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6 逃亡
「お使いください。」
そう、執事は言ったけれど。
「ありがとう。でも、どうして皆、今がお別れみたいな顔をしているの?」
まだ、たくさん時間はあるはずです。なのになんで・・・。さらに追及しようと口を開きかけた時
ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ!
けたたましくベルが鳴りました。館に誰かが侵入しようとしている合図です。
「もうか」
「早いですね」
「お嬢様、こちらへ」
一人のメイドさんと共に、床下へと入り、走る。
「何が起きたの?」
メイドさんは前を向いて走りながら。とうとう答えてくれた。
「お嬢様の親戚にあたる奴らです。遺産目当てでしょう。」
「そんな・・・。じゃあ、執事達はどうなるの。」
赤々と燃える屋敷が脳裏に浮かびます。遺産目当てなら、執事達は必要ないから。
「無事を祈りましょう。」
そんな、冷たいこと。と思ったけれど、メイドさんだって、心配なはずです。私に余計な心配をかけまいとしてくれているのでしょう。