表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/11

第三章

午後3時。

アヤカはヨウコさん、キクさんと一緒にカフェ・ヴェルデを出発した。

百貨店がある表通りに出て車道を渡り、北に向かって少し歩いたところに益戸神社はある。

道すがら、益戸神社についてアヤカはヨウコさんから説明を受けた。

ヨウコさん、キクさんたちは益戸神社の神主さんとは昔から親しい仲なのだそうだ。

過去何度も益戸神社の行事に参加したり、多額の寄贈をしてきているという。

「神主様とは長いお付き合いなの。主人がいた頃からだから、そうね、40年近くになるかしら。

あなたのおばあ様、ミドリさんともよく一緒にこちらに来てお祭りや

自治会のお手伝いをしていたのよ」

アヤカはそれを聞きながら子供の頃の記憶をぼんやりと思い起こしていた。

そういえば小さい頃よく祖母や母に手を引かれて、

益戸神社の縁日に連れてってもらっていたっけ。

ゆかたを着て・・・そうあれは朝顔の柄にピンクのふわふわした帯だったかしら?

その日は遅くまで起きていてもいいって言われたのが嬉しくて、

まだ小さかったチカと一緒に神社を走り回った。

いい匂いが漂う屋台をあちこち見たり、金魚すくいをしたり、

提灯のおごそかな明かりで夜空が照らされて美しかったことをまだ覚えている。


三人は大通りから右に曲がり、益戸神社の境内に入った。

白い玉砂利の道に歩を進めると足元でザッザッという音がする。

左に『市の神』、『金比羅神社』、『手水舎』を見ながら歩いていくと、

白い石で造られたアーチ橋が出現し、その下には川が流れている。

アヤカは足を止めた。

坂戸川の水量は少なく、冷たそうな川底には緑の水草が揺らいでいた。

(ここが・・・現場・・・)

もし雨などで水量が多かったとしたら、彼女は流されて発見が遅れていたかもしれない。

この橋下にユミちゃんが残酷に投げ出されていたのね。

水は冷たかっただろうに。

アヤカは暗い気持ちになった。

頭上を見上げると大きな白い鳥居があり、

参道の両脇には大きな灯篭がいくつも置かれ、こちらも白い玉砂利が敷いてある。

本来ならここを通って神社に入るのが正式な参道だ。

この道を歩いていくと次第に神聖な厳かな気持ちになる。

再び歩き出したアヤカたちの目の前には大きな拝殿が座している。

拝殿は古い木造造りだ。

この拝殿の石造りの階段でユミちゃんは頭をぶつけたのだと一之瀬さんが言っていた。

アヤカがしゃがんで階段を観察してみると、一番上の段に白いチョークで囲まれた箇所があった。

よく見ないまでも赤黒いシミが出来ていた。

ヨウコさんとキクさんも興味津々でアヤカの頭上から覗き込む。

ヨウコさんが険しい声で言った。

「ここであのお嬢さんは頭を打ったのね」

キクさんが手を合わせる。

「お気の毒に・・・」

キクさんにはサクラさんという大学生の孫がいる。

ユミちゃんとは同世代くらいの年頃なので人事ではないのだろう。

サクラさんは大学で保育士を目指し、アヤカ達の探偵団の一員でもある。

そのサクラさんは大学の実習で今大忙しなのだそうだ。

「最近忙しくてサクラとは会っていないんですよ。だから今回のことも話していないんです」

アヤカが頷いた。

「そうなんですか。でも今回の犯人、一之瀬さんによると得体の知れない人物のようなんです。

サクラさんのような若い女の子だと危ないかもしれない。

忙しいようですし、今回は黙っておきましょう」

「そうですね、そのほうがいいのかもしれませんね・・・私たちくらいだったら大丈夫でしょうけど」

ん?

それって私も含めて?

