モミジさんの復讐
なんとですね。
ハルマの防御タスカン性能覚えててくれた人がいるんですよ。
え、僕?
……ももももももももももちろんおおおお覚えてましたとも!?
「さて、こいつをどうする」
「どうしようか」
「モミジの好きなようにさせたれば?」
「やったぁ」
そんなわけで、モミジはとりあえず復讐を始めることにした。
「縛るのは必須だよね」
「なんで僕にやらせる」
が、早々にモミジはイノ任せだった。
「え? だって私人縛れないもん」
「僕もな!」
「とか言う割には手際いいじゃんイノさんよぉ」
「別にツバキが暴れだした時のために捕獲方法を調べてたとかそういうことはねぇからな!?」
「動機かなり健全だったわ」
ハルマが入れた茶々にイノは顔を真っ赤にして反論をするが、ハルマに興ざめとでも言わんばかりの顔を向けられる。
「……っと、まぁこんなもんか」
「地味」
「純粋な捕獲方法に派手さとか求めるな!! 亀甲縛りとかはさすがに僕もできねぇよ!?」
口を思いっきりへの字に曲げて文句を垂れるモミジに、イノは振り向きざまにツッコミを入れる。
「あー、亀甲縛りくらいなら俺できるぜ?」
「なんでだよ!?」
右手を挙げたハルマに、イノはこれまた流れるようにツッコミを入れる。
「あ、でもあれあんまり拘束にはならんからなぁ…」
「だからなんで出来んのかって聞いてんだよ!?」
話が噛み合っていない。この4人を見ていると、会話のキャッチボールって大事なんだなと気付かされる。悲しきことなり。
「あ、なんでできるのか? 俺の幼馴染に『そういうの』がいるんだよ」
「マジかよ……あ、それ性別どっち」
「女子」
「犯罪だろ!!」
「同意の上だ! てかどっちかと言うと俺が嫌だわ!!!」
「だろうな!!」
喧嘩腰なのか同意なのかよく分からない。
ちなみに後日聞いたのだが、その幼馴染というのは結構可愛いらしい。中学時代、1回口を滑らせかけたが、なんとか押しとどめたという過去もあるらしい。まぁクラスメイトにそんなヤツいたら嫌だしね。
「んー、まぁじゃあ拘束に関してはこれでいいや」
そこでモミジが会話に割り込む。
かなり大昔の話に戻った気がするのは僕だけか。
「とりあえず何すんだ?」
「放置プレイは前やったしなぁ…とりあえず初めて奪おうかな」
「サラッとエグいこと言ったな」
まず間違いなく年頃の女子の口から飛び出していい言葉ではない。
「だって私も初めて奪られそうになったんだもん」
「お前何歳だ」
「18」
「奪られかけたのは」
「16」
「結構昔だな……」
「一応膜は生きてるよ」
「言わんでいいわ」
「まぁ初めてはアレがいいし?」
「おいイノこいつ黙らせていいか」
「大丈夫だ問題ない」
「大丈夫じゃない問題しかない」
弱勇問題再来。
セリフが多くなってしまう。これ分かる人には分かるネタだから分からん人はスルーしていいよ。
「まーとりあえずやっていきましょーかねー」
モミジの顔が悪魔のように歪む。
「あー、出たよ黒モミジ」
「なんだそれ」
「腹黒いモミジだよ。性格最悪。もう多重人格を疑うレベルだぜ……」
「マジかよ……」
逆に、そんな事聞いた上で、この場に残る男子の気が知れない。
ハルマとイノは、リビングでテレビを眺めることにした。
それから約50分後。
時折聞こえていたあえg……あぶねぇ。発音しきるとこだ。
まぁとにかく時折聞こえていた声が途切れた。
「なんかあったか」
「行ってみるか」
2人はドアの蹴破られたツバキの部屋に向かい、そして中を覗いた。
ツバキは気絶していた。
モミジはツバキの頬をぺちぺちと叩きまくっていた。
「……おいハルマ、スタンガンどこにある」
「…………認めたくはないが、なんとここにあるんだ」
ハルマはポケットからスタンガンを取り出す。
あーあ。そんな2人の表情にモミジが気づいたのは、それから少し経ってからだった。