第4話 野宿は嫌です。
クリスタ達は、湖の街〈ピスティカロス〉に向かう途中、町外れの村に立ち寄った。
そこで、この村で一休みをするかしないかの会議が行われる。
「クリスタさん、まだ夕方前だよ? もう少し進もうよ!」
「え……宿があるよ??」
スノウはまだ歩きたいようだ。
クリスタは旅は好きだが、唯一と言っていいほど、嫌いなことがある。
野宿である。
時間は夕方前。場所は町外れの村。
こんな時、冒険者は以下の選択肢を迫られる。
前進! 次の村まで行けるか?
停止! 大事をとって村で休むか?
これは、永遠の課題だろう。
クリスタが、盟主で遠征に出ている時は、間違いなく〈前進〉である。
何故なら休んでしまったら、部下からの視線が氷魔法よりも冷たく感じていたからである。
そして、そのまま村などは見つからずに、野宿をするのがオチである。
仕方なく魔力を消費して、魔法で氷の城を作り、その中で休んでいた。
今もクリスタは、野宿の際は、氷の城をつくる。
しかし、余計な魔力を使うし、布団は硬くて身体中凝ってしまう。
それに、スノウとレイカは、氷の地方出身じゃないため、寒いのが理由で、作るのは拒絶されてしまうから、クリスタは更に野宿が嫌いになった。
だけど今は違う。
「レイカもゆっくりお休みしたいよね?」
クリスタは、レイカに宿で休む味方をつけようとする。
スノウは冒険好きであるため、こういう時の選択肢は大抵は〈前進〉である。
しかし、レイカは違う。
野宿はしたくない党の代表であるため、迷わず〈停止〉を選択する。
――つまり、多数決で泊まることは確定する!
クリスタは、村で泊まることを確信していた。
「焦りは禁物だよぉ? ここは休もう」
クリスタは、レイカの手を引っ張り、迷わずに宿の方に歩いていく。
しかし、何やら様子がおかしい。
「クリスタ様、昨日のような魔物がうろついてるかもしれません。夜は特に活発に動くと聞きます」
確かに、魔族や魔物は夜に活発化する。
人間界は、マナという神秘的な力を持っている。
この力は、人々の良心に反応し分泌され、魔力の活性化などにも使うことができる。
魔族はマナを扱えないため、基本的にはマナを毛嫌いする。
夜はマナの活動が控えめになるため、魔族達の行動は活発化するのだ。
「活発化すると危ないよ?? レイカどうしたの?」
――そう、危ない。だから、休もう
クリスタは、泊まりたいオーラを放出した。
「野宿をして、監視を強化しましょう」
「え? レ、レイカさん??」
レイカは、覚悟を決めた様子で、クリスタに言い返した。
レイカがクリスタに対して言い返したのは、なかなか珍しい。
――あれ? 正義感が強くなっている
クリスタは失敗したと思った。
いきなり2人で魔物を退治したことで、正義感が強くなっている。
ただ、3人の旅の目的は修行もあるが、魔族からの侵攻を抑える役目もある。
――この理由では断ることができない
「い、行こうか……」
「はい! 行きましょう! クリスタ様」
クリスタは、渋々村を出て、歩き始めることにした。
そして、村は見つからず、野宿が確定した。