キクさんの最後の言葉が少し引っかかったので、アヤカが口を開こうとしたその時。

突然低い厳しい声が頭上から降り注いだ。

「何の御用ですかな?ここは・・・おや、これは・・長谷川の奥様ではありませんか」

アヤカ達が揃って上を見上げると、そこには白い着物に水色の袴の初老の男性が立っていた。

「ええ、そうです。長谷川です、神主様」

本殿の中から出てきたらしい。

年の頃は70代くらいの人物で厳しい表情をしていた。

短かい白髪でこの寒い時期でも着物1枚の薄着で精錬な雰囲気がある。

この方が神主様なのね。

「実は折り入って神主様にご協力して頂きたいことがございまして・・・」

「協力ですか?はて・・・?」


「そうですか・・・それでこちらに」

アヤカ達は拝殿の右にある『社務所』の中にいた。

社務所にはアヤカたちの他、巫女さんの格好をした女性と、

神主様と同じような格好をした30代なかばと思われる男性がいた。

折りたたみの簡素なローテーブルと座布団があり、

囲むようにアヤカ達は座った。

隅にはお守りが詰まったダンボールが何個か。

懐かしい感じの石油ストーブが置かれ、

その上には

シュンシュンと湯気を上げたやかんが置かれている。

神主様の本名は稲川さんといい、

社務所に招き入れてくれて自ら温かい緑茶を出してくれた。

アヤカもカフェ・ヴェルデ自慢の焼き菓子を持参していた。

「いや、先ほどは失礼しました。

実は・・・昨日の事件で警察が来てから次々に報道の方達が押し寄せ、

野次馬というか興味本位の人が夜も昼もたくさん来ましてね。

いつもお参りに来られる方々にご迷惑をおかけしているのですよ。

事件を知って初めて我が神社来られるのはこちらとしても喜ばしいのですが・・・

一部その、困った方々がいましてね・・・」

その度に質問を受けたりして本来の仕事に支障が出て困っているそうだ。

ヨウコさんからここに来た訳を聞くと、最初は渋い顔をしていたが、

アヤカがここ半年くらいの間に益戸で起こった2件の事件を解決した話を聞き、

神主様が除々に興味を示し始めた。

「なるほど・・あれらの事件を。

あれは・・・1つは長谷川様のところでしたからね、私も気にしてはいたのですが。

そうですか、あなたが解決したと・・・」

神主様のアヤカを見る目が一気に変わったようだ。

というのも、ヨウコさんとキクさんが代わる代わる事件の話を必要以上に盛って話したからだ。

ヨウコさんはいつも以上に饒舌になっていた。

「そうなんですわ、稲川さん。

こちらのアヤカさんは頭脳明晰で、こんがらかった複雑な事件をあっという間に解決したんですの。

もちろん私たちも微力ながらお手伝いしましたのよ?

でもアヤカさんがいなかったらきっと事件は迷宮入りでしたわ」

いえ・・・ヨウコさん、大げさです。

キクさんもヨウコさんに調子を合わせて話している。

「本当に私達が考えつかないようなびっくりするような推理を組み立てて、

解決していくさまはとても鮮やかで。

まるでシャーロックホームズか、金田一のようでしたわ。

警察より一枚も二枚も上手うわてなんですから。

しかも警察の方達にも協力を求められて頼りにされているんですの」

キクさん!そんなことは・・・とアヤカが止めようとしたが軽くスルーされる。

神主様も話を聞いているうちにだんだんと興奮してきたようだ。

「ほお、ほお・・・それはすごい。そんなふうに解決されてこられたとは。

いや、御見それしましたな。

・・・では今日は当方の事件のことで?」

パシッ。

ヨウコさんがわが意を得たりと扇子で膝を打つ。

「そう!そうなんですわ!ここで亡くなったお嬢さん、

ユミさんは宅でもこのアヤカさんのお店でも親しくしていた花屋のお嬢さんなんですの。

だから私たち、敵討ちのつもりで調べていますの。

・・・ですので、神主様、あなた様にも協力して頂きたいんですのよ」

「よろしい!そういうことなら、私も極力お力添えをしましょう!

