと叩く。
すると、目の前から大きな生物が襲いかかってきた。
この地域に住む、熊のような生物『オオヌシ』
――このオオヌシも操られているのか
クリスタは瞬時にオオヌシの攻撃を避け、短剣で影に攻撃をして、言霊を取り除いた。
「流石の身のこなしだね。惚れ惚れするよ」
物陰から、1人の大男がクリスタに話しかけてくる。
クリスタは、その大男を知っていた。
「あぁ、こんな趣味の悪い魔法を使うのは、やはりお前か……『オフト・モイラ』」
大男の名前は、『オフト・モイラ』
クリスタは、50年前にこの魔族との戦にて対峙している。
そして、過去にモイラにとっての弟子3体、クリスタは葬っていた。
「こんなところに、等級魔族がなぜいる」
等級魔族とは、魔族の強さを表す。
強い順から、ミデン、エナ、ディオ、トリア、テセラ、ペンデ、エクシ、エフタ、オフト、エニャ、デカと構成されている。
この大男は、等級で言うと下位のクラス。
だが人間界では、強さでいうと中堅クラス。
「お前の顔を見たくなってな」
「私の顔を? ふざけたことを言うね」
クリスタは、この魔物が何を考えているかは、容易に想像がついた。
「私にリベンジしに来たのではないのかぁ?」
クリスタがそういうと、モイラは不敵な笑みを浮かべた。
「お前の弟子が、仇になるかを試しに来たのだよ」
「私の弟子? まさかスノウとレイカを?」
クリスタは最悪なケースを想像した。
――さっきのオオヌシが、複数体あの村に居たらどうする?
クリスタは、この場所に誘い出されたのだ。
まるで操り人形かのように、この場所に誘い出されてしまった。
「なるほどね……そういうことかぁ」
「もっと大きなオオヌシをあの村に集めておいた。お前の泣き叫ぶ姿が想像つくな」
モイラは、本当に性格が悪い。
今のクリスタにとっては、自分が死ぬよりも弟子が死ぬ方が辛いであろう。
モイラはそれを読み取っているのだ。
何よりも、自分の弟子を殺された気持ちをクリスタにも味合わせたかったのだろう。
「どうだ、早く戻ったらどうだ。もう間に合わないかもしれないがな」
モイラは不敵な笑みを浮かべ、勝ちを確信する。
しかし、クリスタは現場に戻ろうとしない。
「おいおい、見殺しにするつもりか?」
モイラは、クリスタを煽りまくる。
「こんなに舐められているなんて、思わなかったよ。魔族は成長が遅いんだね」
クリスタは、絶望をしていたわけではなく、モイラに呆れていたようだ。
「何を言っている?」
モイラは、クリスタの言っていることを理解できなかった。
「何も変わらない、成長も感じない」
そのためクリスタは、更に呆れながら、自身の後ろに指を刺す。
「私からだけではなく、弟子も見殺しにしたお前なんかに、私たちは負けないよ」
指の先をモイラが見ると驚いた。
なんとそこには、スノウが立っていたからだ。




