荒れ果てた異世界に運だけで挑む無謀な話
あまりいい人生ではなかった。
出会う人、選ぶ選択肢、今思えば全てが失敗したと思う。
友達、恋人、入社した会社、間違だらけ、運のない人生だった。
もし生まれ変わるなら次は運がある人に生まれ変わりたい・・・
そして僕は死んだ・・・と思ったがこれは夢なのか。
死んだはずの僕の目の前にいかにも神様という風貌の老人が立っている。
いかにも神様っぽい人に聞いてみた。
「すいません。僕は死んだのですか?」
神様っぽい人が口を開いた。
「お主は死んだ。」
やっぱり死んだみたいだ。
「やっぱりそうですか。僕はどうなるんですか?天国に行けますか?」
「お主意外と冷静じゃな。大抵の人はわしを見たらもう少しリアクションしてくれるもんだぞ。」
「そうなんですか。別にどうでもいいので・・・。僕はこれからどうなるんですか?地獄に行くような悪い事はしてはないと思うんですが・・・」
「お主は勘違いしている。そもそも天国と地獄なんてない。それは人が勝手に想像して言ってるだけじゃ。人は死んだら記憶を消して地球にまた生まれ変わるか、それか記憶はそのままで異世界に転生するかの2択じゃ」
「んっ?異世界⁉︎よくある異世界転生か。
神様。僕は別に転生は望んでません。記憶を消して生まれ変わりでいいです。」
神様は呆れた顔しながら口を開いた。
「お主が決める事じゃない。これは神が決める話じゃ。人間の身分で自分の死後の事を決めれると思うな。」
想像とは全然違う神の存在に僕は少し引いてしまった。
「じゃあどうするんですか?僕は転生するんですか?」
「お主なんか冷め切ってて腹立つから転生してきなさい。しかも転生先は荒れてる世界にしてやるぞ。」
露骨な嫌がらせだな。これぞパワハラだ。そう思ったが言うとまた嫌がらせが増えたら嫌だから言葉にしなかった。
「それで僕はどうすればいいんですか?」
「まあお主のことはあまり気に入らないが転生者には特別スキルを一つだけ授けるルールになっている。だからお主にも一つやる。どんなスキルがいい?」
僕は神の腹立つ態度に嫌気がさしていた。
ここでも僕は運の悪さを悔やんだ。神ガチャ失敗したと思った。
「とりあえず運のいい人になりたいです。」
「なら運のスキルを授けよう。では異世界に行ってきなさい。」
塩対応な神だったな。まあ転生した先では前世よりすこしでも運に恵まれた人生を送れたらいいな。
そう考えていると周りが光に包まれた。
そして光に包まれている中神が口を開いた。
「授けて言うのはあれなんじゃが、運がいいって事は良い運だけではなく、悪運も強くなってるぞ。ハッハッハ。せめてよい転生ライフを送るのじゃな!」
こうして僕は死んだ後も嫌な気持ちになりながら新しい人生がスタートした。
僕の転生ライフが始まった。