あのお嬢さんにはこちらにも花を届けに毎回来て頂いていたのです。

私以外にもウチの者達には親しい者をおりましたでしょう。

・・・何より、この神聖なる神のやしろであのような恐ろしいことが起きたんですから。

なんとも悲しいことです・・・私も心を痛めておりました」

あらら。

なんだか思っていたよりもうまくいったみたい・・・ありがたいけど。

「それにですね、覚えていらっしゃると思いますけど、

こちらのアヤカさんは10年以上前に亡くなった泉川の奥様・・・ミドリさんのお孫さんなんですの。

ですから・・・信用なさっても大丈夫ですわ」

ヨウコさんが言うと、神主様がしげしげとアヤカの顔を見る。

「そうですか・・・泉川の奥様の・・・。

そういえば・・・どことなく似ていらっしゃる。

泉川の奥様もよくこちらに来て、祭事のお手伝いをして頂いたりしていました。

そういえば・・・たまに小さなお孫さんを連れていらっしゃってましたな。

まだ私が若造の時代から・・・そうですか、あなたが」

アヤカを見る目がぐんと柔らいだ。

「何度か泉川様宅にもお邪魔したこともありました。

奥様が亡くなり喫茶店に変わったこと、

お孫さんが経営していらっしゃることは、

私も聞いておりました。

私みたいな年配の者が伺うには忍びないと思い伺ってはいませんが、

とても評判がいいという噂を聞いています。この・・・」

そう言いながら、皿に盛ったフィナンシェをひとつ手に取った。

「美味しそうな菓子を見てもわかります」

まさかこんなところで祖母の名前が出てくるなんて。

しかもおばあちゃんのお陰で神主様の協力を得られるようになるとは。

アヤカは笑顔で言った。

「いえ、ぜひ神主様にもいらして頂きたいです。

家はかなり改装しましたけど、祖母が愛用していた振り子時計はまだ飾ってあるんですよ。

今度はぜひ・・・ヨウコさんたちと一緒にいらしてください」

カフェ・ヴェルデを開いたときもそうだったけど、地元の人たちがとても暖かく迎えいれてくれた。

それは祖母の人柄や人徳のおかげだったと思う。

アヤカは改めて祖母ミドリが地域の人達に慕われていたことを感じた。

神主様が言った。

「わかりました。私にできることは何でもお答えしましょう」

「ありがとうございます」

アヤカはほっと息をついた。

そしてバッグから例の手帳を出しペンを構えた。

「ではまず・・・ここで亡くなった松田ユミさんですが、

こちらにはよく配達に来ていたそうですね。

彼女の印象はいかがでしたか?」

「そうですな・・・礼儀正しい娘さんで、

いつも元気にウチに来てくれていました。

こんな冬の寒い日でも。

応対するのはウチの巫女や神主補佐が大半でしたが。

配達してもらっていた花は本殿や各神社に飾る花なんです。

昨日は三上さんがユリを注文していたようですな」

「では昨日こちらに来たときはどうでしたか?」

神主様が腕を組んでうーんとうなった。

「あのお嬢さんはいつも9時にはこの社務所に顔を出してくれているようなんですよ。

私は大体その時間は本殿にいるのでなかなか顔を合わせる機会はないのですが。

他の神主か巫女が花を受け取るはずなんですが、

それが昨日は9時を過ぎても来なかったようです

私は単に遅れているだけかと思っていたんですよ・・・昨日は濃霧でしたのでね」

「じゃあ、彼女のことは・・・その・・・遺体にはいつ気づいたんですか?」

ヨウコさんが尋ねると、神主様が肩を落とした。

「それが・・・ここに警察の方が来て初めて知った次第です。

警官の方がこの社務所に来られて、慌てて一緒にあの橋の所へ行ったんですよ。

そうしたら、橋の下にあの娘さんが・・・惨いことです」

そう言うとイヤイヤをするように首を横に振った。

アヤカが言った。

「その時、何か気づいたことはありますか?

いつもの違うこととか」

「いや特には・・・お恥ずかしいことに私もかなり動揺してしまって。

あのような冷たい水に浸かって・・・娘さんの死体と白い花で・・・しかも霧の中で。

異様な雰囲気でした。

頭のどこかであの白い花はウチのだろうかとふっと思いましたが・・・」

「彼女が乗ってきたスクーターには気づきました?」

「ああ・・・本殿の裏の神木の横にあったようですね。警察の自転車と一緒に止まっていました」

「倒れてはいなかったんですね?」

「ええ、ちゃんと起立していましたよ」

うん、ここまでは一之瀬さんが言っていたとおり。

じゃあ別のことを聞いてみよう。

「では、普段の彼女はどうでしたか?

ここ最近様子がおかしかったとかはありませんか?」

神主さんが首を振った。

「いや、変わったところはなかったと思います。

とは言ってもいつも挨拶くらいで、親しく話したことはありませんでした・・・ただ・・」

「ただ?」

アヤカ、ヨウコさん、キクさんが同時に聞き返した。

「私は8時頃から本殿にいることが多いのですが、

あの娘さんはいつも本殿でお参りしてから社務所に花を届けていたようです。

お賽銭を入れて鈴を鳴らしている音が奥まで聞こえていました。

障子が開いているときはあの娘さんの姿が見え・・・ああ!待ってください」

アヤカがペンの手を止めた

「どうしました?」

神主様が1点を見つめていた。

「思い出したことが・・・昨日は・・・その鈴の音がなかったように思います」

「鈴の音が・・・こちらに来るといつもお参りしてから社務所に伺うことが習慣だったんですね?

昨日はそれが無かったということですね。

つまりユミちゃんはスクーターを降りてから本殿に着く間に‥何かがあって‥殺されたと」

すると神主様が腕を組んで唸った。

「絶対音に気づかなかったとは言えないのですが・・・おそらく鳴っていません」

アヤカが言った。

「でも本殿の階段にユミちゃんの血痕はありましたよね。

きっと本殿の鈴の前までは来たんでしょう、お参りするつもりで。

そしてそこで何かがあった・・・」

ヨウコさんが首を傾げる。

「何かって・・・何かしら」

アヤカが視線を漂わせた。

「それはまだわかりません。

何か見たのかもしれませんし、誰かに会ったのかもしれません。

その何かがわかればいいのですが・・・」


アヤカがペンを構えなおした。

「ユミちゃんはいつもお参りしていたんですね・・・何を祈っていたんでしょうね?」

何か願いごとがあったのだろうか?

