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歌姫は家に帰りたい  作者: さくら
いつのまにか…
5/13

気づき2

あの後、晩ご飯の準備をしてみんなで食べて、また泊めてもらうことになった。


昨日と同じリビングで呆然とする。


これからどうしよう。


いくら考えてもわからない。


とりあえず、帰る方法を見つけるにはこの生活についていけるようにならなければ…


「まり?ちょっといいかい?」


色々と考えていると、ナンシーさんに呼ばれる。


「はい?なんでしょう?」


「少し、話をしようと思って」


いつもと様子が違う、ナンシーさんについていくとゴートンさんもいた。


ゴートンさんが眉間に皺を寄せながらゆっくりと口を開く。


「まり、おそらくだが君の家は見つからない」


昼間泣き枯らしたと思っていた、涙が再び溢れてくる。


なんとなくわかっていたが人の口から聞くと改めてくるものがある…


「君も気づいていただろう…?」


「はい…」


「答えられる範囲で大丈夫だ。君のことを話してくれないか…?」


「はい…」


それから、ここまでどうやって来たとか親の話とかを少しした。


でもスマホの事や、この世界にない物はぼかしながら、ナンシーさんとゴートンさんの顔色を見ながら答えていった。


「まり、ありがとう。しばらく、ここにいていいから今後どうするのかはゆっくり考えな?」


ナンシーさんからそんな言葉をもらって、また涙が溢れた。


トントンと背中を叩かれて、宥められる。


「遅くなってしまったな、ゆっくり寝なさい」


「ひっく、はい、おやすみなさい、うっ…」


泣きじゃくりながら、寝床へ行き、気を失うように寝た…



  *****



[ゴートン視点]


「ナンシー、まりは何者なんだ?」


「ふふっ、あなた、昨日からそればっかりね」


「笑い事ではないぞ、貴族ではないと思うが、平民とも思えん…」


傷ひとつない手、艶やかな髪、整った服。


そして、仕草やマナー、どれも平民の子どもとは思えない。


極め付けは、今日聞いた歌だ。


歌を習っていた?


何でもないように言うが、歌を習うなんて貴族か踊り子か…


平民で歌を習うんなんて、お金に余裕のある上流階級の人しか無理だ。


でも、貴族や上流階級のようにお高くとまってない。 


平気で家事も手伝うし、平民の食べ物に口をつける。


全てがちぐはぐなのだ。


しかも、歌が上手い。


心を震わすような歌だった。


ここに来た経緯も全てにおいて訳がわからない。


「とりあえず、しばらくはうちで面倒を見ましょう? 幸い、ジークも仕事を覚え始めたから、うちでも何とか養えるわ」


「あぁ…、そうだな… 」


どこの子かわからないのに受け入れるのは不安がないとは言えない。


ただ、このまま捨て置くこともできない…。

しばらく、面倒を見るしかないか…。


「そうとなれば明日、村長に報告に行ってくる」


「えぇ、よろしくね」


ゆらりゆらり、蝋燭が風に揺られている。


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