百合と薔薇の違いってなんだっけ?
サブタイトルに本編との繋がりは1ピコもございません。
すいません。反省してません(オイ)。
「……で、なんで攻撃力がカンストしてんの?」
「知るかよ、俺に聞くな」
ツバキとモミジが(一方的に)じゃれ合っている(ただの百合なんじゃないか)間に、ハルマとイノは、雑談を始めていた。
ハルマはもう、この家の立派な住人だ。不審者から、定住者に進化である。住民登録をせねば。住民票がなければ、世間の眼鏡には適うまい。
「ところで、役所的なのはどこにあるんだ?」
ハルマは尋ねる。
「通り挟んで向かい」
イノは答える。
「そりゃまたすげぇとこに家建てたな……」
「てか、住民登録したところで、住民税はかかるぜ? 稼ぎどうすんだ?」
「それだよなー。今現在の問題は」
確かに元の世界でもニートだったが、それは親の資金があったからだ。それに、役所で堂々と『ニート』であると名乗れる勇気はハルマにはない。
チキンで頭が弱く、外界を知らない。それがハルマである。
──異世界転生モノでよくある、元の世界の製品で無双、は当然の如くできない。技術者じゃあるまいし。
「モンスターとか出るんだよな? じゃなきゃこんなステ表示、ありえねぇだろ」
ゲーマーならば当然の思考回路だ。
ハルマでさえ思い至る。
「まぁそりゃあな。まさか、やるつもりか?狩人」
「まぁ、防御攻撃、カンストしてるわけだし」
「あ、そういえばそうだったな」
ほんとコイツ頭弱いな……。
なんで僕の小説のキャラは頭弱いやつしか出てこねぇんだよ……。
出てくるキャラの頭の弱さで言ったら史上最強だろ、僕の小説。
「ところで、そういうのはどうすりゃいいんだ?」
「それも役所だな。じゃあ、早いうちに行くか。おーい、モミ……」
そこでイノは、モミジとツバキを振り返る。
そしてすぐハルマに向き直る。
「よし、僕らだけで行くか」
そこには、モミジがツバキの両手を縛り上げ、馬乗りになっている光景が広がっていた。
「……そうするか」
「待って!誤解だけ解かせて!!」
目に涙を浮かべて叫ぶモミジを尻目に、ハルマとイノはそそくさと家を出た。