「さあ・・・日々への感謝なのかもしれないし、

何か願い事があったのかもしれませんな。

そうそう、一度夏頃、お守りを買っていったことがあったようですよ」

「お守り?」

アヤカが聞き返した。

「そうです。ウチではいろいろなお守りを用意しているんですが・・・ああ三上さん、ちょっと来てくれますか?」

神主様が社務所の奥で作業をしていた巫女さんを呼んだ。

三上さんと呼ばれたふくよかな50代くらいのベテランと思われる巫女さんが、

セカセカとこちらに来てくれた。

「覚えているかね・・・あの殺された花屋のお嬢さん・・・夏頃お守りを買ったと言っていたね?」

「ええ、ええ!覚えています。

・・・びっくりしましたわね、あの女の子がココで、まさか殺されるなんて!

なんて恐ろしい!怖いですわ!

ウチの娘がニュースで事件を知って心配して電話してきましてね、

あ、結婚して今埼玉にいるんですけどね、

もうココに来ちゃダメなんて言ってきましてね!

でもね、私はこういう時こそ神主様のお力にならなきゃって!

ええ、それはもう娘に・・・え、お守りですか?

ハイハイ覚えてますわ。

ええと、あれは8月の終わりくらいだったかしら・・・。

いつも通りに朝お花の配達に来てくれたんですよ。

で、お守りが欲しいって言われて。

申し訳ないけど、日中来られそうもないから今買えないかって聞かれて。

ええ、ここで直接お渡ししたんですよ。

私はてっきり、学業か恋愛のお守りを選ぶと思っていたんですが・・・

あの娘さん、厄災を払うお守りを買って行ったのでびっくりしたんですよ」


アヤカは益戸神社の前でヨウコさん、キクさんと別れた。

彼女たちはこれから益戸公民館でのお花の教室の打ち合わせに行くそうだ。

アヤカはここまで付き合ってくれたことのお礼を言って、

カフェ・ヴェルデに戻った。

戻る途中でコンビニに寄って買ったおにぎりを調理場で素早く食べた。

せわしいお昼ご飯だったがしょうがない。

午後4時、仕事をあがるチカと交代するように仕事に戻る。

「姉さん、じゃあ帰るけどまた明日の朝ミーティングよ。

私も幼稚園で頑張って情報集めてくるからね!」

そう言ってチカは迎えに来た夫の車に乗って、

アンを迎えに帰った。

さて、あと2時間。

もう少し頑張らなきゃ。

それにしても・・・アヤカはカウンターでカップを拭きながらさっきのことを考えていた。

ユミはお守りを買っていた。

しかも災難を払うお守りを。

恋人がいるのだから、恋愛成就のお守りを選ぶのが普通だと思う。

なのに・・・厄災?

白石くんが言っていたストーカーのことに思い当たる。

ちょうど夏頃からユミちゃんは誰かに付けられていたと言っていた。

警察には相談しなかったのだろうか?

でも最近は気にしてなかったと白石くんは言っていたから・・・やっぱり気のせいで済んだのかも。

もしかしたらお守りの効果があったのかもしれない。

そんなことを考えているとエプロンに入れていたスマートフォンが振動した。

表示を見てからアヤカは電話に出た。

「はい・・・ええ、じゃあお待ちしています」

ちょうど良かった、もっと情報が欲しかったところ。


午後5時半。

そろそろ閉店の時間。

アヤカは紅茶と軽食を用意して待っていた。

入り口の鈴が鳴り、アヤカが待っていた人物がやって来た。

「こんばんわ、お邪魔します」

いい声と共に入ってきたのは涼しげな顔立ちと180cm以上の長身の男性。

いつものようにピシッとしたスーツときれいに磨き上げた革靴。

一見したところ、どこぞのエリート商社マンのようにも見える。

しかし彼は刑事という一般市民を守る公務員だ。

アヤカが思う刑事というのは歩き回ったりして靴はほこりだらけ、

よれたスーツでくたびれた印象になるのだと思っていた。

しかし・・・この人は一体いつもどうしているのだろう。

スーツは何着持っているのだろうか?

常にクリーニングに出しているんだろうか。

アヤカは警察のデスクの中に靴磨きセットがあるに違いない睨んでいる。

「いらっしゃい、久保さん・・・と・・・」

入ってきたのは益戸警察署の久保刑事。

刑事が情報をしょって・・・鴨のごとく来たのだ。

それともう一人、見たことがない人を連れていた。

カジュアルな黒のツイードのジャケットに、下も黒いタートルネック、

首には青いチェックのマフラーを巻き、ジーンズを履いている。

着ているものは・・・どれも高級なようだ。

顔色がとても悪い・・・寒さだけのせいだろうか。

あれ?この顔見たことがある・・・って、どこで・・・あ!!

そうだ!

この人・・・!!

ユミちゃんと一緒に写真に写っていた人!

じゃあこの人がユミちゃんの恋人!?

そこへミナが厨房からひょっこり顔を出した。

「アヤカ?もう久保さんいらっしゃった・・・」

するとそれまで俯いていた男性が

はじかれたように顔を上げた。

「・・・・姉さん!?」

ミナがびっくりして立ち止まる。

「・・・タツヤさん」

ミナと男性が見つめあう。

え?え?どういうこと?

