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灯台

作者:コバヤシ
海辺の小さな村では、人びとの心がすれ違い、互いを疑い合いながら暮らしていた。
そんな村のはずれには、使われなくなった灯台がひっそりと立っていた。

ある嵐の晩、孤独な少年トオルが灯台にのぼり、風のなかに「星の声」を聞いたと語る。
その話は子どもたちのあいだで広まり、やがて灯台のまわりでは、星の声を聞こうと夜ごと子どもたちが集まるようになる。
歌をうたい、手をとり合いながら過ごすうち、かつての争いは少しずつ消えていった。

だがそこへ、外の町から学者・ヒムラ博士がやってくる。
博士は「星の声は幻想だ」と断言し、人びとに現実を見せようとする。
灯台の歌はやみ、光も消え、村にはふたたび沈黙が広がる。

それでもトオルは、たったひとりで灯台に登り、埃を払い、火をともす。
その行動に博士は心を動かされ、「たとえ幻想であっても、人を変える力があるなら、それは意味のある光だ」と静かに認めて去っていく。

時が流れ、トオルは灯台の光を守り続ける大人になった。
村には再び人びとの歌とぬくもりが満ちていた。
かつてのように星の声が聞こえるかどうかは、誰にもわからない。
だが人びとは、あの灯台の光が、心を照らしてくれると信じていた。
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