突然に
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ゴトッ!ガタッ!
「いった〜〜〜」
何かが腕に当たって目が覚めた。
何が当たったのかもよくわからない。薄暗い中、いつもより寝心地が悪いこと、なぜか床がガタガタ動いていること。
寝起きの頭には?が乱舞していた。
ぼうっとした頭で考える。
えーっと、みんなでちょっと豪華な夜ご飯を食べて、今日は特別ってことで秘蔵のジュースをちょっぴり分けてもらって、気分がふわふわしてきてソファにごろんってなって…
そっからの記憶がない…
えーと、何が起こってる…??
当たりを見渡すとたくさんの荷物が積まれていて、私はその一角にいることが見えてきた。
そして、足首にはじゃらりと太い鎖がついていて辿っていくと丸い重りが付けられていた。
さっき、腕に当たったのはこの重りみたいだ。
重りを持ち上げてみるも、結構重い。両手で抱えてなんとか持ち上がる程度だ。
足首につなげられているのは足枷だ。足首にピッタリと付けられていて鎖が繋がっている。
なにごと…??
まだ寝ぼけている頭で考えるが全くわからない。
「お!目覚ましたぞ!」
突然、バサリと音がして横から少し光が漏れた。外にいる人と目が合う。
「少し止めてくれ!」
外で数人の声が聞こえてきて、ガタガタしていた床が止まった。
荷馬車か何かに乗せられていたのか…
バサバサ
さっき開いた横の穴ではなく、別の面の布が大きく開かれた。
「体調は大丈夫か?」
心配そうな目でこちらを伺ってくる。
大丈夫という意味を込めてこくりとうなづきつつ、様子を伺う。暗くてよく見えないが、人当たりの良さそうなおじさんだ。
おじさんの後ろから数人の視線を感じる。男性が5人とローブを被った性別不明が6人だ。
???
えーっと、どちら様…??
「とりあえず、もう少し待っていてくれるかい?もう少し行ったら今日の泊まる場所に着くから…」
「はい…」
よく分からないが、とりあえずうなづく。
「おい!リリー!一緒に乗ってやってくれ!1人だと心細いだろう!」
「しょうがないわね〜、ディーンってそんな心遣いできるのね〜」
「うるさいぞ!!黙って乗れ!」
仲が良さそうに軽口を叩きつつ、ローブ姿の人が荷馬車に乗り込んできた。
バサリとローブを取ると金髪の女性と目が合う、綺麗な顔がにこりと笑った。
「初めまして、私リリーっていうの、今日からよろしくね?」
「初めまして…まりといいます」
「体は痛いところない?あなた、中々起きないからみんな心配していたわ」
「起きなかった…?えっと、私はどれぐらい寝ていたのでしょうか…?」
「んーと、たぶん、1日? 私たちも今日の朝、急にあなたを連れていくって聞いたから細かいところはわからないの」
「1日…」
「詳しくはディーンが知っているから、後で聞いた方がいいわ!」
わからないことがいっぱいだけど、とりあえず到着を待つしかないみたい…。
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