アヤカだけじゃなく、久保刑事もびっくりしてミナと男性を交互に見ていた。

タツヤと呼ばれた男性が口を開いた。

「・・・まさか姉さんと、こんなところで会うなんて」

ミナは目を見張ったまま小さくつぶやいた。

「本当・・・どうしてここに?」

「いや・・・僕は・・・」

えーーー!

ちょ、ちょっと待ってよ!

そこへ久保刑事が口を挟んだ。

「えー‥すいません、いいでしょうか?

お二人はご兄弟なんですか?」

そんなの聞いたことないわよ!

アヤカはパニックに陥りそうだった。

ミナは一人っ子のはず・・・だってミナとは幼馴染でずっと一緒に過ごしてきたんだから!

まさか生き別れの兄弟とか?

そんなことって!?

やっと気を取り直したミナが言った。

「ええ・・・いえ、違います。彼は私の元夫の義弟おとうとなんです」


午後6時。

金曜日の閉店直前はテイクアウトラッシュになるため、

久保刑事と福井タツヤさんには席で待ってもらっていた。

もちろん紅茶と焼き菓子をお出しして。

「ありがとうございました。またどうぞ」

アヤカが最後のお客様を送り出し、素早く外にクローズドのプレートをかけた。

ミナと二人の男性が待つ席へ歩いていった。

カウンターにいる間もアヤカはその義弟の様子を観察していた。

なんで気づかなかったんだろう。

自分で自分の頭を殴りたかった。

ミナが結婚したのはおよそ8年前、ミナが27才のときだった。

相手は千葉に数十店舗ある『ふらんす屋』というブーランジェリーの跡取りで、

確か名前は福井タツオミ。

緑川さんから福井という苗字を聞いたときも全く頭に浮かばなかった。

すっかり忘れていたのだ。

ミナは結婚式を挙げず、籍を入れただけだったから

元夫のことはミナがウエディングドレスを着た写真の中でしか知らない。

(この写真を撮るのもミナの不本意だったのだが)

