日常
2ヶ月後…
あれから、ナンシーさんゴートンさんの家にお世話になっている。
私ができることがないかとナンシーさんに相談したところ、家庭菜園を始めることにした。
虫はあまり得意ではないが、他に出来ることもないので頑張っている。
そして、野菜の成長が意外と楽しい。
あと2,3週間したら、ひとつ収穫できそうなのだ。
ミニトマトのような形で色は紫、食感はピーマンのような見たことない物だが自分が育てたからか愛着が湧いてくる。
今日も朝から、畑仕事をして朝ごはんの準備を手伝う。
ごはんを食べた後はおつかいに行ったり、家事を手伝ったり、ナンシーさんに頼まれたことをして、夕方に畑に水をやる。
そんな生活をしていた。
2ヶ月住んでみて、やっぱりここは日本ではないみたい。
みんな日本語を話しているけど、文字が全く違うのだ。
数字も単位も通貨も全てが違う。
そして、見たことも聞いたこともないことばかり。
しかも学校もない。
学校に行くには王都もしくは、地方都市に行かないといけない。
王都や地方都市の学校にいくにはとんでもないお金がいるらしい。
ちなみにここは辺境といって、国のなかでも端っこらしい。
地図を見せてもらったわけではないから、どのぐらいの国なのかどこらへんなのかもわからないけど…
ここはチャイコフという国で、王様が治めているらしい。
ちなみにここは、ショパという地方でショパ辺境伯が治めている。
最近、わかったのはこんな感じ。
そして、ここで住むときに約束があった。
まず、私は記憶喪失で森の近くで倒れていたってことにしておくこと。
どこから来たのか、親は誰なのか、何をして来たのかの質問には全部わからない。と答えるためだ。
自分の名前しかわからないってことにしてある。
そして、歌を人前で歌わないこと。
ナンシーさんから聞いたが、歌を習う、歌をあれだけ歌えるっていうのは平民の子ではあり得ないそうだ。
だから、秘密にするってこと。
これがなかなか難しい。
音楽と共に生きて来たって自負があるから、歌を歌わないって難しいんだよね…
ついつい、鼻歌とか歌ってしまう。
私が歌う歌はここらへんでは聞かない歌だから、鼻歌も控えるように言われていて…
正直、ストレスが溜まる…
でもしょうがない。
お世話になっている身だ。文句なんて言えない。
ただ、この村に伝わる歌とか、子守唄とか少し下手くそに歌う分にはお許しをもらっている。
あんまり、堂々とは歌えないけどね。
最近はそんな感じだ。
ジークとも仲良くやっている。
ジークの方が少し年上で、お兄さんだからかすごく可愛がってくれて、兄がいたらこんな感じなんだろうな〜と思う。
「まりー!そろそろ晩ご飯だよー!」
「はーい!今行きますー!」
今日もよく働いた!