表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/26

プロローグェ





薄暗い部屋。ときおりカチャカチャという音が響く。





『次で最後な』



『おk そういえば、あれ買った?』



あれ? あぁ、例のゲームのことか。



『まだこれから。お前は?』



『当然買った。もう、今日買ってこい。ハリーハリー』



ふっ、相変わらずだなこいつも。



『わかったよ。これ終わったら買いに行く。』



バシュゥゥゥウン・・・



突然画面が消灯する。な、なんだ? エアコンももう作動していない。これはまるで・・・



「停電・・・あっ!」



そこで俺は初めて気づく。そう、今日は計画停電の日だったのだ。

午前中という一番影響が少ない時間帯に行われるその停電は、しかし俺には深刻なダメージを負わせることになった。



「そっか・・・、はぁー・・・。」



落胆のため息をつき、背もたれに体重を預ける。

机の上のスマホが通知ランプを光らせていることに気づき、慣れた手つきで画面を点灯させる。



なんだ、メルマガか。そろそろうざいし拒否しようかな。



俺はそのままスマホでネットサーフィンへと移行した。だが連日まとめやらニュースやらを見ていたので、真新しいものなんて何もなかった。



ふと、とあるまとめ記事が目に留まった。タイトルは『飛行機って7割ぐらい落ちてるイメージだわ』

これは見てないな。面白そうだし見てみよ。でも7割はありえないだろ。大日本帝国海軍かよ。



画面をスクロールする。バナー広告がうざいな。それも・・・大学関係だ。なんと間の悪い。



俺はスマホの画面を消灯し、後味の悪さを振り払うようにカーテンを開け放つ。今の時期は夏。日差しが一番きつい季節だ。



それにここはタワーマンションの12階。日光を遮るものは何もない。

当然俺に直射日光が襲い掛かる。




「うわ、あっつ・・・。」




このまま寝ようかとも思ったが、クーラーなしでこれはキツイ。というか無理だ。




「コンビニまでいけばクーラーは確保できるな・・・」




歩いて3分圏内にコンビニが一軒ある。当然店内はいい感じに冷えているだろう。

それに、クレカが無いのでゲームを買うにはプリペイドカードが要る。よし、出かけよう。




え、どうせ外出るならゲーム屋さんまで買いに行けばいいって? バッカお前、俺に5分以上の連続歩行は不可能なことを忘れたのか?




さて、支度しますか。








30分後、俺の部屋には明らかな不審者が立っていた。




いや、まぁ、俺なんだけど。しかし、真夏に帽子、マスク、黒づくめなんて、ヤバくないか? 俺のファッションセンス。

ま、いいか。どうせ誰も俺のことなんて見てないだろ。




改めて姿見の前に立ち、自分を眺める。顔はいいと思うんだけどなぁ・・・。いかんせんこの猫背と卑屈な表情を直さないと、まともな人間に相手はしてもらえなさそうだ。




窓から外を眺める。うわー、マジで暑そう。太陽も少しは自重しろよな・・・。




ふと、突然地面が黒に染まった。なにかが太陽光を遮ったのだ。




なんだ? 

俺は視線を上へと移す――




「・・・ひぇっ」




――俺が最後に見たのは、こちらへ一直線に墜ちてくる巨大な飛行機の姿だった。









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