しかし2年足らずで離婚に至った。

原因は・・・他人で未婚のアヤカには夫婦のことはよくわからないが、

一応愛し合ってはいたのだと思う。

ただ、相手は大きな会社の跡取り息子だったため、

ミナが苦手とする大勢の人の前に出ることや、

夫婦同伴での会合やパーティに行くことを苦痛に思っていたということだ。

それからすれ違い、離婚になった・・・と聞いている。

まさかのその弟がユミちゃんの恋人だったなんて。

アヤカとミナと福井タツヤの前には珈琲マグが、紅茶好きの久保刑事には紅茶が置かれていた。

それとオレンジキャラメルマフィンも。

久保刑事がソファに座りなおした。

「ええとまず・・・こちらをご紹介します。

福井タツヤさん・・・亡くなった松田ユミさんと交際されていました。

約1年半ほどだそうです。

それとこちらの『カフェ・ヴェルデ』オーナーの鈴井さん、

と・・・平原さんはこちらでパティシエをされています。

福井さんは、それはご存知だったのでしょうか?」

福井タツヤが頷いた。

「ウワサには聞いていました。

義姉ねえさん・・・いやミナさんが東京のレストランを辞めて益戸に出来たカフェに移ったらしいということは。

前に兄貴がそう言っていましたから。

ただ、店の名前までは知らなかったのでまさかこことは・・・」

アヤカが口を挟む。

「あの久保さん、なんで一緒にここに?」

久保刑事が答えた。

「実は今日の昼頃、福井さんがフランスから帰国されて、すぐウチの署に来て頂きました。

彼女と・・・対面をして頂き、話をいろいろ伺わせてもらいました。

その後、松田ユミさんが亡くなった場所が見たいとおっしゃったので、神社までご一緒したんです」

じゃあ、きっと私たちが帰ったあとに来たのね。

「そこで・・・福井さんの気分が悪くなってしまったので。

無理もありませんが・・・。

こちらに伺うように一之瀬警部補からも言われていたので、休んで頂こうと一緒に来たんです。

まさか、平原さんと福井さんに繋がりがあったとは・・・いや驚きましたね。

平原さんが結婚していたことも知りませんでしたし」

アヤカは横にいるミナをチラッと見た。

今ミナが心を寄せている久保刑事と、元夫の弟と一緒にいるなんて。

ミナは居心地が悪そうだった。

かまわずに久保刑事が話を続ける。

「福井さんにはちゃんとしたアリバイがあることは確認済みです。

被害者が・・・その・・・事件に合った時間にはフランスにいらっしゃったのですから」

福井タツヤがゆっくり頷いた。

「・・・僕は仕事で10日程フランスに出張していたんです。

ウチの店の新規開拓のヒントになるようなものを求めて。

義姉さん・・・いやミナさんが兄貴と別れたあと、

兄貴は正式に跡を継ぎ社長になり、僕は広報部長になったんです。

フランスではいろんなところを見て回っていました。

地方へ行って郷土菓子を見たり、新しい流行りを調べようと。

ユミには向こうからほぼ毎日連絡していました。

何も変わりがなかったように思います。

その日にあったことなんかを話したりして・・・いつも通りの会話です。

しかし、最近ちょっといろいろあってユミが不安定になっていたんです」

アヤカが身を乗り出した。

「あの、失礼ですが、その不安定になっていたとは?」

アヤカの質問に福井タツヤが久保刑事を見やった。

何故警察でもなく、元義姉のミナでもない他人のアヤカが聞いてくるのかということだろう。

久保刑事が説明してくれた。

「・・・実は今回のユミさんの件で、こちらの方々には、その、非公式になりますが、

ご協力していただいているんです。

ユミさんが亡くなる直前にこのカフェの配達に立ち寄っていますし、

以前、この近くで起きた事件2件の解決を手助けして頂いているんです」

福井タツヤが驚きの顔を見せた。

「ユミが・・・こちらに。

そうですか・・・義姉ねえさ、いやミナさん、ユミはどういう感じでしたか?」

真剣な眼差しをミナに向ける。

それまで口を閉ざしていたミナがゆっくりと口を開いた。

「・・・ユミちゃんは時々ココにお花を届けてくれていたの。

昨日も朝、いつも通りの時間にちゃんと来てくれたわ。

今みたいに冬の寒い日でも笑顔でいつもと変わらず。

明るくて、元気でいいお嬢さんだったわ。

グリーン・フラワー・マーケットの緑川さんには会った?

そう・・・まだなのね。

ユミちゃん、は昨日は朝からとても楽しそうだったって言ってたの。

・・・たぶんあなたと会うからだったのね」

ミナが言うと福井タツヤが足の間に視線を落とした。

「今日、フランスから帰ってきたら、ユミと会う予定だったんです。

いろいろと話さなきゃいけないことがあって・・・その、さっき言っていた込み入ったことを。

・・・実は今、僕、婚約者がいるんです」

衝撃的な発言にアヤカもミナも目を見張った。

福井タツヤが慌てて手を振った。

「誤解しないでください!ユミを騙していたとかそういうことじゃありませんから!

