出会い2
[ナンシー視点]
すやすやと眠りにつくまりを確認して、そっと部屋を出る。
客間なんて部屋はないから、まりには申し訳ないがリビングのソファで寝てもらった。
「まりは寝たか?」
食後の酒をゆっくり楽しみながらゴートンが、ちらりと見てくる。
「あぁ、よっぽど疲れてたんだろうね、横になったらすぐに寝ついちまった」
「まりは貴族か?」
すかさず、聞いてくる。
「いや、おそらく違うと思う。歩きながら貴族の話もしてみたが、反応がなかった。そもそも、ここは辺境だよ?」
貴族の子供は成人するまでは基本的に、王都で過ごす。
時々、王都を出る事はあるが、こんな田舎にまで足を運ぶ事はめったにない。
「そうだよな…。まりは何者なんだ…?」
「わからない。ただ、泣きじゃくっている姿を見てほっておけなくてさ…」
「そうか…」
「まりは歩いて帰れるところに家があるって言っていたんだ。」
「…?どういうことだ…?この辺に村はここ以外ないが…?」
「あぁ…」
2人は暖炉の火を眺め、無言だ。
「なぁ、あんた。もし、まりの家が見つからなかったら…」
「下手なことを言うな…。とりあえず明日、村中に聞いて探してみよう」
「そうだね…」