親が・・・母が勝手に決めて連れてきたんです。

初めて会ったのは今から半年くらい前・・・6月頃です。

相手は「ふらんす屋」の筆頭取引先銀行のお嬢さんで、いわゆる親同士の都合のいい結婚です。

僕もびっくりして、それでその時ユミという真剣に付き合っている人がいると話したんです。

・・・しかし、母は聞き入れてくれませんでした。

ミナさんならわかるでしょう?母のこと」

ミナが目を細めた。

「あのお母さんならやりかねないわね、ごめんね、あなたの前だけど。

・・・私の義母だった人はね、アヤカ、

彼女の夫・・・つまり義父が亡くなった後一人で会社を支えてきたの。

私が結婚していた当時はまだ義母が社長で会社の実権を握っていたのよ。

もちろん、女性一人でいろいろと大変だったと思うわ。

でもほぼワンマンで他人の意見などを聞き入れないヒトだったの。

息子達の意見でもね。

それにタツヤさんには悪いけど、元夫だった人はお母さんの言いなりだったわ」

福井タツヤが神妙な顔で頷く。

「そうです・・・母は横暴で、兄貴が会社を継いだ今でも何かと口を出してくる。

実の親に言うことじゃないですが、僕も兄貴もほとほと困っているんです。

でも僕は真剣にユミと一緒になりたいと思っていたんです。

会社は兄が継ぐから僕は会社を辞めて、

ユミと一緒に小田原の彼女の実家の花屋を継いでもいいと思っていました。

その銀行のお嬢さんにはこの出張から帰ったら、ちゃんと話してお断りするつもりでした」

「待って!」

アヤカがストップをかけた。

「婚約者を紹介されたのって6月頃・・・半年くらい前って言いましたよね?」

「はい。大体そのくらい前・・・まだ夏の初めでした。

あるパーティでお互い紹介されて・・・そのときは挨拶程度だったので気にも留めていませんでした。

ただ・・・向こうは僕を気に入ったようで・・・。

今考えるとお見合いのようなものだったんですね。

その後、母と一緒に行ったホテルで正式に紹介されました。

あれは確か7月でした。

それも母には仕事上で大事な人物と会うということを言われて、

僕は騙された感じでした。

気づいた僕は抵抗したんですが有無を言わせてくれませんでした。

相手にも失礼でしたし・・・その場はなんとかやり過ごしました」

「あの、その婚約者のお嬢さんはどんな人なんですか?」

「千花銀行頭取のお嬢さんで、高田ユリさんと言います。

紹介された後、二、三度・・・無理やり母の命令でお会いしたんですが、

その、取引先の銀行のお嬢さんなのでムゲには断れず。

気が強い人でいわゆるお嬢様という感じです。

僕は・・・苦手でしたね。

ですがさすがに相手にも失礼ですし、何よりユミに隠しているのが悪くて、

彼女にお付き合いしている人がいると打ち明けたんです。

しかし僕のことを気に入ってくれているみたいで、聞き入れてくれなかったんです」

夏ごろといえば、ちょうどユミちゃんが誰かに付きまとわれていると言っていた頃だ。

「お母様はこの縁談を無理やりにでも進めようとしていたんですよね?」

アヤカが聞くと福井タチヤが苦々しげな顔になった。

「そうなんです・・・困ったことに。

いくら僕には心に決めた人がいると言っても聞き入れてくれなくて。

ユミを両親に紹介しようとしても母は激怒して会ってもくれませんでした。

・・・なんとか自分で説得しようと試みてみたんです。

しかし・・・もう万策尽きたというか。

なのでこの出張から帰ったら、無理やり両親に会わせようと計画していました。

紹介して反対されたら、僕はもう会社を辞めるつもりで」

・・・この母親はかなり怪しいのではないだろうか。

横暴な人みたいだし、息子と銀行のお嬢さんを強行してくっつけようとしたみたいだし。

もしかして息子からユミちゃんを引き離そうとして・・・ってことは在りうるのかしら。

だってこの母親にとって、ユミちゃんは自分の計画を壊す邪魔者じゃない?

でも殺すというところまでいくだろうか。

アヤカが考えていると、ミナが手で待ったをかけた。

「ちょっと待って?タツヤさん。今両親って・・・」

すると福井タツヤが微かに笑った。

「ああ、ミナさんは知りませんよね。ウチのお袋、4年前に再婚したんです。

お袋より年下で小田ソウイチと言います。

今はお袋も小田姓です。

・・・親父さんはいい人ですよ。なんせあのお袋と一緒にいられるんですから。

僕ら兄弟にも普通に接してくれています」

ミナが聞いた。

「ねえタツヤさん、ユミさんからストーカーの話は聞いていたの?」

「いや、僕は何も聞いていませんでした。

こちらの刑事さんから初めて聞いて驚いているんです。

そんなことがあっただなんて。

・・・ユミは何で何も言ってくれなかったんだろう」

「それはあなたを心配させたくなかったんじゃない?

あなたもその婚約者のことで大変だったんでしょう?

しかもそのストーカーらしき人はユミさん以外に誰も見ていないらしいの。

・・・気のせいだったのかもしれないって言っていたらしいし」

「そうですね・・・でもその時ユミが不安がっていたのを僕が気づいていれば、

もしかしたらこんなことにならなかったかもしれない」

そう言って肩を落とす。

その表情からは悔しさがにじみ出ていた。

アヤカが優しく聞いた。

「ユミちゃんとはどうやって知り合ったんですか?」

「・・・初めて会ったのは「ふらんす屋」の新規オープンのときでした。

ふらんす屋益戸南店がオープンするときにグリーン・フラワーマーケットに

店に飾る花を届けてもらったときに知り合ったんです。

その時、僕がドジって花のスタンドを2つも倒してしまって・・・花がばらばらになってしまったんです」

福井タツヤはそのことを思い出したのかふっと笑った。

「開店時間直前だったので、慌てちゃって。

で、ユミがその時素早く作り直してくれたんです。

テキパキ動いて、僕がオープン時間を気にしていると

『大丈夫です、絶対間に合わせますからって』一生懸命で・・・本当に間に合わせてくれたんです。

その後彼女は何も言わず立ち去ってしまったので・・・僕も初日はてんてこまいでお礼も言えなかった。

だからそのあと改めてお礼にお店に伺ったんです。

それで食事に誘って・・・」

ふいに福井タツヤが席を立った。

「すいません、僕、ちょっとトイレに・・」

アヤカが手を向けた。

「あ、この奥です」

見てしまった、福井タツヤの目に光るものを。

きっと込み上げる涙を見られたくなかったのだろう。

アヤカは哀れみを感じた。

愛する人を突然失う悲しみ、衝撃、それは計り知れない。

しかし福井タツヤがいなくなった今のうちに聞いておきたかったことがあった。

「久保さん・・・さっきの福井さんの話を聞くと、

彼の家族や身辺の人が怪しく感じるんですけど・・・。

特に、お母さんとその婚約者とかですね」

久保刑事が頷いた。

「僕もそう思います。松田ユミの周りに怪しい人物は今のところ見当たりません。

家族も職場関係も。

ストーカーの話も今朝聞いたばかりです。

しかしさきほどの話を聞くと、松田ユミと福井タツヤの間には障害が多かったようですね。

もしかしたらそっちの線のほうを重点的に調べたほうがいいかもしれません」

「ユミちゃんの部屋は捜索されたんでしょう?部屋からは何か出ました?」

久保刑事が手帳を取り出した。

「部屋からは松田ユミ、それと福井タツヤ、店長の緑川ユイカの指紋がありました。

お金も置いていませんし、金銭トラブルもないようです。

怪しい脅迫文なども出てきませんでした。

家のほうは異常無しです。ただ・・・」

「ただ?」

アヤカとミナが声を揃えて聞き返す。

「松田ユミのスマートフォンにちょっと変な写真が入っていたんです。

今朝、バイトの白石さんからストーカーの話を聞いたのでもう一度よく見てみました。

技術班に依頼して引き伸ばしてもらったんです・・・これがそうです」

久保刑事が手帳に挟んであったものをテーブルに乗せた。

「怪しい・・・」

「どう見ても怪しいわね」

アヤカとミナが口々に言った。

それはユミが肩越しに背後を写した写真だった。

歪んでいるのでスマートフォンを見ているフリをして何とか背後を撮ったのだろう。

電柱の影に隠れた人物がいた。

女性ということはわかる。

シンプルな黒のパンツスーツを着て、長い髪をひとつに束ねている。

こちら側、つまりユミをジッと見つめている場面だ。

アヤカが写真を手に取った。

「もしかしてこれがストーカー?」

「わかりませんがこのような不自然な写真が何枚か見つかりました。

大体不鮮明な写真ばかりでしたが、これはなんとか。

少なくとも松田ユミはこの女性が気になって写真を撮ったはずです。

ちなみにこの写真を撮ったのは9月14日の朝8時48分です。

そしてこの背景は、どうやらそこの益戸神社。さっき確認してきました」

アヤカがミナにも写真を渡した。

「つまりもしこの人が犯人だとしたら、ユミちゃんの行動パターンは把握されていたってことかしら」

ミナも言う。

「しかもこんなにも前から。あの・・・監視カメラとかはどうなんですか?」

久保刑事が首を振った。

「神社の周りには残念ながら監視カメラは設置されていません。

花屋には監視カメラはありますが、お客さんばかりでどの人物が怪しいのかまだ絞られていません。

どうやらストーカー説は捨てられないようですね。

しかし、福井さんの話を聞く限り、彼の関係者に捜査を広げなければならないようです。

福井さんの家族、それと銀行頭取の令嬢。

そしてこの写真の人物が誰なのか・・・謎の女ですね。まずはこの人物を突き止めなければ」


「大丈夫?ミナ」

午後7時になる時間だった。

久保刑事と福井タツヤが帰ったあとアヤカ達は店の戸締りをし、後は帰るばかりだった。

カフェ・ヴェルデの二階の休憩室でアヤカとミナは珈琲を飲みながら向き合っていた。

「うん・・・」

ミナの元気がない。

ソファに身を沈めジーンズに包まれた長い足を投げ出している。

元義弟との突然の再会に加え、

隠していたわけではないとはいえ、自分からじゃなく他の人から一度結婚していたということを

好意を寄せる久保刑事に知られてしまった。

久保刑事がどう思ったのかはわからなかったが。

これからアヤカ達が捜査を続けるのなら、

もしかしたらミナの旧家族とも会うかもしれない。

そう思うとミナの心情は理解できる。

「ミナ・・・イヤだったら、今回の捜査に加わらなくていいんだよ?

報告はちゃんとするから」

「え?何・・・?」

ぼーっとしていて・・・ミナらしくもない。

「ミナは調査に加わらないほうがいいかなって思ったの」

「・・・・・・」

「だって、これから調べていくともしかしたらその・・・ミナの元ダンナさんんと会うかもしれないし、

お義母さんとだって・・・」

「・・・・・・」

ミナは暖かそうなアグのブーツを履いた自分の足元をずっと見ている。

じっと何かを考え込んでいた。

「ねえ・・・ミ」

アヤカが話しかけると、ミナがふっと笑った。

「アヤカ。私はアヤカの右腕・・・ワトソンでしょ?

私がいるでしょ?それともいらない?」

「も、もちろん必要だよ!私がピンチのとき何度も助けてくれたし。でも・・・」

「ありがと・・・でも大丈夫。むしろ私がいたほうが話を聞きやすいんじゃない?

私の元義母にも」

そりゃあそうだけど・・・。

今のところ怪しいと思われるのは4人。

グリーングラワーマーケットの白石ケンゴ。

福井タツヤの母、「ふらんす屋」の元社長の小田ハツエ。

福井タツヤの婚約者、高田ユリ。

そしてユミの写真に写っていた女性・・・エックス

これが今アヤカ達手持ちの容疑者達。

ミナが立ち上がった。

「そうね、今のところその人達ね。

とりあえず明日チカちゃんが来たらまた話そう。

今日はもう疲れちゃった。明日もまた頑張らなきゃね、お店も探偵も」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